大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

大阪地方裁判所 平成8年(わ)3362号 判決 1997年9月19日

本店所在地

大阪府岸和田市土生町四〇七四番地

株式会社りんくうマネジメント

右代表者代表取締役

菊地拓

本籍

大阪府泉佐野市羽倉崎上町三丁目三五八五番地の三

住居

同市羽倉崎上町三丁目六番三二号

会社役員

菊地拓

昭和一三年六月二四日生

主文

被告人株式会社りんくうマネジメントを罰金一四〇〇万円に、被告人菊地拓を懲役一年に処する。

被告人菊地拓に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(犯罪事実)

被告人株式会社りんくうマネジメント(以下、被告会社という。)は、平成七年六月三〇日までは大阪府泉佐野市上町一丁目二番一号に、同年七月一日からは同府岸和田市土生町四〇七四番地に本店を置き、同四年五月ころまでは同府堺市甲斐町東三丁一番地一号に、同年六月ころからは同市大町西一丁一番地に営業所を設けて、人材派遣業を営み、居住者に給与等の支払いをする源泉徴収義務者であり、被告人菊地拓は、被告会社の代表取締役として業務全般を統括するものであるが、被告人菊地拓は、被告会社の業務に関し、居住者である被告会社の従業員に対する給与等の支払いの際、所得税を徴収して、各徴収の日の属する月の翌月一〇日までに、その全額を税務署に納付しなければならないのに、別表記載のとおり、同五年一〇月から同七年一一月までの間、被告会社が外国人派遣労働者及び通訳人として雇用している右営業所所属の従業員に対し、給与等として合計一八億二六五八万八二八円を支払った際、右従業員から所得税として合計六七一九万四六九〇円を徴収しながら、各徴収日の日の属する月の翌月一〇日までに、同表番号八、一五、一九、二一及び二二について、右従業員の所得税として合計四八九万一二四〇円のみを同市南瓦町二番二〇号所在の所轄堺税務署に納付したのみで、その余を納付せず、もって合計六二三〇万三四五〇円の所得税を納付しなかったものである。

(証拠の標目)

かっこ内の番号は検察官の証拠請求番号を示す。

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官調書(乙一)

一  増永徳子の検察官調書(甲二〇)

一  大蔵事務官作成の査察官調査書一六通(甲二ないし一七)及び報告書(甲一八)

一  収税官吏作成の不納付税額計算書(甲一)及び報告書(甲一九)

一  登記官作成の商業登記簿謄本(乙二、三)

(法令の適用)

被告人の判示所為は各納期ごとに、それぞれ所得税法二四〇条、一八三条一項に該当するので、いずれもその所定刑中懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い別表番号一六の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人菊地拓を懲役一年に処し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予することとする。

さらに、被告人菊地拓の判示各所為は、被告会社の業務に関してなされたものであるから、被告会社については、判示所為につき所得税法二四四一項により同法二四〇条一項所定の罰金刑に処すべきところ、情状により同条二項を適用して右の罰金額はその納付しなかった税額に相当する金額以下とし、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四八条二項により各罪所定の罰金の合算額の範囲内で被告会社を罰金一四〇〇万円に処することとする。

よって、主文のとおり判決する。

(出席した検察官 宮田誠司、求刑、被告人につき懲役一年、被告会社につき罰金二〇〇〇万円)

(裁判官 伊元啓)

別表

<省略>

<省略>

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例