大判例

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大阪地方裁判所 昭和31年(ワ)2895号 判決

次に、被告は、原告は大江保寿夫に本件土地を坪当り一万円で家屋買受人に売る媒介をさせることを承諾していたのであるから、大江がこれを被告に売却せず賃貸したとするも原告は民法一一〇条の規定に基き本人としての責に任ずべきであると主張する。原告が大江保寿夫に本件土地を坪当り一万円で家屋買受人に売る媒介の委託をしたことは当事者間に争いないところである。仲介契約が成立した場合に、媒介の委託と代理権の付与とは別個のものであるから、代理権をも付与したものと即断することはできない。然し委任又は委託の文言がある場合に、単なる周旋の委託であるか、売買の代理権をも含む委任であるかは、当事者の意思を探究して決すべきである。本件の場合依頼者から坪当り一万円と契約締結についての条件を明示しているので一見代理権をも付与しているかの如くみえるかも知れないが、媒介の委託においても、土地建物等の如きものとその他の物とを区別して考える必要がある。即ち土地建物等は一般に比較的価格大にして個性を帯び所有者の執着亦大なるを常とするので、これらの媒介の委託には、特別の事情のない限り、当然には代理権を伴つていないと解すべきである。そして本件にあらわれたすべての証拠によるも、原告が媒介の委任の外に売却の代理権を付与した事実が確認できないので、前記大江に媒介の委託を受けていたが、何等の代理権も与えられていなかつたといわねばならない。そうすると表見代理の成立する余地がないので、この点に関する被告の抗弁も理由がないというべきである。

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