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大阪地方裁判所 昭和33年(ワ)1512号 判決 1958年11月14日

原告

右代表者法務大臣

愛知揆一

右指定代理人検事

大久保敏雄

法務事務官 原矢八

大蔵事務官 則枝仁美

西村秀夫

大阪市東区杉山町一番地

被告

常盤クロス株式会社

右代表者清算人

平井文雄

右訴訟代理人弁護士

松浦孝一

村林隆一

主文

被告は原告に対し金七十五万円及びこれに対する昭和三十三年三月二十五日から完済まで年五分の割合による金員を支払うべし。

訴訟費用は被告の負担とする。

本判決は仮に執行することができる。

事実

原告は主文第一、二項同旨の判決と仮執行の宣言を求め、その請求原因として原告国(所轄大阪国税局長)は訴外常盤レザー株式会社に対し、昭和二十八年五月二十日現在において、すでに納期を経過した昭和二十七年度法人税、同加算税合計金六百二十七万三千八百三十九円の国税債権を有し、他方訴外会社は昭和二十七年七月二十日、その所有に係る大阪市西成区南開町三丁目三十一番地所在建物及び附属機械設備を一ケ月の賃料金十五万円、毎月払の約定で被告に賃貸し昭和二十八年五月二十日当時、被告に対し継続債権を有していた。

そこで大阪国税局長は訴外会社に対する滞納処分として、昭和二十八年五月二十日、訴外会社が被告に対して有する同日以降の賃料を右滞納国税債権に充つるまで差押え、同日被告にその旨の通知をなすと共に、毎月二十五日限り、これを支払うべきことを請求した。

しかるに被告は、昭和三十年十月分までの賃料を原告に支払つたのみで、爾余の支払をなさず、昭和三十一年三月解散し、右賃貸借を終了せしめるに至つた。

よつて原告は被告に対し昭和三十年十一月より昭和三十一年三月まで一ケ月金十五万円の割合による賃料合計金七十五万円及びこれに対する本件支払命令正本が被告に送達せられた日の翌日以後である主文第一項表示の日から支払済まで年五分の割合による遅延損害金の支払を求めるため本訴に及んだと陳述し、証拠として甲第一号証を提出した。

原告は原告の請求を棄却する、訴訟費用は原告の負担とするとの判決を求め、答弁として原告主張事実は争はないが訴外会社と原告との間に原告主張の国税賦課処分取消の訴訟(当庁昭和三二年(行)第四九号事件)係属中であるから、原告の請求に応じ難いと陳述し、甲第一号証の成立を認めた。

理由

原告主張事実は当事者間に争がなく、被告は原告主張の国税については訴外会社から原告に対し課税処分取消の訴訟を提起し、目下係争中であると主張するけれども、原告主張の国税債権は、その賦課処分が確定判決によつて取消されるまでは、有効に存在するものとなさなければならないから、被告の主張をもつてしては原告の請求を排斥するに足りない。

よつて民事訴訟法第八十九条、第百九十六条を適用し主文のとおり判決する。

(裁判官 岩口守夫)

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