大判例

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大阪地方裁判所 昭和39年(ワ)2774号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕(第一、主文)一、被告は原告に対し、金一、五〇〇、〇〇〇円およびこれに対する昭和三九年六月二九日から完済まで年五分の割合による金員の支払をせよ。

二、訴訟費用は被告の負担とする。

三、この判決一項は仮に執行することができる。

四、ただし被告が金一、五〇〇、〇〇〇円の担保を供するときは、右仮執行を免がれることができる。

(第二、本訴申立)「主文一、二、三項同旨」

(第三、争いない事実)一、本件人傷自動車事故発生。

発生時 昭和三九年三月一日午後一時三〇分頃。

発生地 大阪市北区梅田町一番地先大阪中央郵便局東正面前路上。

事故車 被告保有小型四輪貨物自動車いすゞ六四年型、大四い二三三九号。

運転者 被告の雇用する中島敏夫。

受傷者 原告(歩行者)

態 様 訴外中島は右道路を北進中、郵便局前から大阪駅前に渡る横断歩道上を同伴者二名とともに東行横断中の原告に衝突、ために原告は受傷した。

傷害の内容 右腎臓破裂(摘出)、右膝関節挫傷、右下腹部打撲。

二、責任原因について。

被告は本件自動車を自己の貨物運送営業のために運行の用に供しているものである。

(第四、争点)一、原告の主張

(一) 被告の運行者責任

本件事故につき、被告は自動車損害賠償保障法第三条により、原告に対する賠償の責を免がれない。

(二) 損害発生 慰藉料 金一、五〇〇、〇〇〇円

前記各事実のほか左記事実が考慮されねばならない。すなわち原告は父久保一が経営する布帛帽製造卸業の家業に従事し、昭和一二年一一月一三日生れ(事故当時二六才)の有為な青年として将来この事業を承継する予定であつた。

ところが本件事故により右腎臓を摘出した結果、かた入れの熱作業など製造過程ならびに兵庫県、京都府一円にわたる取引先に対する外務などの重労働は将来長期にわたつて困難となり、労働能力の担当部分を失つた。

また、一般生活上にも種々健康上の不安がつきまとい、その精神的肉体的に受けた苦痛、生活上の打撃ははかりしれないものがある。

また、右金額は被告支払の治療費付添費以外の看護費、入院雑費等の損害をもふくめて請求するものである。

二、被告の主張<以下省略>

(第六、争点に対する判断)一、被告会社の運行者責任

本件は横断歩道上の歩行者に対する危険予防措置を怠つた訴外中島の横断歩道上の事故であつて、右事実を以てしても自動車損害賠償保障法第三条にいう免責事由は認められないから、被告の損害賠償義務は免がれない。

(資料)<省略>

二、損害  金一、五〇〇、〇〇〇円

原告主張事実(第四の一の(二))がすべて認められる。なお原告は約一ケ月入院治療、家庭での三、四月間の保養を要し、その後家業においても軽作業に従事するほかない。

ところで被告は病院治療費金一七二、六八〇円、病院付添費金一八、二五〇円、合計金一九〇、九三〇円のほか、右慰藉料の請求に応じない。

(資料)<省略>

三、過失相殺の主張について。

現場に信号機の設置はなく、横断歩道の路面の表示もあり、その表示の幅員もかなり広い。また当時車の往来は平常ほど頓繁ではなかつた。そして、原告は訴外空、訴外井上の二人の友人にはさまれて、横一列に並んで、一台北行自動車をやりすごして歩行中であり、特に走り出したものとは認められず、証人中島が「一旦停車した処へ原告が走り出してぶつかつた」旨の供述は現場の状況からして到底採用できない。従つて、原告に過失相殺すべき過失は認められない。

(資料)<省略>

四、結論

そうすると原告の慰藉料ならびに本訴請求後の遅延損害金の支払を求める本訴請求はすべて理由がある。

訴訟費用は敗訴者である被告の負担とし、仮執行に関する宣言を付した。(舟本信光)

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