大阪地方裁判所 昭和35年(ワ)1065号・昭35年(ワ)1066号・昭35年(ワ)1067号 判決
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〔判決理由〕<証拠>によると被告は<中略>昭和三〇年中大阪池田簡易裁判所に原告を相手どつて本件(イ)の土地につき昭和三〇年三月二四日なされた原告のための所有権移転登記は登記原因たる和解が存在しなかつたことを理由としてその抹消を求める旨の訴を提起し同年六月三〇日終結された口頭弁論にもとづき勝訴の確定判決をえたことが明らかである。そして右乙第二号証(判決)によると同事件の訴訟物は右土地に対する本件被告の所有権にもとづく抹消登記手続請求権であつて(登記原因たる和解の不存在は単に請求を理由あらしめる事実に過ぎない)、右判決確定の効果として前記昭和三〇年六月三〇日を標準日として右判決にてい触する判断は許されないと解すべきであり、したがつて本件において原告が昭和二二年二月中旬頃本件(イ)の土地を被告から買受けたのでこれにもとづく所有権移転登記手続請求権を有する旨主張するのは右判決の既判力にてい触し採用しえないものといわなければならない(普通登記請求権は時々刻々に発生すると説かれるけれども、それは基本権に対する侵害行為が継続するかぎり同権利は時効にかかることがないことの比喩的な説明に過ぎず、本件のような既判力上の問題としては登記請求権はもとより一個の状態的権利として理解せらるべきであり、また登記請求権は附随的且右に述べたとおり継続的な権利であるから所有権にもとづく登記請求権の存在が確定せられたことは登記請求権に関する限りその基本たる所有権の存在もまた確定せられたことを意味するものと解すべきである。したがつて原告の右判決の既判力は単に昭和三〇年六月三〇日現在における原告の前記登記抹消義務の存在を確定したに過ぎない旨の主張はこれを採用しない。(加藤孝之)