大判例

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大阪地方裁判所 昭和39年(ワ)3175号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕二、原告等は、本件家屋の賃借人が被告、訴外橋本及び山本の三名共同であつたと主張するのに対し、被告は単独で賃借したと主張するので考えてみるに、<証拠>を総合すると、本件家屋は、昭和三一年八月頃まで、原告輝雄の木工所として使用されていたが、同原告が他に工場を建てて移転したので、被告がこれを賃借したいと申出でたが、峯平の被告に対する信用がそれ程なかつたところから、峯平の子飼いの番頭たる訴外橋本久保及び峯平の使用人である訴外山本重三を交えて協議した結果、峯平において、訴外両名及び被告が共同して本件家屋を賃借し、これを他に転貸して利益を挙げさせる目的で、右三名に対し本件家屋を賃料一カ月金一〇、〇〇〇円で賃貸することになつたが、当時、峯平と本件家屋敷地の賃貸人との間に借地に関して紛争があつたところから、本件家屋の賃借人として峯平と右のような間柄にある訴外両名の名義を表示することが、地主から紛争を有利にするための馴れ合いとみられることを懸念し、訴外橋本の発案により、賃貸借契約書(乙第一号証)には賃借人として被告の氏名のみを表示したことが認められる、<反証省略>。

三、ところで、一般に共同賃借人の内の一名が賃借権を独占行使した場合においても、それは賃借人間に適宜調整されるべきものであるに過ぎず、賃貸人がこれを理由として賃貸借を解除し得ると解することができないけれども、共同して賃借したことが、賃貸人との間の特殊な関係に基づくものであり、かつ、賃借権を共同行使することを、賃貸人においても賃貸借契約の目的ないし趣旨としていたような特段の事情が認められる場合において、共同賃借人の一人が前記のような行為をしかつ、これをやめるべき旨の賃貸人の催告を無視してこれを継続した場合には、賃貸人に対する信頼関係を破壊する不信行為ありとして、これを理由に賃貸借契約を解除し得るというべきであるところ、前示認定の被告の本件賃借権独占行為は、本件賃貸借成立における前示趣旨目的からみて共同賃借人たる訴外両名に対する背信行為たるにとどまらず、賃貸人たる原告等に対する不信行為にあたるというべく、又かかる結果を生ぜしめたことについては、賃貸人に対する関係で、訴外両名にもその責があるといわねばならないから、その余の点について判断するまでもなく、本件賃貸借契約は、原告等のした前示解除の意思表示(この意思表示をする前に原告等が被告に対し右不信行為をやめて、賃借権を共同行使すべく催告したことは原告輝雄本人尋問の結果によつて認められる。)が被告及び訴外人等に到達した同三九年六月二四日限り解除され、被告は訴外人等と連帯して、(本件賃貸借成立の経緯にかんがみるときは、賃料債務は賃借人三名連帯して支払う趣旨であつたことが窺知される。)、原告等に対し、本件家屋を明渡すとともに、同三八年五月一日から解除の日までの賃料、及び、解除の日の翌日から右明渡しずみに至るまでの損害金として、前示約定賃料額たる一カ月金一〇、〇〇〇円(原告等三名に対し各その三分の一ずつ)の割合による金員を支払う義務があるといわねばならないから、右各義務の履行を求める原告の本訴請求を正当として認容し、民訴法八九条、一九六条一項を適用して、主文の通り判決する。(下出義明)

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