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大阪地方裁判所 平成8年(ワ)10821号 判決 1998年6月29日

原告

木村三千代

ほか一名

被告

吉田一平

ほか一名

主文

一  被告らは、連帯して、原告ら各自に対し、金一三二四万〇六五〇円及び内金一二〇四万〇六五〇円に対する平成四年七月六日から、内金一二〇万円に対する平成一〇年六月三〇日から右各支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

二  原告らのその余の請求をいずれも棄却する。

三  訴訟費用はこれを五分し、その一を被告らの、その余を原告らの負担とする。

四  この判決の第一項は仮に執行することができる。

事実及び理由

第一請求

被告らは、連帯して、原告ら各自に対し、金六六〇〇万円及び内金六〇〇〇万円に対する平成四年七月六日から、内金六〇〇万円に対する平成一〇年六月三〇日から右各支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

第二事案の概要

本件は、道路を横断中の訴外木村光男(以下「訴外光男」という。)が被告吉田一平(以下「被告吉田」という。)運転の自動二輪車に跳ねられ、さらに被告小池昇(以下「被告小池」という。)運転の普通乗用自動車に轢過されて死亡した事故に関し、訴外光男の相続人である原告らが被告らに対して、人損については選択的に自賠法三条の運行供用者責任ないし民法七〇九条の不法行為責任(共同不法行為)に基づき、物損については民法七〇九条の不法行為責任(共同不法行為)に基づき損害賠償を一部請求している事案である。

一  争いのない事実等(証拠により認定する場合には証拠を示す。)

1  交通事故(以下「本件事故」という。)の発生

(一) 日時 平成四年七月六日午後一〇時〇〇分ころ

(二) 場所 大阪府堺市野々井一七八番地の五先付近道路(府道堺泉北環状線)(以下「本件道路」という。)上

(三) 加害車両<1> (以下「吉田車」という。)

自動二輪車(和泉さ九四〇二)

右運転者 被告吉田

右所有者 同右

(四) 加害車両<2> (以下「小池車」という。)

普通乗用自動車(大宮五二つ一七六三)

右運転者 被告小池

右所有者 同右

(五) 事故態様 訴外光男が、本件道路を南から北へ向かって横断歩行中、折から本件道路を西進してきた吉田車が同人に衝突し(以下「第一事故」という。)、同人が跳ね飛ばされて本件道路に転倒していたところ、後続の小池車が同人を左前後輪で轢過し(以下「第二事故」という。)、訴外光男を死亡させた。

2  当事者

原告木村三千代(以下「原告三千代」という。)は訴外光男の妻、原告木村隆夫(以下「原告隆夫」という。)は、訴外光男の子であり、訴外光男の死亡により、原告三千代及び同隆夫は、相続により各二分の一ずつの割合で訴外光男の権利を承継した(甲一ないし三)。

3  損害のてん補

原告らは、自賠責保険より合計六〇四一万四四八〇円の支払を受けた。

二  争点

1  被告らの責任、過失相殺

(原告らの主張)

被告らはそれぞれ、道路上を横断しようとする歩行者の有無及びこれに対する安全を確認して進行すべき業務上の注意義務があるのにこれを怠り、本件道路において横断歩行者の有無の確認を怠り漫然と進行した過失により、被告吉田は道路を歩行横断していた訴外光男に気づかず自車前部を訴外光男に衝突させて跳ね飛ばして転倒させ、被告小池は道路上に転倒している訴外光男に気づかず轢過したものであり、それぞれ過失がある。かりに原告に何らかの過失があるとしてもその過失割合は、被告らそれぞれに対して一五パーセントを上回ることはない。

(被告らの反論及び主張)

訴外光男は、本件事故直前に相当量の飲酒をし、駐車車両の陰から交通量の多い本件道路を横断するにあたり、右方からの進行車両を注視することなく横断を開始したため、本件事故に遭ったものである。したがって、事故発生については訴外光男にも相当な過失があったというべきであり、その過失割合は二五パーセントを下回らないから被告らに過失があったとしても相当な過失相殺がなされるべきである。

2  訴外光男の死亡による損害

(原告らの主張)

(一) 治療費 四一万四四八〇円

(二) 死亡逸失利益 三億四一一七万二〇〇〇円

訴外光男は、昭和一四年九月一〇日生まれの男性で、訴外キムラ塗装株式会社(以下「キムラ塗装」という。)の代表取締役として稼働し、事故の前年の給与収入は年額九六〇万円(平均月額八〇万円)、事故の年の平成四年一月より事故直前の六月までに給与・役員報酬として一三二〇万円(平均月額二二〇万円)を得ていたところ、訴外光男の収入額に平成三年度と平成四年度でこのような大きな差があるのは、訴外光男が不動産購入費用等のために借入れをし、月々の返済義務が発生したことから、その分だけ給与額を増額したことによるものであり、必要に迫られたものであって、恣意的に給与額を変更したものではない。もともと訴外光男の現実の年収は二〇〇〇万円から三〇〇〇万円程度であり、税務対策上給与名目で適当な金額を支給した形にしていたものであるが、右の事情により事故直前の給与額が現実に増額されたことで名目上の給与額が現実に取得する額に近づいただけのことであり、現実には少なくとも月額二二〇万円程度の収入を得ていたものであり、かつ右収入は今後も続く蓋然性が高かった。

また、生活費控除については、訴外光男の得ていた収入が高額であるところ、生活費は収入に比例して支出額が増加するものではないので、収入額に一定割合を乗じる方法で算出すべきではない。生活に必要な額は自ずから限界があるので、訴外光男の収入で必要と思われる金額で算出するのが相当であり、その相当額は毎月二五万円である。

キムラ塗装株式会社は訴外光男の個人会社であって、訴外光男は七五歳まで稼働可能であったから、稼働可能年数は二二年、これに対応する新ホフマン計数は一四・五八〇である。したがって、訴外光男の死亡逸失利益は以下の計算式のとおり三億四一一七万二〇〇〇円である。

(計算式)(2,200,000-250,000)×12×14.580=341,172,000

(三) 死亡慰謝料 三〇〇〇万円

(四) 葬祭費 一五〇万円

(五) 腕時計修理代 二〇四万五〇〇〇円

(被告らの反論)

(一) 死亡逸失利益について

(1) キムラ塗装から訴外光男に支給される報酬の額は、訴外光男の労働に関係なく、キムラ塗装の売上げを無視して恣意的に定められていたものであって、名目上の収入額をそのまま基礎収入とすることは妥当ではない。また、訴外光男は本件事故当時は働き盛りの年齢であったところ、今後は代替わり等により確実に訴外光男の収入は減ることになったはずであるから、原告らの主張する収入が今後も継続するとはいえない。

(2) 訴外光男は、一家の家計の支柱ではなかったことに加え、訴外人が現実に負担すべき経費は多額に上っていたのであるから、訴外光男の生活費控除として原告らの主張する二五万円では少なきに失するというべきである。訴外光男の生活費控除率は五割が相当である。

(3) さらに、昨今の厳しい経済情勢の中で死亡時以降二二年間もの長きにわたって死亡時の高収入が維持されたとはとうてい考えられないので、原告らの主張する就労可能期間は長きに失する。

(二) 腕時計修理代について

まず、訴外光男が本件事故時に原告らの主張する腕時計を着用していたものかどうか不明であるし、この点をさておくとしても、このような高額の修理代については腕時計の時価額を超えて賠償義務が認められるべきものではない。

第三当裁判所の判断

一  争点1(被告らの責任、過失相殺)について

1  前記争いのない事実等(第二の一)に証拠(乙一ないし二一)及び弁論の全趣旨を総合すれば、以下の事実が認められる。

(一) 本件事故現場の概況は、別紙図面のとおりである。本件事故現場は大阪府堺市の市街地を東西に延びる歩車道の区別のある片側二車線の道路(「本件道路」)の西行車線上である。本件事故現場付近の本件道路南側には居酒屋、カラオケ店等の店舖が並んであり、それらと本件道路との間には駐車場がある。本件事故現場付近では本件道路はほぼ直線であり、前方の見とおしを妨げる物はない。ただ、本件事故当時道路の南端には違法駐車の車が並んでいたために歩道の見通しは悪かった。本件事故当時は夜間であったが、水銀灯や店舖等の灯りにより明るかった。本件道路は、本件事故現場付近では時速五〇キロメートルの速度規制がなされている。本件道路は、夜間でも一分間あたり五、六台の通行量がある。

(二) 被告吉田は、吉田車を運転して本件道路の第一車線を東から西に向けて時速約八〇キロメートルで進行していたが、本件事故現場から約一四・三メートル手前の地点にさしかかったとき、前方の駐車車両の陰から歩いて車道上に出てきた訴外光男を発見し、急制動をかけたものの間に合わず、自車左前部を訴外光男の身体の右側に衝突させ、そのままバランスを失って転倒し、左前方の歩道上に吉田車もろとも滑走して停止した。

この第一事故によって訴外光男は第二車線上の別紙図面記載<×>の地点に頭を西に向けうつ伏せの状態で転倒した。

(三) この第一事故後、転倒している訴外光男に気づいた五、六人が、東から来る車両に対して止まるように声や身振りなどで合図を出し、現に四、五台の車両が異常事態に気づいて、転倒していた訴外光男を避けて、センターラインをはみ出して進行していった。その間の訴外光男は、呼びかけに対して身動きはしなかったが、うめき声を上げるような状態であった。

(四) 第一事故から二、三分後、被告小池は、小池車を運転して本件道路の第二車線を時速約五〇キロメートルで西進し、本件事故現場の五六メートルほど手前の別紙図面記載<1>の地点に至ったとき前方約四〇〇ないし五〇〇メートルの地点にある信号の表示を何気なく見始めた。その際、本件事故現場と小池車との間に他の車両はなかった。その後被告小池は別紙図面<2>の地点に至った時、「タイヤが何か大きなものに乗り上げ、上体が揺れる衝撃」を感じ、何かを轢いたと思い、反射的に急ブレーキをかけ<3>地点に小池車を止めた。被告小池は、訴外光男を轢過するまで、訴外光男の存在に全く気が付いていない。なお、本件事故当時、小池車の前照灯はロービームであった。

(五) 訴外光男は、第二事故によって胸部を轢過され、胸背部礫圧の傷害を負い、事故後病院に搬送されたが、翌日右傷害に起因する肋骨多発骨折、胸腔内出血により死亡した。

(六) 本件事故当時、被告小池が前方注視を怠らずに走行したならば、遅くとも本件事故現場の五〇ないし六〇メートル程度手前で、訴外光男が路上に横臥しているのを発見することが可能であった。

以上のとおりであると認められ、右認定を左右するに足りる証拠はない。

2  以上の事故態様に照らすならば、夜間の飲食店付近においては、道路を横断したり、路上に倒れ込んでいる酔客等がいることは十分に予想しうるところ、第一事故については、被告吉田が前方を注視せずに時速八〇キロメートルという高速度で進行したために発生したものであり、第二事故については、被告小池が交通量の少ないことに気を許して遥か前方を望見して前方に対する注意を著しく欠いていたために発生したものであると認められ、この両者の過失行為が競合して訴外光男の死の結果を発生させたものであると認められる。しかしながらその反面において、訴外光男にも、本件道路の西行車線を走行してくる車両のあることは十分予想できたのであるから、本件道路を横断するに際しては横断歩道を利用するなど一定の注意を払うことが期待されたというべきところ、夜間、横断歩道を利用せず、駐車車両の陰から片側二車線の比較的交通量の多い道路を歩行横断しようとしたという不注意があったことは否定できない。したがって、本件において、訴外光男の死亡による損害賠償の額を算定するに際しては、訴外光男の右過失をしんしゃくするのが公平であり、過失相殺として、認定された損害額から一割五分を控除するのが相当である。

二  争点2(訴外光男の死亡による損害)について(円未満切り捨て)

1  治療費(弁論の全趣旨) 四一万四四八〇円

2  死亡逸失利益 七三七九万二三二〇円

(一) 前記争いのない事実等(第二の一)、証拠(甲四ないし九、一〇の1、2、一一の1ないし4、一二、一三の各1、2、一四の1ないし3、一五、一六、一七の各1、2、一八の1ないし3、一九の1、2、二〇ないし二七、二八ないし三〇の各1ないし5、三一の1ないし10、三二の1ないし7、三三の1ないし10、三四の1ないし5、三五、三六の各1、2、三七、三八の各1ないし4、三九、乙一四、原告三千代本人、同隆夫本人)及び弁論の全趣旨を総合すれば、以下のとおりの事実が認められる。

(1) 訴外光男(死亡当時五二歳)は、生前、自らが設立したキムラ塗装の代表取締役の立場にあったが、具体的な仕事の内容は、取引先回りなどの営業や事務処理がほとんどで、自ら現場へ行って塗装作業を行ったり、職人達に指示を出したりすることはあまりなかった。

(2) 税務申告された訴外光男のキムラ塗装からの所得の額は、平成元年分から平成三年分まではいずれも年額九六〇万円であったが、平成四年分は実質半年余りで一三二〇万円に上がっている。この平成四年分の税務申告は、訴外光男の死亡後、原告三千代が税理士と相談して行ったものである。

(3) 訴外光男は、生前毎月八〇万円程度を原告三千代に対して渡していた。

(4) 本件事故後、キムラ塗装の代表取締役には、それまでほとんど営業経験のなかった訴外光男の息子である原告隆夫が就任した。キムラ塗装の売り上げは、訴外光男が代表取締役だった平成三年七月一日から平成四年六月三〇日までの事業年度分が約二億二〇〇〇万円であったのが、原告隆夫が代表取締役に就任した平成四年七月一日から平成五年六月三〇日までの事業年度分は約二億四〇〇〇万円、その翌事業年度は約三億円と順調な伸びを示した。ただし、原告隆夫が代表取締役に就任してからは、人件費等の経費がそれまでよりもかかるようになったため、同時期の会社の収益の状況は売り上げの伸びが示すほど順調ではなかった。

(二)(1) 以上の事実を前提とすると、訴外光男は、本件事故当時、その労務の対価として少なくとも一年あたり九六〇万円の収入があり、本件事故がなければ六七歳に至るまで、年九六〇万円の収入を得られたものと認めるのが相当である。

(2) もっとも原告らは、もともと訴外光男の現実の年収は二〇〇〇万円から三〇〇〇万円程度であり、税務対策上、給与名目で適当な額を支給した形にしていたのであるが、訴外光男が不動産購入費用等のために借入をなして月々の返済義務が発生したことからその分だけ給与額を増額して、名目の給与額が現実の支給額に近づいただけであるとしており、証拠(甲二七、三五、三六の各1、2、三七、三八の各1ないし4、三九、原告三千代本人、原告隆夫本人)及び弁論の全趣旨によれば、本件事故前、キムラ塗装の経理はもっぱら訴外光男が行っており、その経理のやり方はいわゆるどんぶり勘定で、所得税の申告書に記載された訴外光男の役員報酬の額は必ずしも訴外光男の実際の所得額を正確に反映しているとはいえず、実際には訴外光男は申告額である九六〇万円より多額の収入を得ていた可能性のあることが窺われなくはない。しかしながら、訴外光男が具体的に九六〇万円をどの程度上回る年収を得ていたかは、本件の全証拠によっても明らかではないことに加え、前記認定にかかる訴外光男の生前の仕事の性質及び内容、さらには本件事故後キムラ塗装の営業を引き継いだ原告隆夫の平成四年七月一日から同五年六月三〇日までの事業年度における役員報酬額が八四〇万円であること(甲三二の7、三九、原告隆夫本人)に徴するならば、訴外光男の本件事故当時における一年間の収入のうち労働の対価部分として認められるのは前記認定のとおり九六〇万円にとどまるものと認めるのが相当であり、原告らの右主張は採用することができない。

さらに、原告らは、訴外光男は、本件事故がなければ七五歳まで稼働可能であったと主張するが、かかる主張の根拠は、訴外光男の生前の仕事の内容及び訴外光男の生前の言動にすぎないのであって、これらの事情のみから景気によって影響を受けやすく、競争の熾烈な塗装業の業界において(原告三千代本人)、訴外光男が七五歳までキムラ塗装の代表取締役として稼働し得た蓋然性が高いとまではいえず、原告らの右主張も採用することができない。

(三) また、生活費控除につき、原告らは高額所得者については生活費控除を定額化すべきとの主張をするが、年収九六〇万円程度の者の生活費控除について特に一般的な扱いと異にしなければならない理由は認めがたいので、この点に関する原告らの主張も採用することができない。そして、訴外光男の生前の生活状況に照らすならば、生活費控除割合としては三割が相当であると認める。

(四) 以上より、年収九六〇万円から生活費として三割を控除し、死亡時から六七歳までの一五年間の中間利息を新ホフマン方式によって控除し、本件事故と相当因果関係を有する訴外光男の死亡による逸失利益を算出すると、以下の計算式のとおり七三七九万二三二〇円となる。

(計算式)9,600,000×(1-0.3)×10.981=73,792,320

3  死亡慰謝料 二四〇〇万円

前記認定の本件事故態様、訴外光男の生前の生活状況その他本件弁論に現われた一切の事情を考慮すると、右金額をもって相当と認める。

4  葬祭費 一二〇万円

訴外光男の年齢、生前の生活状況、収入など本件弁論に現われた一切の事情を考慮して、右金額をもって相当と認める。

5  腕時計修理代 〇円

甲二六によれば、平成六年四月八日付で合計二〇四万五〇〇〇円の時計の修理見積書が作成された事実が認められるが、右見積書は本件事故後二年近く経ってから作成されたものであって、かかる見積書のみから本件事故によって訴外光男所有の腕時計が破損した事実を推認することは困難というほかはなく、他に右事実を認めるに足りる証拠はない。

したがって、その余の点につき判断するまでもなく、原告らの腕時計修理代の請求は理由がない。

6  原告らの損害のまとめ

(一) 小括

以上より、本件事故と相当因果関係を有する原告らの損害(弁護士費用を除く。)は、九九四〇万六八〇〇円となり、ここから前記認定の過失割合一割五分を控除し、争いのない事実等(第二の一)記載の自賠責保険からの既払金六〇四一万四四八〇円を控除すると、右損害のうち被告らに負担させるべき分は二四〇八万一三〇〇円となる。これを前記争いのない事実等(第二の一)記載のとおりの原告らの相続割合二分の一ずつで分割すると、各一二〇四万〇六五〇円となる。

(二) 弁護士費用 各自一二〇万円

原告らがその権利実現のために、訴訟を提起、遂行するに際し、弁護士を委任したことは当裁判所に顕著な事実であるところ、事案の内容、立証活動の難易、認容額の程度等本件弁論に現われた一切の事情を考慮して、右金額をもって相当と認める(なお、原告らは弁護士費用については判決言渡日の翌日である平成一〇年六月三〇日からの遅延損害金を求めている。)。

(三) まとめ

(一)に(二)を加えると原告ら各自の損害金は一三二四万〇六五〇円となる。

7  結論

以上のとおりであるから、原告らの請求は、原告らそれぞれが、被告ら各自に対し、一三二四万〇六五〇円及び内一二〇四万〇六五〇円に対する不法行為日である平成四年七月六日から、内一二〇万円に対する判決言渡日の翌日である平成一〇年六月三〇日からそれぞれ支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるので、主文のとおり判決する。

(裁判官 三浦潤 山口浩司 大須賀寛之)

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