大阪地方裁判所 昭和39年(行ウ)36号 判決 1976年2月05日
大阪市大正区三軒屋浜通一丁目一六番地
原告
白山信三
右訴訟代理人弁護士
荒木宏
右訴訟復代理人弁護士
永岡昇司
ほか二名
大阪市港区磯路三丁目二〇番一一号
港税務署長
被告
吉田芳雄
大阪市東区大手前之町
大阪国税局長
被告
徳田博美
右被告両名訴訟代理人弁護士
岡本拓
右訴訟復代理人弁護士
田浦清
同
中山俊治
右被告両名指定代理人
中山昭造
ほか五名
右被告署長指定代理人
宮崎正夫
主文
被告港税務署長が原告に対し昭和三八年九月五日付でした、昭和三六年分所得税の更正に伴う重加算税賦課処分のうち、隠ぺいされた所得額を金二、〇八一、一三四円として計算した税額をこえる部分を取消す。
原告の被告港税務署長に対するその余の請求ならびに被告大阪国税局長に対する請求をいずれも棄却する。
訴訟費用は、原告と被告港税務署長との間においては原告に生じた費用の一〇分の一を同被告の負担、その余は各自の負担とし、原告と被告大阪国税局長との間においては原告の負担とする。
事実
一 申立
1. 請求の趣旨
(1) 被告署長が原告に対し昭和三八年九月五日付でした、原告の昭和三五、三六、三七年分所得税の更正処分のうち原告の申告額をこえる部分、および過少申告加算税、重加算税賦課処分を取消す。
(2) 被告局長が原告に対し昭和三九年四月九日付でした審査請求棄却の裁決を取消す。
(3) 訴訟費用は被告らの負担とする。
2. 請求の趣旨に対する被告らの答弁
(1) 原告の請求を棄却する。
(2) 訴訟費用は原告の負担とする。
二 主張
1. 請求原因
(一) 原告は金物販売業を営む者であるが、被告署長に対し、原告の昭和三五、三六、三七年分の所得税につき総所得金額を別紙第一表(処分経過表)の1.欄記載のとおりであるとして確定申告をしたところ、被告署長は昭和三八年九月五日付で同表2.欄記載のように更正し、かつ同表3.・4.欄記載のとおり加算税を賦課する処分をした。原告はこれを不服として異議申立をしたが棄却され、さらに被告局長に対し審査請求をしたが、昭和三九年四月九日付でこれも棄却された。
(二) 原告の本件係争各年の所得は確定申告のとおりであり、被告署長の処分は原告の所得を誤認した違法がある。
また被告局長は原告の審査請求について全く調査をしないで棄却の裁決をしたもので、違法である。
よって被告署長の処分および被告局長の裁決の取消を求める。
2. 請求原因に対する被告らの認否
請求原因(一)の事実を認め、(二)の主張を争う。
3. 被告署長の主張
(一) 原告は、被告署長の実施した所得調査の当初に、本件係争各年分の帳簿を提示しただけで、その後の調査を通して原始記録等の資料は何も提示せず、また売上先や仕入先等の明細についても説明せず、調査に協力しなかった。そこで被告署長は原告の取引銀行や取引先について調査したところ、原告の帳簿には多額の売上および仕入の脱漏があることが判明したので、この調査結果にもとづき本件処分を行なった。
(二) 総所得金額について
原告の本件係争各年の所得は別紙第二表(所得計算表)の各年A欄記載のとおりである。
(1) 売上金額
原告は三和銀行大正橋支店に自己名義の預金口座のほかに島崎太吉名義の預金口座を設け、これらを使用して株式会社本田製作所等と多額の簿外取引をし、売上金を入金していた。そこで被告署長は、本件係争各年における右預金口座の入金額から、売上金以外の入金と認められるもの、すなわち預金間の振替および借入金の入金を控除し、その余を原告の売上金額と推定した。その明細は別紙第三表(売上金額計算表)の各年A欄のとおりである。
(2) 仕入金額
原告は仕入についても正確な記帳をしていなかったが、これらの簿外仕入はほとんど現金決済であり、仕入先と金額を個別的具体的に把握できなかったので、主たる簿外売上先である本田製作所に対する売上中から代表的な販売品目三七点を抽出して、売上に対する仕入原価の比率(原価率)八〇・一二%を算出し、これにより原告の売上脱漏額に対応する仕入脱漏額を計算し、これを原告の記帳仕入金額に加算した。その明細は別紙第四表(仕入金額計算表)の各年A欄のとおりである。
(3) 雑所得
原告が清田商店名義で合資会社藤井木工所に対し貸付をしたことにより得た利息収入である。
(4) 譲渡所得
原告は昭和三六年四月にその所有家屋を売却した。
よってその売却収入一七五万円から取得価額二五万円と特別控除額一五万円を差引いた額の一〇分の五にあたる六七五、〇〇〇円が課税標準に算入されるべきである。
(三) 重加算税について
重加算税賦課の理由はつぎのとおりである。
(1) 原告は、本件係争各年の所得税についていずれも青色申告書による確定申告をした(ただし原告はその後昭和三五年にさかのぼって青色申告書提出承認を取消された)ものであるが、当該各申告書の添付書類においては、預金として、昭和三五年分については三和銀行大正橋支店の原告名義の当座預金、同行の原告名義の定期預金および殖産住宅の原告名義の積立金を、昭和三六年分については同行の原告名義の当座預金と殖産住宅の原告名義の積立金を、昭和三七年分については同行の当座預金と積立預金を、それぞれ表示していた。しかし原告は前記のように、三和銀行大正橋支店に自己名義の右各預金のほかに島崎太吉名義の普通預金および当座預金口座を設定して、これに多額の売上金を入金し、とくに本田製作所との取引については、同社の裏名義として本谷清三郎という架空名義を用いて、この分の売上金額を正規の帳簿から除外し、島崎太吉名義の預金口座に入金し、記帳除外分の原始記録を焼却するなど、きわめて悪質な手段により取引を隠蔽または仮装し、これにもとづさ確定申告書を提出していたものである。
(2) また原告は、本件係争各年を通じ、清田商店という架空名義を用いて、事業上の取引先である合資会社藤井木工所に事業資金を貸付け、利息収入を得ていたもので、各年の確定申告にあたり右所得を除外していた。
(3) さらに原告は昭和三六年における譲渡所得についても、家屋売却による収入金を原告の三男白山公造名義の普通預金に入金し、同年分の確定申告書には意識的にこれを除外していた。
(4) よって、更正にかかる所得金額から確定申告にかかる所得金額および配当所得金額を差引いた残額が重加算税賦課の対象となる。
4. 被告局長の主張
被告局長は大阪国税局協議団本部協議官森本忠生に原告の審査請求事案の担当を命じ、同協議官は、事案の準備調査を経て、原告の代理人税理士能任理佐久と協議団体部において前後四日間にわたり銀行預金の照合、意見の交換を行ない、同人の提出した意見陳述書を精査したうえ、協議団の合議に付し、その議決にもとづき被告局長が本件裁決を行なったものである。
5. 被告らの主張に対する原告の認否
(一) 総所得金額について
別紙第二表の各年A欄のうち、一の2.4.7.8.二、四の各金額を認め、一の1.3.および三の各金額を否認する。
(1) 原告が三和銀行大正橋支店に自己名義の預金口座のほかに島崎太吉名義の預金口座を有していたこと、右各口座の預金入金額が別紙第三表の各預金入金額欄記載のとおりであることは認める。しかし右預金口座には、株式の売買代金、同業者に対する立替金の返還金などが入金されているほか、売掛先の大船商事、竹原船具店、恵比須屋船具店等からの受取手形を同人らの依頼でかわって決済したうえあらためて手形を受取るというふうに、同一の売上につき重複して手形を受領し入金している場合や、現金で支払う予定で預金を引出したが集金に来ないので再度入金したという場合もあり、預金入金額をすべて売上金とみるのは甚だ乱暴である。売上の記帳漏れは本田製作所の分のみで、それも年間一〇万円程度に過ぎない。原告の売上金額は、昭和三五年七、四五八、八四八円、昭和三六年九、二六四、七八九円、昭和三七年八、二五五、一八七円である。
(2) 仕入金額はいずれも申告どおりであり、記帳除外はない。被告署長は、売上に記帳除外があるとの想定のもとに、これに対応させるために仕入についてもかってな推計をしているのであって、とうてい合理的な推計とはいえない。
(3) 被告署長の主張する雑所得金額は、原告の妻がへそくりで貯めた金銭を貸付けていたもので、原告とは無関係である。
(4) 被告署長主張の譲渡所得があったことは認めるが、右所得発生後一四年も経ち、更正の期間制限をはるかに経過してから、突如これを訴訟上主張して更正処分を維持する理由でけとすることは許されない。
(二) 重加算税について
被告署長の主張(三)は争う。かりに原告に若干の申告漏れがあったとしても、それは事実の全部または一部を隠蔽し、または仮装したことによるものではない。原告の帳簿上記載漏れになっていたのは、前記のとおり本田製作所に対する売上のみであり、それも外地から引揚げてきて苦しい状態にあった同社の社長から頼まれてしたことが続いていたもので、金額も僅かである。また原告が預金名義として用いている島崎太吉は架空の人物ではなく、原告の妻の姉婿であり、原告は戦後同人と共同で事業を営んできたが、昭和三〇年頃同人が去ったのちも、従前に引続き同人の名義をそのまま使用しているにすぎず、これをもって所得を隠蔽しようとしたものではない。
(三) 被告局長の主張は争う。
理由
一 請求原因(一)の事実(本件各処分)は当事者間に争いがない。
二 総所得金額について
1 事業所得
(一) 成立に争いのない乙第二ないし第四号証の各一ないし三、証人宇野義栄の証言により真正に成立したものと認められる乙第一号証の一ないし五、第七ないし第一二号証および同証人の証言によれば、原告は「清重産業社」という屋号で建築金物、船舶用品等の卸小売業を営み、昭和三五、三六、三七年当時青色申告書提出承認を受けていた(ただしその後昭和三五年に遡つて右承認を取消された)ものであるが、被告署長は港税務署職員宇野義栄および近藤勇に命じて原告の右三か年分の所得調査を行なつたところ、原告の提示した帳簿類の正確性に疑いを生じ、原告の取引銀行や取引先を調査した結果、原告はその提出した青色申告書の添付書類に掲記している自己名義の預金のほかに、別人名義の預金口座を有し、多額の入出金がなされており、原告の帳簿には株式会社本田製作所等に対する売上および北島株式会社等からの仕入につき多額の記帳除外があることが判明したので、被告署長は右三か年中における原告の預金口座の入金額から売上金以外の入金と認められるものを控除して、その余を原告の売上金額とし、また原告の主たる簿外売上先である本田製作所に対する売上中から代表的な品目を抽出して被告主張の原価率を求めて仕入金額を計算し、これにより事業所得の金額を推計したうえ、本件処分に及んだことが認められる。
右に認定したように、原告の帳簿が正確に記帳されたものでなく、実額認定の根拠とすることができないときは、推計により課税する必要があり、被告署長の主張する方法は、本件においては他に特段の事情のないかぎり合理的なものとしてこれを是認すべきである。
(二) 売上金額について
前顕乙第一号証の一ないし五および証人宇野義栄の証言によれば、原告は三和銀行大正橋支店に原告名義の当座預金および定期預金のほか、白山公造名義の普通預金、島崎太吉名義の普通預金および当座預金の各口座を設け、これらに多額の入金をしていたが、右各口座中、原告名義の当座預金、島崎名義の普通預金および当座預金の本件係争各年中における預金利子以外の入金額(この額自体は争いがない)と、そのうち預金間の振替ならびに借入金の入金の額は、それぞれ別紙第三表の各年B欄記載のとおりであることが認められるので、前者から後者を差引いた正味入金額の合計額(同表同欄最下段)をもつて各年の売上金額と認めるべきである(公造名義の普通預金口座への入金分は、主として後述の家屋売却代金や株式配当金等であると認められるので、計算外とする。また原告名義の定期預金としては、昭和三五年中に預金したものが二口あり、被告署長はそのうち金一〇万円の一口を売上金に加えているが、定期預金はその性質上必ずしも売上金の入金とは推認しがたいので、これも売上金の計算からは除外する)。
原告は、売上金算定の基礎とされた右預金口座中には、株式の売買代金や同業者に対する立替金の返還金、さらには同一の売上についての再度の手形入金、引出した預金の再入金など、売上以外の入金が多いと主張するが、成立に争いのない甲第四号証、乙第一三ないし第五一号証、第五四ないし第六四号証、証人宇野義栄の証言によれば、原告(あるいは公造、美喜)名義の株式で本件係争各年の前後を通じて株数の増加した銘柄はあつても減少した銘柄はないこと、宇野の預金調査に際し原告から株式売却代金を預金に入金した旨の説明は全くなかつたことが認められるから、株式が売却された事実はなかつたと認めるのが相当であるし、その他原告の指摘する売上以外の入金があつたという事実を推知せしめるような証拠は証人藤原龍治の証言を措いてほかにはなく、右証言は伝聞にかかるあいまいな供述であり、これのみをもつてしてはとうてい前記売上金の認定を左右するに足りないといわざるをえない。
(三) 仕入金額について
原告に簿外仕入のあつたことは前認定のとおりであり、前項で認定した売上金額と別紙第四表の原告の申告した売上金額(この金額は当事者間に争いがない)との差額に被告署長主張の原価率八〇・一二%を乗じて得た金額(同表の各年B欄第五段)を脱漏仕入金額として、これを同表の原告の申告にかかる仕入金額(この金額は原告において明らかに争わないところである)に加算すると同表同欄最下段の金額が得られる。そして原告の仕入金額がこの額を上まわるという主張立証はないから、右金額をもつて原告の仕入金額と認める。
(四) 期首および期末の各たな卸高、仕入以外の必要経費、雑収入金額は当事者間に争いがない。
(五) そうすると、原告の事業所得の金額は、別紙第二表B欄一の9のとおり昭和三五年二、九二九、四三八円、昭和三六年三、〇五九、五一五円、昭和三七年二、九一三、四二六円となる。
2 配当所得
配当所得の金額は当事者間に争いがない。
3 雑所得
証人宇野義栄の証言とこれにより真正に成立したと認められる乙第五号証の一ないし八によれば、原告は清田商店という架空の名義をもつて合資会社藤井木工所に対し多額の貸付をし、その利息として、昭和三五年中に少なくとも金五七、〇〇〇円、昭和三六年三三、〇〇〇円、昭和三七年六三四、六〇〇円の収入を得ていながら、これを申告していないことが認められる。
原告は、これらはすべて原告の妻がへそくりで貯めた金銭を貸付けていたもので、原告と無関係であると主張するが、そのような事実を窺わせる証拠は皆無であり、貸付の金額がきわめて多額であることに照らしても、原告の右主張はとうてい首肯できない。
よつて右金額は原告の雑所得と認めるべきである。
4 譲渡所得
課税標準に算入される譲渡所得金額それ自体については、当事者間に争いがない。
ところで、原告はこの点につき、右譲渡所得発生後一四年も経ち、更正の期間制限をはるかに経過してから突如これを訴訟上主張することは許されないと主張する。しかし、更正処分取消訴訟において処分の実体的違法が争われているとき、審理の対象となるのは実体的処分要件である所得の存否であつて、処分庁である被告署長は、処分当時把握していた所得に限らず、その後に得た資料から認識しえた所得であつても、時機におくれ訴訟を遅延させるものでない限り、訴訟上随時これを主張することができるのであり、また、新たに更正処分をするわけではないから、更正の期間制限にはかかわりがない。これを本件についてみるに、右譲渡所得の収入金額は、原告の息子である白山公造名義の普通預金(乙第一号証の二)中に入金されていたものであるところ、本訴において被告署長は当初これを事業所得の中に含まれるものとしていたが、原告がこれは家屋の売却代金であると主張するようになつたので、被告署長は証拠調終了後原告の言い分を認めて自己の主張を変更し、この部分を譲渡所得と構成して主張するに至つたものであることは記録上明らかであり、このような訴訟の経過にかんがみると、被告署長の右主張が時機におくれたものとはいえず、訴訟の完結を遅延させるものでもないから、右主張はこれを許すべきである。
よつて昭和三五年分については、譲渡所得として六七五、〇〇〇円が総所得金額に算入されることになる。
5 以上によれば、原告の本件係争各年分の総所得金額は、別紙第二表各年B欄最下段記載のとおりとなり、これはいずれも被告署長の更正額を上まわるから、本件各更正処分および過少申告加算税賦課処分には違法はないものといわなければならない。
三 重加算税について
1 さきに認定したように、原告は株式会社本田製作所等に対する売上および北島株式会社等からの仕入につきそのうちの相当額を正規の帳簿から脱漏させ、税務上秘匿した島崎太吉名義の預金口座を利用して入出金し、係争各年の申告から除外していたものであつて、とくに、証人宇野義栄の証言によれば、本田製作所との取引については、同社と通謀のうえ同社の裏名義として本谷清三郎商店なる架空名義を用いるという作為を行なつていたことが認められ、所得を隠蔽していた場合にあたることは明白である。成立に争いのない甲第六、第七号証および証人藤原龍治の証言によれば、原告が預金口座名に用いた島崎太吉なる者は架空の人物ではなく、原告の妻の姉婿にあたることが認められるが、たとえ実在の人物であつても、その名義を用いて裏口座を設定し簿外取引に利用している以上、前記の認定は左右されないというべきである。
2 また原告が係争各年を通じ清田商店という架空名義を用いて合資会社藤井木工所に多額の貸付をし、利息収入を得ながら、これを申告から除外していたことも前認定のとおりであり、これまた所得の隠蔽を図つた場合にあたるといわなければならない。
3 しかし昭和三六年における譲渡所得については、家屋の譲渡による収入金を息子の白山公造名義の普通預金に入金し確定申告書から除外していたというだけであり、この事実のみをもつてしては未だ所得を隠蔽仮装したとはいうことができない。
4 そうすると、昭和三五年および三七年分の重加算税賦課には違法はないが、昭和三六年分のそれについては、更正にかかる所得金額から確定申告にかかる所得金額ならびに第二表二の配当所得および四の譲渡所得の金額を控除した残額二、〇八一、一三四円が隠蔽されたものとして計算した額をこえる部分は違法であるということになる。
四 裁決の違法の主張について
原告は、被告局長の裁決は全く調査をしないでなされたもので違法であると主張するが、成立に争いのない乙第六、第五三号証の各一、二および弁論の全趣旨によれば、被告局長は原告の代理人税理士能任理佐久に意見陳述の機会を与え同人から提出された陳述書およびこれに添付された銀行預金内訳合計表をも検討したうえで、本件裁決に及んだものであることが認められ、右裁決を違法とする事由は見出せない。
五 むすび
よつて原告の本訴請求は、昭和三六年分の重加算税につき隠蔽された所得額を二、〇八一、一三四円として計算した額をこえる部分の取消を求める請求部分に限り理由があるものとして認容し、被告署長に対するその余の処分取消請求ならびに被告局長に対する裁決取消請求はいずれも失当として棄却し、民事訴訟法八九条、九二条を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 奥村正策 裁判官 藤井正雄 裁判官 山崎恒)
第一表 処分経過表
<省略>
第二表 所得計算表
<省略>
第三表 売上金額計算表
<省略>
第四表 仕入金額計算表
<省略>