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大阪地方裁判所 平成8年(ワ)2267号 判決 1998年7月29日

原告 X

右訴訟代理人弁護士 里田百子

同 澤田和也

被告 株式会社Y1

右代表者代表取締役 A

右訴訟代理人弁護士 森下弘

同 白倉典武

被告 Y2建設株式会社

右代表者代表取締役 B

被告 C事務所ことY3

右両名訴訟代理人弁護士 和田博

同 河辺幸雄

主文

一  被告Y2建設株式会社及び被告Y3は、原告に対し、各自、金六〇〇二万四九一二円及びこれに対する被告Y2建設株式会社については平成八年三月一四日、被告Y3については同月一五日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

二  原告の被告Y2建設株式会社及び被告Y3に対するその余の請求並びに被告株式会社Y1に対する請求をいずれも棄却する。

三  訴訟費用は、原告と被告Y2建設株式会社及び被告Y3との間に生じたものは、これを五〇分し、その一を原告の、その余を被告Y2建設株式会社及び被告Y3の負担とし、原告と被告株式会社Y1との間に生じたものは、全部原告の負担とする。

四  この判決は、一項に限り、仮に執行することができる。

事実及び理由

第一請求

被告らは、原告に対し、各自、金六一三六万〇三〇〇円及びこれに対する被告株式会社Y1及び被告Y2建設株式会社については平成八年三月一四日、被告Y3については同月一五日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

第二事案の概要

本件は、被告株式会社Y1(以下「被告Y1」という。)から別紙物件目録<省略>一及び二の各土地(以下「本件土地」という。)並びに同目録<省略>三の建物(以下「本件建物」という。)を購入した原告が、本件土地の擁壁や本件建物の基礎等に瑕疵があったとして、被告Y1に対しては債務不履行ないし不法行為に基づき、本件建物の設計者兼工事監理者として土木事務所に届け出をしている被告Y3(以下「被告Y3」という。)及び本件建物を建築した被告Y2建設株式会社(以下「被告Y2建設」という。)に対しては不法行為に基づき、それぞれ損害賠償を求めた事案である。

一  基礎となる事実(証拠を付さない事実は当事者間に争いがない。)

1  被告Y1は、不動産の売買、賃貸等を業とする株式会社である。

2  被告Y2建設は、建築工事等を業とする株式会社である。

3  被告Y3は、建築士法四条二項に基づき、二級建築士の免許を受け、同法二三条に基づき、二級建築士事務所を開設し、同法二四条に定める同事務所の技術的事項を総括する管理建築士である。

4  株式会社a(以下「a社」という。)は、昭和六三年二月一六日、奈良県知事の許可を得て、本件土地を含む奈良県生駒郡<以下省略>等の土地の造成工事を行い、本件土地上に鉄筋コンクリート擁壁(以下「本件コンクリート擁壁」という。)を構築した。

a社は、右工事完了後、都市計画法三六条に基づき、奈良県知事による検査を受け、検査済証を交付された。

5  本件コンクリート擁壁の上には、厚さ一〇センチメートル、高さが南西側で約〇・四メートル、南東側で約一・二メートルの空洞コンクリートブロック擁壁(以下「本件ブロック擁壁」という。)が設置されている<証拠省略>。

6  被告Y2建設は、本件土地上に本件建物を建築することを計画し、昭和六三年五月六日、建築主事に対し、建築基準法六条一項に基づいて建築確認を申請し、同年八月一七日、建築主事から確認を受けた<証拠省略>。

7  被告Y3は、本件建物の設計者及び工事監理者として、奈良県郡山土木事務所に届出をした<証拠省略>。

8  被告Y2建設は、被告Y1に対し、本件土地を売り渡し、被告Y1から注文を受けて、本件土地上に本件建物を建築した<証拠省略>。

9  原告は、平成元年二月二一日、被告Y1から、本件土地及び本件建物を、代金四二五〇万円で買い受けた(甲第一号証)。

二  争点

1  本件コンクリート擁壁及び本件建物の瑕疵の有無及び損害の程度

2  被告Y2建設について

(一) 被告Y2建設は、本件ブロック擁壁を設置し、盛土をしたか。

(二) 被告Y2建設の過失の有無

3  被告Y3について

(一) 被告Y3は、本件建物の設計者兼工事監理者として土木事務所に届け出たことに基づいて、本件建物の設計及び工事監理に関する誠実義務を負うか。

(二) 被告Y3の過失の有無

4  被告Y1について

(一) 特定物売買において、民法四一五条に基づく責任を負うことがあるか。

(二) 被告Y1の過失の有無

三  争点に関する原告の主張

1  本件コンクリート擁壁の欠陥

本件コンクリート擁壁は、外側に最大一六センチメートル傾斜・変形し、倒壊寸前の状態にある。

右変形は、被告日新が、本件コンクリート擁壁の上に、宅地造成等規制法施行令六条で認められていない本件ブロック擁壁を設置したうえ更に盛土をしたため、本件コンクリート擁壁に耐力以上の荷重がかかったことにより生じたものである。

2  本件建物の安全性能上の欠陥

本件建物は、建築基準法二〇条、三六条及び建築基準法施行令(以下「施行令」という。)所定の基準を、次のとおり具備していない。

(一) 基礎構造の欠陥(施行令三八条一項違反)

二階建木造住宅の場合、基礎打設のための地盤掘削によって荒らされた基礎掘削地盤底を補強するため、割り栗石又は砕石を基礎底盤幅よりやや広い幅で縦向きに敷き、その間に細かい砂利を隙間なく敷き詰め、突き固め機(ランマー)で打ち固める割り栗地業をして、その上に捨てコンクリートを打って一定の幅と厚みを持つ底盤(フーチング)を型枠施工で設置し、その後基礎立ち上がり部分を打設する必要がある。

また、本件土地は、地盤が軟弱だったのであるから、布基礎に鉄筋を埋設する必要があった。

しかるに、本件建物の布基礎やその底盤には、次のような欠陥がある。

① ランマーによる割り栗地業がなされていない。

② 布基礎底盤が型枠で施工されていないため、底盤の厚みや幅が一定していない。

③ 布基礎に鉄筋が埋設されていない。

(二) 軸組構造の欠陥

(1) 構造部材の緊結違反(施行令四七条違反)

施行令四七条一項は、構造耐力上主要な部分である継手又は仕口は、ボルト締、かすがい打、込み栓打その他の接合方法によりその部分の存在応力を伝えるよう緊結しなければならない旨規定している。

しかるに、本件建物には、次のような欠陥がある。

① 小屋束に接ぎ木をしている部分がある。

② 梁と小屋束の間にズレや隙間が見られる。

③ 母屋の継手が仕口加工されていない。

④ 垂木と桁の間に接合不良がある。

⑤ 仕口接合部において金物補強がなされていない箇所がある。

(2) 有効な筋かいの欠落(施行令四六条違反)

施行令四六条は、建物がすべての方向の水平力に対し安全であるように、各階の張り間方向及びけた行方向にそれぞれ壁を設け又は筋かいを入れた軸組を釣合い良く配置しなければならない旨規定している。

しかるに、本件建物の場合、桁の欠き込み部分と筋かいの接合部分が、殆どの場所で隙間が空いているほか、一部欠き込みがあるにもかかわらず筋かいが設置されていない個所もある。

3  本件建物のその他の欠陥

(一) 相当な空間性能又は生活機能性能の欠陥

本件コンクリート擁壁並びに本件建物の基礎構造及び軸組構造の前記欠陥によって、本件建物は東南方向へ大きく不等沈下した。

その結果、本件建物は、軸組架構の変形、床面の傾斜、窓や建具の開閉困難等の支障が生じ、原告やその家族は、生活上の不快感や違和感を被る結果となった。

本件建物の右性状は、相当な空間性能又は生活機能性能上の欠陥であるだけでなく、施行令三六条三項に違反している。

(二) 美匠や仕上げ上の完全性の欠陥

本件建物の不等沈下に伴い、二階和室の内壁に隙間が生じたほか、二階廊下壁面のクロスや外壁等に顕著な亀裂や分断が生じ、住居としてあるべき美匠上の完全性を満たしていない。

4  被告らの責任

(一) 被告Y2建設の責任(不法行為)

被告Y2建設は、奈良県知事の許可を受けた一般建設業者であるから、建設業法二五条の二五に基づき、本件建築工事を施工するにあたっては、同法二六条一項所定の主任技術者をして、現場において既設の擁壁の強度が構造耐力上支障がないかを調査させ、右擁壁が十分な強度を有していない場合には、建築基準法令所定の要件を満たした擁壁を築造させ、かつ設計図書に基づいて適切な施工技術上の監理をなさしめるべき義務を有していた。

しかるに、被告Y2建設の主任技術者が右現場監理を怠ったため、本件コンクリート擁壁や本件建物に三1ないし3のような欠陥が発生した。

したがって、被告Y2建設は、原告に対し、民法七一五条に基づく損害賠償責任を負う。

(二) 被告Y3の責任(不法行為)

(1) 被告Y3は、二級建築士であるとともに、本件建物の建築基準法上の設計者・工事監理者であるから、本件建物の設計及び工事監理をなすにあたり、施行令九三条の地盤調査義務の前提として、擁壁が敷地土圧に対する耐力を有するか否かを調査し、擁壁が十分な強度を有しないときは、相当な擁壁を施工させ、施行令三八条一項に定める相当な基礎を設計し、Y2建設をして、建築基準法二〇条一項所定の基準を満たした建築物を建築させるべき義務があった。

(2) 仮に被告Y3が被告Y2建設から、①建売金融公庫付確認申請の手続並びに②本件建物の中間・完了検査の申請及びこれらの検査への立会しか請け負っていなかったとしても、本件建物の建築確認申請の際に、設計者及び工事監理者として届け出たうえ、自己の責任において設計図書を作成し、工事が設計図書どおりに実施されていることを確認した以上、(1)の注意義務を免れるものではない。

(3) しかるに、被告Y3は、右注意義務を怠り、被告Y2建設をして、三1ないし3の欠陥工事をなさしめた。

したがって、被告Y3は、原告に対し、民法七〇九条に基づく不法行為責任を負う。

(三) 被告Y1の責任(債務不履行ないし不法行為)

(1) 特定物売買においても債務不履行責任を問い得るかについて

建売住宅等の販売業者が、一般消費者に対し、新築住宅として土地付き建物を販売する場合は、たとえそれが特定物売買であっても、通常有すべき品質・性能を備えた瑕疵なき物を給付すべき義務があるというべきであり、こう解するのが当事者の合理的意思に合致し、信義則にもかなうというべきである。

しかるに、被告Y1が原告に対して給付した本件土地及び本件建物は、三1ないし3記載の瑕疵があり、到底本旨に従った債務の履行がなされたとは認められない。

したがって、被告Y1は、原告に対し、民法四一五条に基づく損害賠償責任を負う。

(2) 被告Y1の過失について

被告Y1は、継続的に新築建物の販売を業とする者であるから、本件ブロック擁壁や本件建物が、建築基準法や宅地造成等規制法等に違反していないかについて、確認・調査する義務があった。

そして、被告Y1は、不動産の売買を業とするのみならず、一般建築・土木工事の設計・施工・監理をも業としていたのであるから、本件ブロック擁壁や本件建物について右違反があるか否かについては、黙視すれば容易に確認することができたはずであった。

しかるに、被告Y1は、右確認・調査義務を怠り、原告に対し、後記5の各損害を与えた。

したがって、被告Y1は、原告に対し、民法七〇九条に基づく損害賠償責任を負う。

5  原告の損害

(一) 本件コンクリート擁壁及び本件建物には、右のような著しい欠陥があり、これを修復するためには、新しい擁壁及び建物を造り替えるほかなく、その費用は、次のとおり合計五三九六万九六三〇円である。

(1) 取り壊し、再築費用(造園費用を含む) 五〇五五万四〇〇〇円

(2) 建具・雨樋補修費用 二万四三三〇円

(3) 建築士の調査鑑定費用 七〇万円

(4) 地盤調査費用 五一万五〇〇〇円

(5) 引越費用 四〇万円

(6) 建物レンタル費用 一六五万円

(7) 登記費用 一二万六三〇〇円

(二) 慰謝料 一〇〇万円

原告は、将来母を引き取って同居するために、待望のマイホームを購入したものの、購入当初から本件建物の欠陥に悩まされ、擁壁が何時倒壊するかと思うと到底安心して生活できず、その心労は計り知れない。原告の受けた精神的苦痛に対する慰謝料額は一〇〇万円を下らない。

(三) 弁護士費用 六九三万円

大阪弁護士会報酬規定によれば、着手金が二三一万円、報酬金が四六二万円、合計六九三万円である。

6  よって、原告は、被告Y2建設及び被告Y3に対しては不法行為に基づく損害賠償請求として、被告Y1に対しては債務不履行ないし不法行為に基づく損害賠償請求として、各自、原告が被った損害金合計六一八九万九六三〇円の内金六一三六万〇三〇〇円及びこれに対する訴状送達の日の翌日(被告Y1及び被告Y2建設については平成八年三月一四日、被告Y3については同月一五日)から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。

四  争点に関する被告Y2建設の主張

1  本件コンクリート擁壁の変形について

本件コンクリート擁壁が変形したのは、①本件コンクリート擁壁の上に本件ブロック擁壁を設置したうえ、更に盛土をしたため、本件コンクリート擁壁に耐力以上の荷重がかかったことに加え、②平成七年一月一七日に発生した兵庫県南部地震の影響を受けたためである。

しかるに、①本件ブロック擁壁の設置及び盛土の施工は、原告が、被告Y1の関与のもと、b造園株式会社(以下「b造園」という。)に行わせたものであり、②地震については不可抗力であるから、被告Y2建設は、本件コンクリート擁壁の変形及び本件建物の不等沈下について責任を負わない。

2  本件コンクリート擁壁の強度調査業務について

被告Y2建設は、a社から、本件コンクリート擁壁が設置された状態で本件土地を買い受けたものであるが、本件コンクリート擁壁を含む本件土地は、既に奈良県知事による検査に合格していたのであるから、被告Y2建設がさらに擁壁の強度を調査する義務はない。

3  本件建物の基礎構造の欠陥について

(一) 被告Y2建設は、ランマーによる割り栗地業をしたうえ、住宅金融公庫融資住宅木造住宅工事共通仕様書(以下「公庫仕様」という。)どおり、厚さ一五センチメートル以上、幅六〇ないし六五センチメートルの底盤を施工しており、このような施工をしていれば、型枠を使用した施工でなくても基礎の強度に影響はない。

(二) 被告Y2建設は、布基礎に鉄筋を埋設している。

そもそも、本件土地は、著しく軟弱な区域として指定された区域ではなく、公庫仕様書では鉄筋の仕様は義務付けられていない。

4  本件建物の軸組構造の欠陥について

(一) 本件建物の軸組構造については、多少の不手際はあるものの、全体としては公庫仕様書どおりに施工しており、中間検査及び完了検査にも合格している。

原告が主張する軸組構造の欠陥の多くは、本件コンクリート擁壁が外側に傾斜・変形したことや兵庫県南部地震の影響を受けて後発的に発生したものであり、当初から本件建物自体に瑕疵があったわけではない。

(二) また、軸組構造における不手際が原因で本件建物が傾斜したわけではなく、右不手際と原告が被った損害との間には因果関係がない。

五  争点に関する被告Y3の主張

1  被告Y3は、被告Y2建設から、①建売金融公庫付確認申請一式並びに②本件建物の中間・完了検査の申請及び立会いを請け負ったにすぎず、本件建物を誠実に設計し工事監理するという義務までは負っていない。

2  被告Y2建設の主張(四1ないし4)と同じ。

六  争点に関する被告Y1の主張

1  特定物売買において債務不履行責任を問い得るかについて

被告Y1は、原告に対し、特定物である本件土地及び本件建物を売却したのであるから、これらを現状のまま引き渡せばよいのであって、債務不履行責任を負う余地はない。

2  被告Y1の過失について

(一) 因果関係について

(1) 本件ブロック擁壁の新たな設置及び更なる盛土の施工と本件コンクリート擁壁の変形との間の因果関係について

本件コンクリート擁壁が変形した原因は、これに加わった土圧及び積載荷重が予想より大きかったためだと考えられる。

しかし、本件コンクリート擁壁が、本件ブロック擁壁を積んだうえ、新たに盛土をしたために変形したのか、このような施工をしなくても変形したのかは未だ不明であり、その因果関係は立証できていないというほかない。

(2) 本件建物の基礎及び軸組構造の瑕疵と本件建物の傾斜・変形との間の因果関係について

本件建物が傾斜・変形したのは、本件コンクリート擁壁の変形によるものと考えられるのであって、仮に本件建物の基礎及び軸組構造に瑕疵があったとしても、右瑕疵と本件建物の傾斜・変形との間には相当因果関係がない。

(二) 本件コンクリート擁壁の強度調査業務について

(1) 本件土地は、本件コンクリート擁壁を含め、奈良県知事による開発工事完了検査に合格しており、被告Y1が更に本件コンクリート擁壁の強度を調査する必要はない。

(2) また、本件コンクリート擁壁が変形した原因は、前記(一)のとおり、これに加わった土圧及び積載荷重が予想より大きかったためであると考えられる。

しかし、本件コンクリート擁壁が耐え得る土圧及び積載荷重の大きさは、本件コンクリート擁壁の予定耐力及び後から盛土された土量によって変化するうえ、新たに盛土された量は、もとの盛土の高さや法面の状況を把握しなければ算出できない。

したがって、被告Y1は、被告Y2建設が新たに盛土したか否かや新たな盛土により本件コンクリート擁壁の予定耐力を超える土圧及び積載荷重が加わったか否かを調査することは不可能であった。

(3) 被告Y2建設による新たな盛土と本件コンクリート擁壁の変形との間の因果関係は未だ不明であり、仮に、被告Y1が、被告Y2建設が新たに盛土をしたこと及びその土量について知り得たとしても、本件コンクリート擁壁の変形を予見することはできなかったというべきである。

(三) 本件建物の基礎構造及び軸組構造の調査義務について

本件建物は、公的機関によって中間・完了検査がなされ、検査済証が交付されているのであるから、被告Y1は、さらに本件土地を掘削したり、本件建物の小屋裏に潜ったりして、独自に調査すべき義務を負っていないというべきである。

(四) 損害額について

本件土地及び本件建物に瑕疵があるとしても、その修復は、本件建物をジャッキアップし、本件土地にコンクリート等の土地強化剤を流し込む等して地盤改良を行ったうえ、本件建物を補修することによって行うのが適当であり、新しく擁壁や建物を造り替えるという方法は相当ではない。

(五) 被告Y2建設の主張(四3、4)に同じ。

第三当裁判所の判断

一  本件コンクリート擁壁及び本件建物の瑕疵の有無

1  本件コンクリート擁壁

<証拠省略>及び弁論の全趣旨によれば、本件コンクリート擁壁は、南西側で七・二センチメートル(角度一・一度)、南東側で一六センチメートル(角度二・五度)、南東側で一六センチメートル(角度二・五度)回転移動しており、壁面には多くの亀裂が走っていることが認められ、右事実によれば、本件コンクリート擁壁に瑕疵が生じているものというべきである。

2  本件建物の基礎構造

(一) <証拠省略>及び弁論の全趣旨によれば、一般に建物の基礎底盤の幅や厚みが不均質な場合、地反力が均等に伝わらないため、基礎底盤の厚みの薄い部分がせん断破壊する等の危険があること、また、基礎底盤について型枠施工しないと生コンクリート中のセメント及び水が直接地盤に吸収されやすくなり、コンクリート自体の耐力が損なわれる危険があること、本件建物の底盤は、型枠施工されておらず、その幅及び厚みが不均質であることが認められる。

被告らは、公庫仕様書どおり、厚さ一五センチメートル以上、幅六〇ないし六五センチメートル以上の底盤を施工していれば、型枠施工でなくても基礎の強度に違いはない旨主張するが、本件建物の基礎底盤は、厚みが五から一五センチメートルと不均質であって<証拠省略>、公庫基準(厚さ一二センチメートル以上)を満たしておらず、また、型枠施工しなくても強度の面で差異がないことを示す証拠もない。

したがって、本件建物の基礎構造には、瑕疵が存するものというべきである。

3  本件建物の軸組構造

(一) 施行令及び公庫仕様書によれば、①構造耐力上主要な部分である壁、柱及び横架材を木造とした建築物にあっては、全ての方向の水平力に対して安全であるように、各階の張り間方向及びけた行方向に、それぞれ壁を設け又は筋かいを入れた軸組を釣り合いよく配置しなければならないこと(施行令四六条一項)、②構造上主要な部分である継手又は仕口は、ボルト締、かすがい打、込み栓打その他の構造方法によりその部分の存在応力を伝えるように緊結すべきこと(同四七条一項)、③軒げた又は敷きげたとの仕口は、かぶとあり掛け又は渡りあごとし、いずれも羽子板ボルト締とすべきこと(公庫仕様書五・五・一)、④上部・下部の仕口は、短ほぞ差しとし、かすがい両面又はひら金物当て釘打としなければならないこと(同五・五・二)、⑤継手は、束の位置を避け、束より持ち出して、腰掛けかま継ぎ又は腰掛けあり継ぎとし、N七五釘二本打ちとすべきこと(同五・五・三)がそれぞれ要求されている。

また、建物の強度を確保するためには、小屋束を接ぎ木加工したり、垂木や小屋梁等で使用される材木に不良材を使用してはならないと解されている。

(二) ところが、<証拠省略>によれば、本件建物の軸組構造には、次のとおり、多くの欠陥があることが認められる。

①小屋束に接ぎ木をしている部分がある、②梁と小屋束の間にはズレや隙間がある、③梁と小屋束の仕口が加工されていない部分があるほか、金物補強されていない部分もある、④母屋の継手が束位置で継がれている部分がある、⑤梁と桁の仕口が、何ら加工されていなかったり金物補強されていない部分がある、⑥壁筋かいと桁の接合が、ほとんどの場所でずれたり隙間が空いたりしている、⑦仮設施工したと思われる木材を小屋筋かいに使用している部分がある、⑧一部の垂木や小屋梁に、不良材を使用している、⑨公庫仕様書の基準よりも小さい補強金物が使用されている、⑩火打ち梁が梁及び桁に突き付けでボルト接合しているだけで、その断面の寸法も公庫基準より小さい。

以上を総合すれば、本件建物の軸組構造は、前記(一)の施行令及び公庫仕様書による基準を満たしておらず、瑕疵があると認められる。

4  本件建物の状況

<証拠省略>及び弁論の全趣旨によれば、次の各事実が認められる。

(一) 本件建物内部の状態

(1) 本件建物全体で七センチメートル以上、一部屋だけで約五センチメートル以上の高低差がある。

(2) 壁面や玄関土間には、多くの亀裂がある。

(3) 七カ所の扉が、閉まったまま開かないか、閉めるのが困難な状況である。

(4) 掃き出し出口の窓の上部に隙間があり、施錠できない状態となっている。

(5) 一、二階の和室の柱際の壁に隙間があいている。

(二) 本件建物の外周部の状態

(1) 庭全体が、六センチメートルほど南側に移動している。

(2) 本件建物の外壁に、多数のひび割れが生じている。

二  被告Y2建設の不法行為の有無について

1  被告Y2建設が本件ブロック擁壁を設置したうえ、更に盛土を施工したかについて

(一) <証拠省略>及び弁論の全趣旨によれば、次の各事実が認められる。

(1) 被告Y2建設は、a社から、本件土地を含む奈良県生駒郡<以下省略>の合計二〇区画の各土地を買い受けたが、その時点では、右各土地上にブロック擁壁が設置されていなかった。

(2) 被告Y2建設は、右各土地のうち五ないし六区画はそれぞれ建物を新築したうえ自らが直接顧客に販売し、また、本件土地を含むその余の土地については、被告Y1に売却し、被告Y1から注文を受けた建物を新築した。

(3) 右各土地上には、被告Y2建設が直接顧客に販売したものも含め、いずれもブロック擁壁が設置され、擁壁の上部まで盛土がされている。

本件ブロック擁壁の設置や新たな盛土も、被告Y2建設が施工したものである。

(4) 被告Y1と被告Y2建設の間で交わされた本件建物の建築工事に関する注文書及び注文請書には、「建築請負契約金額(造園工事含)」と記載されている。

(5) 原告は、b造園に対し、二五〇万円分の造園工事を注文しているが、その中には、本件ブロック擁壁及び盛土の設置は含まれていない。

(二) 以上によれば、被告Y2建設が、本件ブロック擁壁を設置したうえ更に盛土をしたものと認められ、<証拠省略>中、右認定に反する部分は採用できず、他に右認定を覆すに足りる証拠はない。

(三) もっとも、本件建物は、建築主事による建物の中間・完了検査に合格しているが、その際に、本件ブロック擁壁が問題となった形跡はない。

しかし、これらの検査は、建物の基礎や軸組構造等建物自体の点検を主として行われるものであり、その検査時間も二〇から三〇分程度であったにすぎず、建築主事による中間・完了検査に合格していることから直ちにその当時本件ブロック擁壁が設置されていなかったと認められるわけではない。

2  被告Y2建設の過失の有無

(一) 本件コンクリート擁壁の欠陥について

<証拠省略>及び弁論の全趣旨によれば、本件コンクリート擁壁が回転移動したのは、その上に本件ブロック擁壁が設置されたうえ、更に盛土がされたため、本件コンクリート擁壁の耐力以上の負荷がかかったことによるものであることが認められる。

そして、本件コンクリート擁壁の上に本件ブロック擁壁を設置し盛土することは、宅地造成規制法施行令五ないし七条に違反する行為である。

以上によれば、被告Y2建設は、過失によって本件コンクリート擁壁の回転移動を生じさせたものというべきである。

(二) 本件建物の基礎及び軸組構造の欠陥について

(1) <証拠省略>及び弁論の全趣旨によれば、被告Y2建設は、過失によって前記一2、3のような瑕疵を生じさせたものと認められる。

(2) もっとも、被告Y2建設は、前記一3(二)の瑕疵の多くが、兵庫県南部地震の影響を受けて後発的に発生したものであり、当初から存在していたのではない旨主張する。

しかし、一3(二)①、③ないし⑤、⑦ないし⑩の各瑕疵は、いずれも兵庫県南部地震と無関係に生じたことが明らかであるし、また、同②及び⑥の各瑕疵も、兵庫県南部地震における本件土地周辺の震度が四(中震)に止まっていたことや(当事者間に争いがない。)、本件建物において既に平成元年ころから壁に亀裂が入ったり扉の開閉が困難になるなどの故障が頻発していたことからすれば<証拠省略>、右地震によって生じたものであるとはいえず、仮に、そうであったとしても、わずか震度四程度の揺れによって建物の軸組構造に影響が生じたのであれば、被告Y2建設による本件建物の設計・工事・監督自体に問題があったことを示しているというべきである。

したがって、この点に関する被告Y2建設の主張は理由がない。

三  被告Y3の過失の有無

1  <証拠省略>及び弁論の全趣旨によれば、次の各事実が認められる。

(一) 被告Y3は、被告Y2建設から、建売金融公庫付確認申請手続並びに本件建物の中間・完了検査の申請及び立会いを、代金九万七〇〇円で請け負った(以下「本件請負契約」という。)。

(二) 被告Y3は、本件請負契約に基づき、被告Y2建設から提出された本件建物の平面図を基に、立面図、矩計図、筋かいの軸組計算図及び仕様書を作成し、これらを本件土地の開発行為に関する検査済証を添付したうえ奈良県郡山土木事務所に提出して建築確認申請等の手続を行うとともに、本件建物の中間・完了検査を申請しこれらの検査に立ち会ったが、本件建物の設計及び工事監理は行わなかった。

2  ところで、建築基準法五条の二及び建築士法三条の三第一項は、延べ面積が一〇〇平方メートルを超える木造建物を建築する場合、必ず一級又は二級建築士でなければ設計及び工事監理をしてはならず、これらに違反した工事をしてはならない旨規定している。

これは、延べ面積が一〇〇平方メートルを超える新築木造建物の安全性を確保するために設けられた強行規定であるから、一級又は二級建築士は、建物の設計及び工事管理をする意思もないのに設計者・工事管理者として届け出ることは許されないのであって、右建物の設計者・工事監理者として届け出た以上は、その業務を誠実に遂行すべき義務を負っているというべきである(建築士法一八条一項参照)。

3  そこで本件についてみるに、丙第三号証によれば、本件建物の延べ面積は一〇五・九八平方メートルであるから、一級又は二級建築士でなければ、その設計及び工事監理をしてはならず、二級建築士である被告Y3は、本件建物の設計者及び工事管理者として届け出た以上、その業務を誠実に行うべき業務を負っていたというべきである。

しかるに、被告Y3は、本件建物の設計及び工事監理を怠り、この結果、本件ブロック擁壁や本件建物には、前記一1ないし3のような瑕疵が生じた。

したがって、被告Y3には、過失によって右瑕疵を生じさせたというべきである。

四  被告Y1の過失の有無

1  被告Y1が原告に対し本件土地及び本件建物を売り渡したこと、その際、本件コンクリート擁壁の耐力、本件建物の基礎構造及び軸組構造について独自に調査しなかったことは、当事者間に争いがない。

2  ところで、不動産業者は、顧客に対して土地・建物を販売する場合、売買契約に付随する義務として、その安全性について調査すべき義務を負っているというべきである。

しかし、都市計画法や建築基準法に基づいて公的機関が検査すべきものとされている場合は、土地・建物について専門家による安全調査が実施されるのであるから、不動産業者としては、特段の事情がない限り、公的機関による検査の実施の有無について調査すれば足り、これに加えて、その安全性について独自に調査することまでは必要でないというべきである。

3  そこで本件において被告Y1に調査義務違反ないし過失があったかについて検討する。

(一) 本件土地について

本件土地が市街化区域に属すること及びa社が都市計画法二九条一項に基づき奈良県知事の許可を受け本件土地を開発工事したことは当事者間に争いがない。

したがって、本件土地は、同法三六条一、二項により、奈良県知事による完了検査が義務付けられている。

(二) 本件建物について

<証拠省略>及び弁論の全趣旨によれば、本件土地は、都市計画区域(市街化区域)に属すること及び本件建物の延べ床面積が一〇〇平方メートルを超えることが認められる。

したがって、本件建物は、建築基準法七条の二、七条一項、二項、六条の二第一項二号、六条一項四号、五条の二第一項、建築士法三条の三第一項により、建築主事による建築確認及び完了検査を受けることが義務付けられている。

(三) そして、①本件土地について、奈良県知事による完了検査がなされ検査済証が交付されていること、②本件建物について、建築主事による建築確認、中間・完了検査がそれぞれ行われ、検査済証を交付していること及び③被告Y1が、奈良県知事及び建築主事による右検査・確認がなされていることを調査したうえ、原告に対し本件土地及び本件建物を売り渡したことは当事者間に争いがない。

(四) 以上によれば、被告Y1は、本件土地及び本件建物についての調査義務を尽くしていると認められ、これと異なる前提に立った原告の主張はその他の点を検討するまでもなく理由がない。

五  原告の損害

1  前記三1ないし4で認定した本件土地及び本件建物の状況、特に、①本件コンクリート擁壁が最大で一六センチメートル(角度二・五度)回転移動し、壁面に多数の亀裂が走っていること、②本件建物が七センチメートル以上不等沈下していること、③本件建物の基礎に多数の亀裂や破断が見られること、④本件建物の軸組に多数の緊結不良が見られることに鑑みれば、本件コンクリート擁壁及び本件建物は、安全性を全く備えていないといわざるを得ない。

そして、本件土地及び本件建物には、右のとおり、敷地の擁壁、建物の基礎、軸組といった主要部分にまんべんなく瑕疵が存在しており、もはや部分的な補修によっては安全性を回復することは不可能であるから、これらを取り壊したうえ、擁壁や建物を作り直すほかないというべきである。

2  損害額

(一) 取壊し・再築費用

甲第五号証の1によれば、本件建物等の既存家屋の解体のため二六五万一六八四円、本件建物と同程度の規模の建物の建築のため一五二五万九五九八円、本件コンクリート擁壁等の既存擁壁の取壊し及び敷地状況に対応した擁壁の工事のため少なくとも二九八九万八〇〇〇円を要することが認められ、右費用は、いずれも被告Y2建設及び被告Y3の前記二、三の各過失による不法行為(以下「本件不法行為」という。)と相当因果関係がある損害であると認められる。

(二) 造園費用

<証拠省略>によれば、本件土地に施工されたのと同程度の造園を施工するためには、二五〇万円を要することが認められ、右費用は、本件不法行為と相当因果関係がある損害であると認められる。

(三) 建具補修費用

<証拠省略>によれば、原告は、平成五年八月一二日及び一七日、本件建物の玄関ドアや木製扉の調整費として合計一万一三三〇円を支出したことが認められるが、このような調整が必要となったのは、本件コンクリート擁壁の回転移動によって本件建物が傾斜・変形したためであるから、右費用は、本件不法行為と相当因果関係がある損害であると認められる。

(四) 雨樋補修費用

<証拠省略>によれば、原告は、平成五年八月二八日及び同年九月一五日、雨樋の掃除及び補修費として一万三〇〇〇円を支出したことが認められるが、右工事が必要になったのは、本件コンクリート擁壁の回転移動によって本件建物が変形・傾斜し、雨樋の傾斜が逆になったためであるから、右費用は、本件不法行為と相当因果関係がある損害であると認められる。

(五) 建築士の調査鑑定費用

<証拠省略>によれば、原告は、有限会社c一級建築士事務所に対し、本件建物及び本件コンクリート擁壁の欠陥について調査・鑑定を依頼し、その鑑定料として七〇万円を支出したことが認められる。

そして、本件建物等の具体的な瑕疵の内容、程度及びその原因を調査するには、専門家による調査鑑定が不可欠であるから、右費用は本件不法行為と相当因果関係のある損害であると認められる。

(六) 地盤調査費用

<証拠省略>によれば、原告は、株式会社dに対し、本件土地の地盤調査のためボーリングを依頼し、五一万五〇〇〇円を支出したことが認められるが、本件建物及び本件コンクリート擁壁に瑕疵が生じた原因を調査するには、地盤の状況等を正確に把握することが必要であるから、右費用は本件不法行為と相当因果関係のある損害であると認められる。

(七) 引越し費用

原告は、本件建物及び本件コンクリート擁壁を一旦取り壊したうえ、新たに擁壁や建物を作り直さなければならず、そのためには、本件建物と代替建物との間を二回にわたり引越ししなければならない。

そして、甲第五五号証によれば、その引越費用は、一回につき少なくとも一〇万円、合計二〇万円を要することが認められ、右費用は、本件不法行為と相当因果関係のある損害であると認められる。

(八) 代替建物の賃料

<証拠省略>及び弁論の全趣旨によれば、本件建物と同等の建物の賃料相当額は、一か月一五万円を下らず、本件建物を取り壊し、新しい建物を新築するには、少なくとも一一か月を要することが認められる。

したがって、原告は、その間、合計一六五万円の賃料を支出しなければならず、右費用は、本件不法行為によって生じた損害であると認められる。

(九) 登記費用

<証拠省略>によれば、新たな建物を再築した場合、表示登記のため八万七五〇〇円、保存登記のため三万八八〇〇円をそれぞれ支出しなければならないことが認められ、右各費用は、いずれも本件不法行為と相当因果関係のある損害であると認められる。

(一〇) 慰謝料

<証拠省略>及び弁論の全趣旨によれば、原告は、両親を引き取る予定で本件土地・本件建物を購入したのに、入居当初から様々な瑕疵に悩まされ、両親を引き取ることもできず、本件建物が倒壊するかもしれないという不安を感じながら今日に至ったことが認められる。

このために原告が被った精神的損害は、少なくとも一〇〇万円に相当するというべきである。

(一一) 以上の小計 五四五二万四九一二円

(一二) 弁護士費用

本件事案の内容、損害額その他弁論の全趣旨を考慮すれば、本件不法行為と相当因果関係のある弁護士費用は、五五〇万円が相当である。

(一三) 合計 六〇〇二万四九一二円

六  被告Y2建設に本件訴状が送達された日が平成八年三月一三日であること及び被告Y3に本件訴状が送達された日が同月一四日であることは、当裁判所に顕著である。

第四結語

以上によれば、原告の本訴請求は、被告Y2建設及び被告Y3に対し、各自、金六〇〇二万四九一二円及びこれに対する被告Y2建設については平成八年三月一四日、被告Y3については同月一五日から支払済みまで年五分の割合による金員の支払を求める範囲で理由があるからその範囲で認容し、被告Y2建設及び被告Y3に対するその余の請求並びに被告Y1に対する請求は理由がないから棄却することとし、訴訟費用の負担について、民事訴訟法六一条、六四条本文、六五条一項本文を、仮執行宣言について、同法二五九条一項をそれぞれ適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 山下寛 裁判官 亀井宏寿 神野泰一)

<以下省略>

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