大判例

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大阪地方裁判所 昭和42年(わ)3335号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕(事実) 被告人は、尼崎市戸ノ内八二六番地土建請負業西野清に自動車運転手として雇われていたものであるが、

第一、昭和四二年五月三一日午後一時頃、右西野方で、同人の妻清子に、得意先である中島鉄工所から集金して来た金額四万二、五〇〇円の小切手を銀行口座に振り込むこと及び預金から五万円を引出すことを頼まれ、右小切手一通と株式会社三和銀行十三支店の普通預金通帳一冊(預金者西野清、預金高二四万五、八七五円)並びに印鑑一個を預り、保管中その頃、大阪市東淀川区十三西之町二丁目の前記銀行支店においてほしいままに自己の用途にあてるため、着服して横領した。

第二、同日時頃、右銀行支店において、行使の目的をもつてほしいままに、備付けの普通預金請求書の金額欄に「200000」と、預け主欄に「西野清」と記入し、印鑑欄に前記西野の印を押捺し、もつて西野清名義の二〇万円の普通預金請求書一通を偽造し、これをあたかも真正に成立したものの如く装い同店係員大内田義親に預金二〇万円の払戻しを求めて前記預金通帳と共に提出して行使し同人をその旨誤信させ、よつて即時同所において同人から預金払戻名下に現金二〇万円の支払をうけて騙取した。

第三、<省略>

第四、同年六月一日午前一〇時頃、前記銀行十三支店において、行使の目的をもつてほしいままに、前同様の普通預請求書の金額欄に「45000」と、預け主欄に「西野清」と記入し印鑑欄に前記西野の印を捺押し、もつて西野清名義の四万五、〇〇〇円の普通預金請求書一通を偽造しこれを真正に成立したものの如く装い、同店係員井上範子に預金四万五、〇〇〇円の払戻しを求めて前記預金通帳と共に提出して行使し、同人をその旨誤信させ、よつて即時同所において同人から預金払戻し名下に現金四万五、〇〇〇円の支払をうけて騙取したものである。<中略>

次に、第一の横領罪において第二、第四の各私文書偽造同行使詐欺は当然予定されていたもので、第二、第四の罪は不可罰的事後行為であり、仮にそうでないとしても第一と第二、第四の罪は包括して一罪であり、仮にそうでないとしても第二、第四の各罪は包括一罪である旨の弁護人の主張については、前記横領にかかる預金通帳や印を用いて新たな違法行為を行つて法益を侵害しているのであるから不可罰的事後行為とみることができないのは勿論、第一と第二、第四とは構成要件を異にし、別個の犯意に基いて行われたものであるから、第一と、第二、四とが包括一罪とみることもできない。次に第二と第四とも包括一罪ではないかという点についても当初から金額を引出す意図があつたにしてもその文書偽造、同行使、詐欺は日時を異にし、別個の偽造文書を作成してこれを利用し行われているものであつて、併合罪とみるのが相当である。(岡野重信)

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