大阪地方裁判所 昭和29年(ワ)5041号 判決
証拠によれば、原告が愛国ドライクリーニング株式会社に対し昭和二七年七月頃から昭和二八年一月一五日頃までの間に数回に合計八八万円を弁済期の定めなく貸与したことが認められる。
原告は右会社の右消費貸借上の債務につき被告吉住延市は連帯債務を負うことを原告に約した旨主張し、証拠によれば、右会社が昭和二七年七月一五日に原告より金一八万円を借受けた際、被告吉住延市は自己の個人名を記した名刺の裏に右金員を受領した旨を記載して原告に交付したことが認められるけれども、右会社は、原告、被告吉住延市及び数名の親戚縁者が株主となつて設立せられた小規模の会社であることは弁論の全趣旨により明らかであり、かかる会社においては、会社代表取締役たる資格と代表取締役個人としての資格が必ずしも常に使いわけられるとは限らないと認めるのが相当であるから、右のように代表取締役たる被告吉住延市が右会社の借受金の領収証として個人名義の名刺を使用した一事をもつて右借受金につき同被告が右会社のために連帯債務を負担したことを認定する資料とはなしがたく、他に原告の主張を認めるに足る証拠はない。