大阪地方裁判所 昭和30年(ワ)510号 判決
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〔事実および判断〕原告らは、頭記事項に関係した請求原因として、原告らは訴外上野勝造から賃借していた土地の一部八坪(本件土地という。)を同上野の承諾を得て訴外早田弘に転貸したところ、同早田は、本件土地上に建坪八坪のバラツクを建て、これを訴外亡吉岡俊蔵に売却し、原告らの承諾を得ることなく本件土地を右吉岡に使用させていたので、原告らは右早田に対する前記転貸借契約を解除したが、右吉岡は、原告らおよび訴外上野勝造に対抗し得る正当な権限なく、しかも右権限のないことを熟知しながら前記バラツクを所有して、その敷地である本件土地を不法に占有し続け、原告らの賃借権に基く本件土地使用収益権を妨害した。これは右吉岡の原告らおよび右上野に対する不法行為を構成する。そこで原告らは、本件土地使用収益権を保全するため、賃貸人である右上野に代位して右吉岡に対し右バラツクの収去および本件土地の明渡を求めるため、弁護士水田猛男に訴訟を委任して訴を提起し、第一審(大阪地裁)、第二審(大阪高裁)および差戻後の第二審(大阪高裁)でいずれも勝訴の判決を受け、右訴訟は終了したが、そのため原告らは、右水田弁護士に対し、右各審級毎に着手金一万円並びに成功報酬金二万円すなわち右全審級を通じて合計金九万円を支払つた。この九万円は右吉岡の前記不法行為によつて生じた損害であるが、右吉岡がその後死亡したので、同人の相続人である被告吉岡辰夫ほか四名に対し、各相続の範囲内で、損害金の内金の支払を求める、と述べた。被告らは、訴外亡吉岡俊蔵の本件土地占有は適法なものであつた旨主張して抗争した。
判決は、原告ら主張の事実とほぼ同様の事実および右吉岡俊蔵が前記建物収去土地明渡の訴訟に応訴して抗争した事実を認定し、右吉岡俊蔵の本件土地占有は原告らに対する不法行為であるとしたうえ、次のとおり判断して、原告らの請求を認容した。
「一般に権利者が他人の不法行為により権利を侵害されたため訴訟を提起する必要上弁護士に訴訟代理を委任するのは通例であり、かつやむを得ないものであるから、その訴訟代理人たる弁護士に支払つた着手金報酬金等でその額の相当なものは、当該不法行為によつて通常生ずべき損害と認めるのが妥当と解せられるが、原告等が訴訟代理人たる水田弁護士に支払つた右金九万円は、前記訴訟の着手金報酬として相当な額であると認められるので、右報酬金等は結局吉岡俊蔵の前記不法行為によつて原告等の蒙つた通常の損害であるといえるから、原告等はその賠償を求める権利を有するといわなければならない。」