大判例

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大阪地方裁判所 昭和30年(ワ)452号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔争点〕原告は訴外ステフエス・インターナシヨナル・インコーポレイテツドと共同して在日米軍から仮設建物建設等工事を請負つたが、右両者は工事代金の取立を被告銀行A支店に委任し、取立の便宜上工事代金債権をA支店に譲渡した。そしてA支店が在日米軍から工事代金を取立てたときの支払方法につき原告と右訴外ステフエス連名の領収証を徴してA支店の原告代理人甲・右訴外ステフエス代理人乙共同の当座預金口座に入金することを契約した(本件支払い契約)。

A支店長は第四回工事代金五二七万余を在日米軍から取立てたが、前記領収証を徴することなくB支店に送金して右訴外ステフエスにのみ支払つた。右訴外ステフエスはその後日本における事務所を閉鎖し社長も国外に退去し音信もなくなつた

そこで原告は、右訴外ステフエスとは損害折半の約定であつたから、右五二七万余円の二分の一につき弁済の効力を生じたとして、残余二分の一を本件支払契約に基いて請求し、原告単独で請求し得る根拠の一として右訴外ステフエスの組合から脱退ないし組合契約の解除を主張した。これに対する判断が判決理由一である。しかし、被告銀行の弁済の抗弁を容れたのが、判決理由二である。

なお原告は、右弁済の効力を生じたとする二分の一相当の金員について、右訴外ステフエスが単独受領したため原告がこれに対する求償債権の行使を事実上不能となつたとして、A支店長が被告銀行の事業執行上原告に加えた損害の賠償を請求したが、判決は、A支店長が特約に反し違法に原告の利益を侵害したと認め、従前の支払方法、第四回支払についての確認措置の不徹底等から過失も認め、判決理由二にいうように不法行為責任を負うとしたが、損害の立証がないため結局同請求を排斥している。

〔判決理由〕一、そして本件組合から前示認定のように訴外ステフエスが脱退したことにより、組合は消滅し組合財産は原告の単独所有に帰したものというべきである(二人の構成員からなる組合において、一人が組合から脱退した場合には組合は解散するが、合有関係にあつた組合財産は非脱退組合員の単独所有に帰し、非脱退組合員が単独で清算するものと解すべきである)。

そうであるとすれば、原告が本訴において請求する本件支払い契約に基く債権も訴外ステフエスの組合からの脱退と同時に原告の単独所有に帰したものであり、原告がその請求について単独で原告適格を有することは明らかである。

なお原告の主張によれば、原告及び訴外ステフエスと被告銀行の間に本件支払い契約に基く債権を原告と訴外ステフエスが共同して受領すべき旨の特約があつたというのであるが、本件支払い契約に基く債権が原告の単独所有に帰したとしても右特約により原告は単独でその債権を行使できないのではないかとの疑問があろう。

しかし原告の主張からすれば、原告と訴外ステフエスが被告銀行に取立を委任した本件工事代金は原告と訴外ステフエスとの組合債権であり、又被告銀行が在日米軍から本件工事代金を受領したとき、原告と訴外ステフエスが本件支払い契約に基き被告銀行に対して有する債権も又組合債権である。従つてその組合債権の行使については当然原告と訴外ステフエスが共同してなすべきものであり、原告主張の支払い契約はその組合債権の行使につき特別の受領債権を定めたものではなく、組合債権の当然の行使方法を確認したに過ぎないものというべきであり、右組合債権が原告の単独所有に帰した以上原告が単独で請求することを妨げないものというべきである。

二、被告は、組合員の一人である訴外ステフエスに本件工事代金五二七万四三六〇円を支払い、これにより本件支払い契約による原告と訴外ステフエスの債権も消滅したと主張する。被告が訴外ステフエスに対し本件工事代金五二七万四三六〇円を支払つたことについては当事者間に争いがない。

本件債権は前記認定のように原告と訴外ステフエスとの合有債権であり、又その受領方法についても原告と訴外ステフエス連名の領収証を徴した上、前記原告代理人橘・訴外ステフエス代理人佐藤共同の口座に入金すべき旨の特約があつたのであるが、そうであるからといつて、訴外ステフエスが本件債権の債権者でなくなつたわけではなく、被告が契約違反或いは不法行為による責任を負うことがあるは格別、訴外ステフエス単独に対してなした弁済も、民法第四七九条の趣旨により、本件支払契約に基く債権の弁済としての効力を有するものというべきである(最高裁昭和三四年六月一一日判決・民集一三巻六号七〇四頁参照)。(山内敏彦 平田孝 小田健司)

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