大判例

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大阪地方裁判所 昭和38年(タ)110号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決要旨〕認知の要件を定めるにつきその父について父の本国法たる朝鮮民主主義共和国法を適用すべき場合において右法律の内容が明らかでない場合には条理によつて定むべきであり、同地方と風俗、伝統、習慣の最も近接した社会である大韓民国法を適用するのが最も条理に合する。

〔判決理由〕法例第一八条によれば、子の認知の要件は、その父に関しては認知当時の父の属する国の法律によつてこれを定め、その子に関しては認知の当時子の属する国の法律によつてこれを定めることになつているから、本件においては、原告等がその父であると主張する郭信洪については前記認定の事実によつて死亡当時その本国と認められる朝鮮の法律により、原告等については前記認定の事実によつてその本国と認められる日本国の民法によるべき処、朝鮮においては現在大韓民国政府と朝鮮民主主義共和国政府が、その領土を南北に二分して夫々異なる法の支配が行なわれていることは顕著な事実であるから、このような場合には法例第二七条第三項の不統一法国に関する規定を更に類推適用するを相当と解する。そこで右両者のいずれの法律を適用すべきかは、当事者の本籍地出生地、住居地等の客観的要件の他、当事者がいずれの法律に従うことを希望しているかという主観的要件をも加味して判断すべきであると解すべき処、前掲各証拠によれば原告等の亡父郭信洪は、本籍地、出生地共に全羅南道莞島郡青山面堂洛里七四番地であるが、同人とその妻訴外鄭登業の間に出生した二人の子供の中、上の子は北鮮(朝鮮民主主義共和国)に居住してその大学に通つており、亡郭信洪も三年位前から同国に帰ることを希望していたので、その妻鄭登業は原告等を伴つて同国に帰住し度い希望を有し、帰国手続も全部終了していることが認められる。前記両政府は互に朝鮮の全領土全人民を支配し代表する政府であると主張し、朝鮮人はそのいずれの政府に所属するかの自由を有していると言うべきであるから、前記認定によればその当事者の意思によつて朝鮮民主主義共和国法に従うことを希望しているものと解されるから、郭信洪に関しては右法によるべきものと思料されるが右法律は現在当裁判所において明らかにすることができないので、このような場合には条理によつてこれを判断すべき処、嫡出でない子に法律上の父を定めることは、その子について重大な意義を有していること、及び同地方と風俗、伝統、習慣の最も近接した社会である大韓民国民法を適用することが最も条理に合するものというべき処、同法第七七四条によれば婚姻外の出生子と父の配偶者及びその血族等との間の親系と親等はその配偶者の出生子と同一なるものとみなしており同法第七九七条によれば、戸主はその家族に対して扶養の義務があることを規定し、又同法第八六三乃至八六五条には、認知請求の訴を提起し得ることが規定されているから、同地方の社会においても、血統上の父子関係ある婚外子のその父に対する強制認知の請求は条理上許容されるものと思料される。(鈴木清子)

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