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大阪地方裁判所 昭和40年(ワ)5357号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕三、原告武泰の過失、過失相殺

さきに認定した本件事故の態様から判断すると、原告武泰はガソリンスタンドの塀のかげから路上に進出する際、あらかじめ東方から車両が接近しているかどうかを確かめるべき業務上の注意義務があるのに確かめなかつたと認められるので、同原告にはこの点に運転上の過失があつたといわなければならない。原告武泰の右過失と訴外重政の前記過失(編注、減速不履行、警笛不吹鳴)の割合はほぼ三対七と認められるので、原告両名の前記各損害額のうち被告の賠償すべき額は、原告武泰につき一、一一〇、〇〇〇円、原告雅子につき四八、〇〇〇円と認めるのが相当である。

右につき附言するに、原告雅子には本件事故発生になんら責むべき過失は認められないので、たとえ夫たる原告武泰に過失があつたとしてもこれを理由に妻たる原告雅子の損害賠償請求権を右のように減額することは許されないと解されなくもないが、民法七二二条二項の趣旨は、結局損害の公平な分担という立場から、加害者に不当な負担をなさしめないために、被害者側にも責むべき点があつてこれが損害の発生に対しなんらかの影響を与えていると認められるときには、賠償額を算定するにつきこれを参酌せんとするものであつて、同条項にいわゆる被害者とは常にかならずしも損害賠償請求権の主体たるもののみに限らず、ひろく被害者側という意味に解すべきである。そして本件事故は訴外重政と原告武泰の共同の過失により発生したものであるから、原告雅子の損害については訴外重政の使用者たる被告と原告武泰が共同不法行為者としての賠償責任を負担するわけであるが、すでに認定したように原告雅子は原告武泰と同居し夫婦としてたがいに協力扶助し生計を共にしているので、原告雅子の被告に対する損害賠償請求権行使の結果は法律上はともかく事実上は原告両名夫婦の共通の利益に帰するはずであり、しかも弁論の全趣旨によると、原告雅子はみずからの損害につき夫たる原告武泰を加害者とみてこれに対し賠償を請求する意思はないものと認められるから、かような場合には、原告武泰の過失を被告者たる原告雅子側の過失とみて、これを理由に原告雅子の賠償請求権を減額し得ると解するのが相当である。かように解することは、被告が一旦原告雅子に全損害を賠償したのち夫の原告武泰にその過失に応じた負担部分を求償するという無意味な迂路を避けることにもなり、紛争の一回的解決という要請にもかなうものである。(谷水央)

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