大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

大阪地方裁判所 昭和43年(わ)906号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕(一部無罪の理由)

主文に掲記の無罪の賍物故買の公訴事実については、審理の結果によると、右公訴事実にある日時、場所において、被告人が田中修から、右公訴事実にある衣料八点(但し、その時価については、被告人がこれを取得後、右衣料八点中の四点(被害届による時価合計五万六〇〇〇円)をその賍物の知情のない質商を通じて、古着を求める右質商の顧客に販売処分したところ、その対価が一万円であつたことが認められることから推算すると、右衣料八点の当時における交換価値は、代金二万円前後のものであつたと考えられる。)を買い受け、代金として現金五〇〇〇円を右田中に交付した事実が認められるけれども、右衣料が、その際、被告人において賍物であることを知り、ないし少くとも賍物であるかも知れないと思いながらあえて、これを買い受けたことを認めるに足る証拠がない(被告人は、右田中とその友人の素行が芳しくないうえに、その持ち込みの品が女物の衣料であること等から、右衣料の出所に疑いを抱き、これを持参した田中にただして、同人から友人の女の持物で不正の品でないとの説明を受けた後これを買取ることにしたこと、被告人と田中との関係は、田中が被告人の経営する喫茶店の常客で、被告人は同人の親族とも交際があること、被告人は、右衣料の買受前、昭和四二年一〇月田中の友人が自己の持物として持参した男物腕時計一個を買取つたことがあつた以外、古物買受の経験がなかつたこと、右衣料買受後の同年一一月中旬田中が被告人に買取を求めた盗品の背広二着、女物着物二着等については、被告人は、これを拒否していること、以上の各事実が認められるところ、これらの事実を併せ考え、被告人の捜査、公判の各段階を通じての供述内容を検討すると、被告人が右女物衣料八点について抱いた疑念は、田中の前記説明により解消した旨をいう被告人の当公判廷における供述(被告人の警察署での取調べに際しての供述も、これとほぼ同趣旨のものであつたとみてよいであろう。)は、この点に関する限り、これに反する被告人の検察官に対する供述調書に記載の供述と比較して、信用できるものと認められる。)から、刑訴法第三三六条により、右の公訴事実について、無罪の言渡をする。(井上清)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!