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大阪地方裁判所 昭和40年(手ワ)288号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕被告および日本魔法瓶株式会社の振り出した本訴請求にかかる約束手形に対応するものとして、逆に原告からも右会社に対し被告主張の各金額、満期の記載がある手形を交付したことは、当事者間に争がない。そこで被告は、「原告の本訴請求にかかる各約束手形が、同会社において原告に対し他から融資を得させることをもつぱらの目的として交付した手形にほかならず、逆に原告からも同会社に対し融資を得させるための前示の手形を交付したものである」と主張するところ、原告は、右の融通手形交換関係を否認し、「原告から同会社に融通手形を交付した後、同会社への割引融資先から原告に対し該手形の支払請求があるのに備え、同会社および被告から原告に対し、支払資金の給付を担保する趣旨で本訴請求にかかる各約束手形を交付して振り出したものである。」と主張するのである。しかしながら、右の点に関するいずれの当事者の主張が正しいとしても、原告からの交付手形が右会社の手中にある限り、同会社は、原告に対し本訴請求にかかる各手形につき振出の原因関係をなす債務を負担していないわけであるから、その支払を拒み得るという結論には差異がない。ところで被告は、本訴請求にかかる各約束手形を右会社と共同して振り出したものであるから、その手形上の義務は、本来同会社のそれに従属するものでなく、それとは独立に成立するものであることを否定し得ない。しかし、<証拠>から認め得るところの被告が右会社の代表取締役であるという事実、ならびに、弁論の全趣旨によれば、被告は、前示原告、同会社間の手形授受の事情を熟知し、同会社が原告に対し本訴請求にかかる各約束手形につき原因関係上支払義務を負う場合にあつてはこれを保証すべく、その保証債務を担保する趣旨をもつてこれらの手形を振り出したものと推認するに十分である。それ故本訴請求にかかる各手形については、被告も、前示原告、右会社間の原因関係上の事情を援用することにより、同会社と同範囲において原告に対し人的抗弁を主張し得るものと解するのが相当である。しかし、以上に述べたところは、あくまでも原告からの交付手形が右会社の手中にある場合(<証拠>によれば、同会社は、すでに破産の宣告を受けていることが認められるが、破産管財人が手形を所持している場合も右に準ずる。)に限られるのであり、これらの手形が第三者の所持に帰している場合にあつては、原告は、当該第三者からの支払請求を拒み得ぬ筋合であるから、原告は、当該第三者に対する支払義務の範囲内において、前示会社または被告に対し本訴請求にかかる各手形の支払を求め得るものと解しなければならない。

してみれば、

<(イ)、(ロ)省略>

(ハ)別紙目録表示3の約束手形に対応するものとして、

被告は、原告が被告挙示のefghの各手形を振り出したと主張しているけれども、同じく被告の主張するところによれば、これらの手形がすでに第三者の所持するところとなつたというのであるから、被告は、以上の事由をもつて当然には別紙目録表示3の手形の支払義務を免れることができない。しかし、<証拠>によれば、原告は、すでに右eの手形の返還を受け、その支払義務を免れていることが窺えるから、その限度において、被告も別紙目録表示3の手形の支払義務を免れるものというべきである。また、<証拠>によれば、右fghの各手形については、所持人の永沢金属株式会社から原告に対し、各表示金額合計金一五〇万円とこれに対する満期日からの利息の支払の請求訴訟を提起していたところ、原告から同会社に対し、右手形金を昭和四〇年四月から毎月末日限り金五万円ずつの分割払にすればよいとの訴訟上の和解が成立したことが認められる。それ故、被告の原告に対する別紙目録表示3の手形の支払義務も、右和解による原告の支払義務の限度にまで軽減されるものといわねばならない。結局被告は、原告に対し、右3の約束手形金の内金一五〇万円を、本判決言渡当時すでに前示分割払の支払期日が到来している金二五万円につき即時に、残額一二五万円につき昭和四〇年九月から毎月末日限り金五万円ずつに分割して支払う義務があるけれども、同手形にかかる原告のその余の請求は、理由がなく、棄却を免れない。 (戸根住夫)

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