大判例

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大阪地方裁判所 昭和43年(わ)4221号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕検察官は判示第一の二の事実につき強盗致傷罪に該るとして被害者藤井武義に対しては加療二日間を要する左手背切創等の傷害を、被害者大村三郎に対しては加療二日間を要する右耳翼等の切創による傷害を負わせた旨主張する。

そこで考えるに、強盗致傷罪における傷害には社会生活上看過される程度の何ら治療を要せず、短期間で治癒し、生理的機能に何ら障害を及ぼさず、かつ通常人がみて身体の状態を不良に変更したと認められない程度のものを包含しないものと解すべきところ、医師梅津髄一郎、藤井武義の各尋問調書、証人大村三郎の供述その他の関係証拠によれば、本件強盗に際し蒙つたものと認められる被害者藤井の左手背切創痕は一センチメートルにも満たぬ皮下にまで達しない軽い小さな傷痕であり、また同人の頸部捕縄痕は巾数ミリメートル、長さ、三〜四センチメートルの細長い一本の線状の極めて微量の皮下溢血斑が認められるに過ぎぬこと、同じく被害者大村の右耳翼および右肩切創はいずれも長さ僅か一センチメートルにも満たぬ極めて微量の溢血斑を認め得る程度のものであること、被害者らは受傷当時痛みもなく、したがつて全然気づかず、警察官に指摘され勧められて医師の診察を受けるようになつたこと、治療は赤チンキをつけ滅菌ガーゼをあてるという簡単なもので、その治療も一度受けただけでその後格別の治療もせず自然に短時間で治癒したことが認められる。右の程度の傷害であれば通常人は何ら治療を施さず放置するものと考えられるのであつて生活上支障を感ずることはないものといわなければならない。そうすれば、本件は生理的機能に何ら障害を及ぼさず、通常人が見て身体の状態を不良に変更したものと認められないものというべく強盗致傷罪の傷害に該らないものと考えるのが相当であるので判示の如く認定した。(藤原啓一郎 畠山芳治 仙波厚)

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