大判例

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大阪地方裁判所 昭和39年(ワ)5125号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔争点〕Y1がXより宅地及びその地上建物を買い受けた際、右宅地のうち建物の北側に該る部分が私道の一部となつていたため、XとY1との間で、右宅地部分を承役地とする通行地役権が設定された。しかるに、Y1の妻であるY2は右宅地部分の地上にバラツク小屋及び木柵を設置してXの通行地役権を妨害した。そこで、XはY2に対し右バラツク小屋及び木柵の撤去を請求するとともに、Yらに対し通行地役権の確認及び通行を妨害してはならないと請求した。

YらはXの通行地役権そのものを争つたが、仮にXY1間で通行地役権が設定されたとしても、Y2はY1より右宅地の贈与を受け、その旨の登記を受けているにかかわらず、Xは右通行地役権につき登記を経ていないから、XはY2に対抗しえないと抗争した。

本判決は、XY1間で通行地役権が設定されている事実を認定し、更に、次のように判示して、Y2の右主張を排斥した。

〔判決理由〕被告美津枝が本件土地の上に、本件バラツク小屋及び木柵を放置していることは、当事者間に争いがないところ、被告らは、原告の本件土地に対する通行地役権については、その登記を経ていないから、被告敏一より承役地たる本件土地を含む宅地三〇坪五合七勺を譲り受け、その旨の登記を経た被告義津枝に対し、原告は右通行地役権をもつて対抗できないと抗争するので検討する。

被告美津枝が被告敏一より昭和三六年一月一一日右宅地三〇坪五合七勺を贈与により譲り受け、その所有権移転登記を受けたこと、及び、原告が本件通行地役権の登記を経ていない(本件土地を分筆しない限り登記をし得ないことはいうまでもない)ことは、いずれも当事者間に争いのないところであるから、結局右抗弁の当否は、被告美津枝が原告の登記の欠缺を主張し得る正当な利益を有する第三者に該当するかどうかということに帰着するところ≪証拠略≫を総合すると、被告両名は被告敏一が原告より前記宅地及び建物を買い受ける以前より夫婦として共同生活を営んでいること、甲第三号証の不動産売買契約証書が作成された際には、被告美津枝も同席し、原告の、前記私道上の本件土地を使用しないで貰い度い旨の申し出に対し、被告両名は、前記買受家屋で商売するつもりでいるから私道を使用して右宅地の西側にある二四軒の家屋居住者を敵に回すようなことはしないと言明して、右原告の申し出を承諾していたこと、右宅地を被告敏一が被告美津枝に贈与したのは、被告両名の間で買受当初より右宅地を被告美津枝の所有とするという約定があり、かつ、前示売買代金の支払いに充てた金一、二〇〇、〇〇〇円のうち、被告敏一が勤務先たる日本国有鉄道より借入れた金八〇〇、〇〇〇円を控除した残額を被告美津枝が支出した事情からであつて、当初右宅地の所有権名義人を被告敏一としたのも、被告敏一が右宅地の上に家屋を建築するという名目の下に日本国有鉄道より融資を受けるためであり、右宅地の実質的な所有者は、被告敏一が原告より買い受けた当初より被告美津枝であつたといつてよいこと、以上の事実を認めることができる。右認定に反する≪証拠略≫は前掲各証拠と対比して信用できず、他に右認定を左右するに足る証拠はない。

右に認定した事実関係の下では、本件通行地役権設定契約について、被告美津枝は第三者というよりもむしろ実質的な当事者ともいえる立場にあるから、原告が本件通行地役権の登記を有していないことを主張し得る正当な利益を有する第三者とはいえない。したがつて被告らが主張する右抗弁は採用の限りではなく、原告は被告美津枝に対しても、本件土地について通行地役権を主張することができるといわねばならない。(下出義明 寺沢栄 喜多村治雄)

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