大阪地方裁判所 昭和40年(ワ)3139号・昭35年(ワ)4149号 判決
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〔判決理由〕被告の反訴請求は、代位弁済の効果として、又はこれに伴う譲渡により、代物弁済予約上の権利を取得したとしても、その行使し得べき権利の範囲は求償権の範囲に止まるべきであるから予約目的物の価額が弁済者の出捐額を越えるときは、差額は不当利得として債務者に返還すべきものであるとの前提に立つている。
しかしながら、代位弁済の効果として代位者は、要するに被代位者の債権自体及びその担保たる一切の権利の移転を受けるのであるから、代物弁済予約上の権利といえども、そのまま移転すべきは当然のことであり、しかる以上本件代物弁済の予約は予約目的物を残存債務額と同額と評価し、その弁済に代えて取得し得る旨の特約であるから、予約目的物の価額が弁済者の出捐額を越えるとしても、それは公序良俗に反する等特段の事情なき限り、特約に基く権利の行使の結果として当然のことにすぎず、これを以て法律上の原因なく不当の利得を得たものということはできない。なる程民法第五〇一条には、「求償を為すことを得べき範囲内において権利を行なうことができる。」旨規定しているが、本件は、右特約により、求償を為すことを得べき範囲内において権利を行使していることになるのである。なお、一般に代物弁済予約が債権額よりも高額のものについてなされるのは、債務者が本来の給付をなすことができないことにより債権者にそれ相当の不利益を与えることに因るのであり、このことは代位者にとつても同様である。(井野口勤)