大阪地方裁判所 昭和37年(ワ)4994号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
〔判決理由〕ところで債権につき適法な差押転付命令が発せられて適式に第三債務者に送達せられても、右送達に先立つて既に被差押債権につき履行期が到来しており、しかも第三債務者も執行債務者に対し金銭債権を有している場合には、少くとも当該第三債務者の有する右債権についても右命令送達当時既に履行期が到来している限りは、右命令送達後においても第三債務者は当該被差押債権を受動債権とし、債務者に対する債権と相殺することを妨げられるものでなく、相殺をもつて当該差押債権者に対抗することを得るものと解せられるから、本件差押転付命令が第三債務者たる被告に送達せられた日時が昭和三七年七月四日午後四時二三分頃であつたこと当事者間に争のないところである以上、相殺の意思表示の具体的時点の右命令送達時との前後の如何を問わず被告は被差押債権たる前記定期積金債権については相殺による消滅をもつて差押債権者たる原告に対抗し得べきものといわなければならない。そして証拠を総合すれば、本件差押転付命令が被告に送達せられた前記時点には南海設備・被告および訴外浅見政一の間における前記認定の解約相殺充当による決済ならびに出資金債権譲渡はその実質上の合意が成立しかつその手続形式上の処理事務一切を完了していたか少くとも右実質関係上の合意は既にすべて完全に成立したうえで引続きこれに照応する手続形式整備のための書類作成事務続行中に右命令の送達がなされたことが認められ、証人松下浩・浅見政一および山本市郎の各右認定に反する趣旨の証言部分は弁論の全趣旨に照らしていずれも信用することができず、他に右認定に反する証拠はないから前記出資金返還債権についても亦本件差押転付命令による原告への移転の効果を認めることができない。(日野達蔵)