大阪地方裁判所 昭和41年(ワ)4254号・昭43年(ワ)7228号 判決
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〔判決理由〕そこで訴外西村武雄の本件土地使用権について判断する。訴外西村武雄が原告から本件土地を材木置場として使用する目的で賃借したことは当事者間に争いがない。<証拠>を総合するとつぎの事実が認められる。訴外西村武雄は建築請負業を営み、大阪市北区与力町二丁目三〇番地に作業場兼材木置場を借りていたが、本件土地を原告のために整地したこと等から原告と知り合いとなり、原告に対し材木置場として本件土地を短期間使用したいから貸してくれと申込んだところ、原告もこれを承諾し昭和二七年七月一七日両者の間に、「本件土地を材木置場として一時使用する。借用中は固定した建築物又は工作物の設置をしたり、他人に貸与または使用させたりしない。原告において必要なときは申出後一月内に土地を明渡す。」旨の契約が成立した(当初賃料の約定はなかつたが昭和二七年一〇月頃から月六〇〇〇円の賃料となつた。)。そして訴外西村武雄は本件土地を材木置場として使用していたがやがてトタン葺バラツク建の作業所約二〇坪程を建築した。原告は昭和二八年一月一〇日頃これを発見し、バラツクの取りこわしを求めたところ、訴外西村武雄は今後絶対に建増ししない、バラツクはすぐに取り除きできる程度のものであるから引き続き使用させて欲しいと懇請したので、原告はバラツクのことでもあり訴外西村武雄の右約束もあるので引き続き本件土地を使用させることとし、同月からは賃料を一月金七三〇〇円とした。訴外西村武雄はその後右約束に反し本件土地上に材木格納庫約四〇坪程を建築したので、昭和二八年五月頃原告はこれを発見し、梅原弁護士に相談して和解調書を作成しようと考え、訴外西村武雄に同弁護士事務局に出頭するように要求したが、同訴外人が出頭しないため、和解調書の作成を見ないまま、その後も右格納庫の建築の事実を知りつつ昭和二九年の同訴外人に対する建物収去土地明渡請求事件の提起に至るまで従前の賃料を受領してきた。ところが訴外西村武雄はその営業に係る建設請負業が不振に陥つたことから、本件土地上にアパートを建築して賃貸し賃料を取立て、自己の債務の弁済に充当しようと考え、右格納庫を改築増築し、さらに空地部分に新築等して別紙第二目録記載の本件家屋としたものである。以上の事実が認められ、右認定を覆えすに足りる証拠はない。
右認定事実によると、原告と訴外西村武雄間に本件土地を材木置場として使用し、固定した建築物又は工作物の設置をしない旨の契約が成立したことが明らかである。その後原告は訴外西村武雄が本件土地上にバラツク建の作業所を建築したことを承認して賃料を受領してきたものであるが、右建物の構造、坪数、賃貸当初からのいきさつ等から考えると、右バラツク建は本件土地を材木置場として使用する目的に従属的な建物として建築されたものと認められ、右事実からはいまだ材木置場としての本件土地の使用目的が変更されたものとは認められない。しかし原告はその後の格納庫四〇坪の建築の事実を知りながら引き続き賃料を受領することにより本件土地の使用目的は右格納庫の敷地部分についてのみ材木置場としての使用に必要な範囲において建物所有の目的に変更され、右敷地部分を除く大半の土地は当初の契約どおり材木置場として使用する目的であつたと認められる。
してみると訴外西村武雄がその後右格納庫を増改築し、さらに本件土地上に新築して本件家屋としたことは原告との間の右賃貸借の約旨に反するものであり、且つその違反の程度は著しいので催告を要せず解除することができるというべきである。(西川太郎 中田耕三 宮良充通)