大阪地方裁判所 昭和40年(ワ)2231号 判決
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〔判決理由〕亡致由の喪失利益現価八、三〇五、六五〇円
原告らは亡致由が生前年額一、五〇〇〇〇〇円(月額一二五、〇〇〇円)をこえる収入を得ていた旨主張するが、これを認めるにたる証拠はない。<中略>
しかし<証拠>によると、亡致由は健康な男性で昭和三七年ごろから大型貨物自動車一台を購入し運転手を雇い鋼材会社の鋼材運送業を営んでいたこと、自宅には車庫がなく他家のものを借りていたこと、家族は当時妻のほか二二才の栄子、一七才の致雄、一四才の由子、八才の美智子があり、これらの家族はすべて亡致由の右運送業による収入で生活していたこと、致雄は箕面学園高等学校二年在学中であつたこと、生活程度は普通であり収入はほとんど生活費に費やされ貯金する余裕はなかつたことが認められる。
してみると亡致由は生前大阪市における全世帯平均の消費支出額に相当する程度の収入を得ていたものと認めるのが相当である。そこで総理府統計局の家計調査年報によると、昭和三九年度の大阪市における全世帯平均一ケ月間の消費支出額は世帯人員四・三一人で五〇、二一〇円であるから(総理府統計局編第一六回日本統計年鑑〔昭和四〇年度〕四三五頁参照)、六人家族では約六九、八九八円になる。とすると亡致由は生前一ケ月七〇、〇〇〇円程度の収入を得これをすべて生活費にあてていたと認めてさしつかえなかろう。
つぎに亡致由個人の生活費の額を計算するに、亡致由一家の生活費の割合は、致由を一・〇とすると、キワノ〇・八、栄子〇・八、致雄一・〇、由子〇・六、美智子〇・四程度と認められるから、一ケ月の全生活費七〇、〇〇〇円のうち亡致由の要する生活費は多くても一六、〇〇〇円をこえない。
とすると、亡致由の生前における一ケ月の純利益は七〇、〇〇〇円から一六、〇〇〇円を控除した五四、〇〇〇円と認められる。
ところで昭和三九年簡易生命表によると、四七才の男性の平均余命は二五・七九年であるところ、亡致由の健康状態、運送業務の内容等よりすれば、同人は六五才くらいまで前記運送業に従事できたと認められる。そこで死後の稼働期間を二一六ケ月とし、月一二分の五%の中間利息をホフマン式により控除して、亡致由が死後得べかりし利益の死亡時における現価を計算すると八、三〇五、六五〇円(円未満切捨)となるから、同人は死亡によりこれを喪失し同額の損害を蒙つたことになる。
算式 五四、〇〇〇円×一五三・八〇八三四一六一(谷水 央)