大阪地方裁判所 平成6年(行ク)5号 決定 1994年11月09日
申立人(本案原告)
村田政勇
右訴訟代理人弁護士
大槻龍馬
同
真鍋能久
相手方(本案被告)
堺税務署長
右指定代理人
本多重夫
同
桑名義信
同
山本進弌
同
松田光弘
右当事者間の当庁平成三年(行ウ)第三二、三三、三四号所得税更正処分等取消請求事件について、申立人より文書提出命令の申立てがあったので、当裁判所は次のとおり決定する。
主文
本件文書提出命令の申立てを却下する。
理由
一 本件申立ては、別紙文書提出命令申立書記載のとおり、申立人を犯則嫌疑者とする所得税法違反嫌疑事件(大阪国税局昭和五一年度第一七号事件)について国税査察官が犯則事件の捜査のため作成した調査報告書で大阪地方検察庁が所持するものが民事訴訟法三一二条三号前段の利益文書に当たるとして、その提出を命じるよう求めるものである。
二 しかしながら、民事訴訟法三一二条三号前段の挙証者の利益のために作成された文書とは、挙証者の実体上の地位、権利ないし権限を証明し又は基礎づけるものであって、そのことを目的として作成された文書をいうと解せられるところ、本件申立てに係る文書は、申立人を犯則嫌疑者とする犯則事件の捜査のために国税査察官によって作成された調査報告書であって、専ら刑事事件の捜査、公訴の提起及び公判の維持、追行の目的で捜査機関内部において作成された資料に過ぎず、しかも申立人に対する所得税法違反の刑事事件の公判において証拠として提出されなかったものであるというのである。従って、このような文書が申立人の利益のために作成された文書といえないことは明らかであるから、申立人の本件申立ては理由がない。
よって、主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 下村浩藏 裁判官 山垣清正 裁判官 清野正彦)
平成三年(行ウ)第三二・三三・三四号
原告 村田政勇
被告 堺税務署長
平成六年二月一六日
右原告代理人弁護士 大槻龍馬
同 仁藤一
同 真鍋能久
同 西尾剛
大阪地方裁判所 民事第二部 御中
文書提出命令の申立
一 文書の表示
査察官調査報告書(記録第二五号・第三四号)
二 文書の趣旨
加藤俊雄のUCカードの使用の内容について
三 文書の所持者
大阪市北区西天満一-一二-七
大阪地方検察庁
四 証すべき事実
加藤俊雄が国税局及び税務署の職員の接待でクラブ等で遊興した事実
(原告が加藤俊雄に支払った金員の使途を立証することにより、右金員の支払が原告の必要経費としての支払であることを立証する。)
五 文書提出の義務の原因
民訴法第三一二条第三号前段