大阪地方裁判所 昭和39年(ワ)1349号 判決
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〔判決理由〕(二)そこで請求原因(三)及びこれに対する被告らの反論(第三、二(一)(二)(1))につき考える。
本件において原告主張の確定判決は「裁決取消の訴に対する認容判決」であつて原処分即ち農地買収計画の取消を認容した判決ではない。
行政事件訴訟特例法の下においては裁決取消と原処分取消しの訴について現行行訴法のような(一〇条二項)原処分主義をとらず裁決取消の訴においても原処分の違法を主張することができたとしても、裁決取消の判決が確定したということによつて、原処分の取消判決が確定したと同様の効果が生じるものと解する余地はない。蓋し裁決取消の判決による形成力はすべて右取消判決の訴訟物の対象となつている当該裁決について生ずるのみであつて、右効力は原処分その他の関連処分まで及ぶものではない。そして裁決取消判決の理由中で原処分の違法性が認められたとしても、右原処分の違法性の認定はこれによつて裁決が違法になることの原因を示したに過ぎない。よつて裁決取消の判決が確定しても原処分たる本件買収計画は裁決庁又は原処分庁又は別訴の判決によつて取消されない限り、当然にかつ直接に、原告主張の如く原処分が取消されたものとなるものではないことは勿論、右判決に原処分取消の判決と同様の効力を認めることもできない。
従つて右にていしよくする原告主張は独自の見解であつて採用できず、右裁決取消判決により原処分たる買収計画取消の効果ひいて買収処分も当然失効し、本件農地の所有権が原告に復帰したことを前提とする本訴請求は爾余の点につき判断するまでもなく理由がない。尚原告は行訴法第三二条、第三三条の解釈をその主張の根拠としているところ、右法条は取消判決(処分又は裁決を取消す判決)についての効力を規定するところであるが処分取消の判決と裁決取消の判決の訴訟物を同一視するものでなく、当該事件における訴訟物は前者においては原処分の後者については裁決自体の各違法性ないしはその取消権であることを前提とし、同法第三二条は各その形成力が第三者に及ぶことを、第三三条は各その拘束力について規定するものであつて、同条二項はむしろ原告主張の前提に反し、裁決が判決により取消されたときはその裁決庁は判決の趣旨に従い改めて審査請求(旧訴願法に基く訴願申立)に対する裁決をしなければならないことを明言するに過ぎず、又自創法の趣旨その他からみても原告の法律上の主張を正当視しうるものはない。(増田幸次郎 松本昭一 古川正孝)