大阪地方裁判所 昭和25年(タ)39号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
(事実)
原告は、原告(女)は被告(男)と婚姻し三児を儲けたが、被告は情婦を拵える等の不行跡があつたので、原告は被告の改悛を促すため姉の婚家に逃避したところ、被告はその後所在も告げずに家出し原告に対し生活費の仕送りも音信もなく、このような所爲は不貞の行爲並びに惡意の遺棄に該当する、と主張して離婚を求めた。
(判斷)
原告勝訴。判決は略原告主張通りの事実を認め、ただ昭和二十一年頃情交関係を結んだ点は原告が当時事実を知つており、以來一年以上経過しているから、旧民法によつてこれを原因とする離婚の訴は認容できないとしたが、惡意の遺棄の成立を認めて次のように判示した。
「次に原告の方から三男紀三を伴つて従來の原被告の住居を去り奈良県の姉婿の所へ行つた原因は、そもそもその当時家を明けて遊び廻るという被告の無軌道な生活態度にあり、原告としては被告の改悛を促すべく出て行つたとみるのが相当であるから、行先もはつきりしており且つ近くのことであるし、被告としては原告の許へ行くなり原告を呼び戻すなりして夫婦共同生活を回復するよう努力するのが当然であつたに拘らず、その後も放蕩を極め遂に原告等に行方も告げず出奔し、爾來原告に何の音沙汰もないというのは惡意による同居義務の不履行であり、また被告は……一家の生活を全く顧みないばかりか、却つてその財物や他人の物を売り飛ばしては遊び廻り、原告が奈良の姉婿の許へ行つてからは全然生活費の仕送りもせず、原告に不自由な暮しをさせて顧みないのは惡意による協力扶助の義務の不履行というべきである。しかも右に述べた同居義務や協力扶助の義務の不履行は既に二年以上も継続しているのであるから、被告は惡意を以て妻たる原告を遺棄したものと認めることができる。」