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大阪地方裁判所 昭和40年(ワ)1110号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕(2)被告会社および被告富士也

<証拠>を総合すると、つぎの事実が認められる。

(イ)訴外山岡行雄は山岡組の商号を使用して土木建築請負業を営むものであり、被告趙を自動車運転手として雇つていた。

(ロ)被告会社は土木建築請負業を営み、昭和三六年末ごろから訴外山岡と下請負契約をし下請工事をさせていたが、訴外山岡は本件事故当時被告会社以外の業者とは下請負契約を締結せず、もつぱら被告会社からの下請工事をし、右下請工事に必要な砂利、セメントその他の材料の運搬、人夫の配置などに後記のようにして購入した被告富士也使用名義の事故車を使用しており、本件事故は右下請工事に要する人夫を募集してこれを事故車で運搬中に発生した。

(ハ)被告会社と訴外山岡との右下請契約においては、訴外山岡の施行する下請工事につき被告会社が工事明細書を示して工事内容やこれに要する人夫の数などを指示することになつており、かつ被告会社代表者の弟で常務取締役たる被告富士也らが社長に代わつて毎日のように工事現場に工事施行の監督にきていた。

(ニ)訴外山岡は右下請工事に使用するため前記事故車を訴外大阪マツダ販売株式会社から月賦で購入するにあたり、自己の当座預金口座を持つていなかつたため、被告会社の常務取締役たる被告富士也と相談のうえ、被告富士也を形式上の買主とし同被告から右事故車の頭金を除く残代金支払いのため額面三六、〇〇〇円の約束手形一五枚を振り出してもらいこれを売主たる大阪マツダに交付し、手形金は訴外山岡の被告会社に対する前記下請工事代金から被告富士也が控除することとし、その全額弁済を担保するため事故車の使用者名義を被告富士也としておいた。

以上の認定にもとづき、まず被告会社の責任原因につき判断する。

原告は、被告趙は被告会社の被用者であつたと主張するが、以上の認定によると被告趙は訴外山岡の被用者であり、被告会社と訴外山岡との間には雇用関係はなかつたといわなければならない。しかしながら、被告会社と訴外山岡間の下請負契約の内容、訴外山岡の下請工事施行の態様が右認定のとおりである以上、被告会社と訴外山岡との関係は使用者と被用者の関係と同視することができ、訴外山岡は事故車を使用して前記下請工事を施行することにつき被告会社の指揮監督を受けていたというべく、しかも本件事故は右下請工事の施行に必要な人夫を募集しての帰途訴外山岡の被用者たる被告趙の運転上の過失により発生したのであるから、被告趙の右運転に対しては訴外山岡を介して被告会社の指揮監督権がおよんでいたと認めなければならない。したがつて被告会社は被告趙を直接雇用していなくても、民法七一五条により本件事故で原告の受けた後記損害を賠償しなければならない。

つぎに被告富士也の責任原因につき判断する。

前認定によると事故車の実質的買主および使用権者は被告富士也ではなく訴外山岡であつたというべきであるが、被告富士也は被告会社の常務取締役として社長に代わつて毎日のように訴外山岡の前記下請工事現場に工事施行の監督にきていたのであるから、被告富士也は被告会社に代わつて訴外山岡の下請工事を監督していたものというべく、前記の経緯により同工事に使用されるに至つた事故車についても、右工事監督権のほか使用者名義の貸与その他の関係をとおして、その運行に対し支配権を有していたと認めるのが相当であり、しかも被告会社と訴外山岡との前記のような関係からして、事故車の運行利益が被告会社に帰属していたことは否定しがたく、前認定の事実関係のもとでは、被告会社の右の利益はとりもなおさず被告富士也個人の利益にもなるのである。かようにみてくると、被告富士也は事故車の形式的な買主および使用権者たるにとどまらず、自賠法三条の適用上これを事故車の運行供用者というのが相当であると解する。そして被告趙が訴外山岡の業務のため事故車を運転中前記過夫により本件事故を発生させた以上、被告富士也は原告が事故により受けた後記損害を賠償しなければならない。(谷水央)

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