大判例

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大阪地方裁判所 昭和41年(ワ)4357号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕(二) そこで、原告主張の名板貸の点について検討する。吉田隆雄が発注した本件材料(鋼管類)を使用した工事現場である千葉県野田市在川崎重工業株式会社野田工場内に、被告会社が工事施行者である旨の表示があつたことは当事者に争いがない。<証拠>を総合すると、被告会社は、昭和三六年ころ、高砂市役所から請負つた工事につき、原告会社からガードレールを購入したこと、その後、被告会社は、日本毛織株式会社の請負工事を吉田隆雄に下請けさせたところ、吉田は、原告会社へ、被告会社設備部長兼土木主任の肩書を表示した名刺を示して、右工事用材料を購入したこと、吉田は、本件取引の際、原告会社東京出張所長代理をしていた長瀬真一に対し、右同様の名刺をとり交したこと、そのころ、被告会社および被告会社代表者は、吉田が右名刺を使用していることを聞き、同人を呼びつけて今後これを使用しないように注意したこと、被告会社は、吉田が内訳を申出たところに従つて、本件工事の材料代金を、同人に支払うべき本件工事下請代金のうちから、被告会社振出しの約束手形により支払つていたこと、本件取引については、すでに三通の約束手形が振出され、原告会社はこれにより本件材料代金のほとんどを決済していること、被告会社は、吉田の依頼があれば、約束手形に名宛人も記載していたこと、被告会社は、吉田に対し、本件工事を全部下請けさせていたばかりでなく、以前から専属的にこれに下請けさせていたことが認められ、右認定に反する証拠はない。

およそ、会社が、自己の請負工事を他人に下請けさせている場合、元請人と下請人との関係は、外観上、その間に雇傭関係ある場合や、一企業体の一部課の関係にある場合と区別しがたい場合があり、これと取引をなす者に対し、多分に誤認を生じさせ得ることがあるものというべきところ、右認定事実によれば、被告会社は、本件材料を使用した工事の元請人であつて、これを全部吉田に対し下請けさせていたばかりでなく、以前から、同人に対し、専属的に被告会社の請負工事を下請けさせていた関係にあつたのであるから、被告会社としては、前認定のように吉田が被告会社の名称を含む肩書を表示した右名刺を使用したのを聞知し、これを差止めているけれども、その責任を免れるためには、さらに、その名刺が従来どのように使用されていたかをただして、自己の取引先に注意を喚起する等の措置をとるべきであつたのに、被告会社は、この点の措置をとらないばかりか、かえつて、吉田に対する下請代金のうちから、同人の申出により、本件材料代金の相当部分を、被告会社振出しの約束手形で支払つていたものであり、他方、原告会社は、被告会社と以前取引したことがあり、吉田がなした本件取引も、被告会社の取引であると誤認していたのであるから、被告会社は、本件取引につき、吉田に対しその商号使用を暗黙のうちに許諾していたものとして、吉田と連帯してその債務を弁済すべき義務がある。(高林克己 惣脇春雄 川波利明)

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