大阪地方裁判所 昭和43年(ワ)1600号 判決 1974年7月25日
原告 竹本光男こと李光男
原告 竹本文男こと李相益
右両名訴訟代理人弁護士 青木永光
同 山下潔
被告 国
右代表者法務大臣 中村梅吉
右指定代理人 岸本隆男
<ほか一名>
被告 大阪府
右代表者知事 黒田了一
右訴訟代理人弁護士 道工隆三
同 井上隆晴
同 田原睦夫
同 加地和
同 山村恒年
同 赤坂久雄
被告 杉本久和
右訴訟代理人弁護士 河原正
同 飛沢哲郎
同 大村悌二
主文
一 被告らは各自原告李光男に対し、金五〇〇、〇〇〇円およびこれに対する昭和四二年一〇月二七日から完済まで年五分の割合による金員を支払え。
二 原告李光男のその余の請求および原告李相益の請求を棄却する。
三 訴訟費用中、原告李光男と被告らとの間に生じた分は被告らの負担とし、原告李相益と被告らとの間に生じた分は同原告の負担とする。
事実
一、申立
1 原告ら
「被告らは各自、原告光男に対し金三、〇五四、〇〇〇円、原告相益に対し金二〇〇、〇〇〇円、および右各金員に対する昭和四二年一〇月二七日から完済まで年五分の割合による金員を支払え、訴訟費用は被告らの負担とする。」との判決および仮執行の宣言を求める。
2 被告ら
「原告らの請求を棄却する。訴訟費用は原告らの負担とする。」との判決を求める。
なお、被告国と被告大阪府は、同被告ら敗訴のときは仮執行免脱の宣言を求める。
≪以下事実省略≫
理由
一 原告らがいずれも韓国の国籍をもつ者であること、および原告光男が請求原因(一)(2)(3)記載の経過により逮捕勾留されたことは、当事者間に争いがない。
右争いのない事実に、≪証拠省略≫を総合すると、つぎの事実が認められる。
1 被害者米花寛人は昭和四一年九月五日電気計算器の盗難を曽根崎警察署に届出て、同日同署警ら係の警察官が被害現場である米花商店店舗を見分したが、犯行時刻は四日午後二時頃から五日午前五時頃までの間と推定され、その間店舗正面は竹のすで囲っているだけで、戸締りはなく、誰でも容易に侵入できる状況にあった。
2 約一か月後の同年一〇月三日、大阪市北区角田町三番地の麻雀店コマクラブの店員和田隆司が、同区高垣町一〇四番地の大丸質店に本件電気計算器の入質に来たところを、曽根崎署警察官に発見され、犯人追及の手がかりが得られた。和田はコマクラブのマネージャー中村鉄次に入質を命じられてきたというので、曽根崎署では直ちに中村を呼んで事情を聴取したところ、中村は「九月一九日頃被告杉本から、同人が裸のまま持参した右電気計算器を預ったが、一〇月二日同人がこれの入質方を求めたので、店員の和田を質屋に行かせた。被告杉本には同人から電気計算器を預ったときに金一〇、〇〇〇円を貸し、これは数日後に返してもらったが、さらに入質方を依頼された日に金五、〇〇〇円を貸している。」と申し述べた。そこで同署は即日被告杉本の出頭を求め、北係長と成瀬刑事が取調べたところ、同被告は「九月五日自分の店の向い側にある青果店「かね元」の元店員で顔見知りの原告光男から借金を申込まれ、なじみの麻雀店コマクラブのマネージャー中村鉄次から金一〇、〇〇〇円を借りてこれに自己の所持金四、〇〇〇円を加え、計金一四、〇〇〇円を原告光男に貸し、その際同人から担保として本件電気計算器を裸のまま預ったけれども、これを使う必要もないので、コマクラブの中村に預けていたが、その後原告光男から何の音沙汰もなく、金が入用にもなったため、一〇月二日中村に右計算器の入質方を依頼した。」と供述し、一〇月五日にも同旨の供述をくりかえしたうえ、京都府警察本部から送られてきた原告光男の電送写真を示されて、それが電気計算器を預った男に相違ないことを確認した。
このように、被告杉本と中村との接触の場面に関する両名の供述は多少のくいちがいはあっても大筋において合致し、原告光男が「かね元」の店員であったことも反面捜査の結果と一致し、実在の人物であることが確かめられ、これにより北係長ら警察当局は原告光男に対して嫌疑を抱くに至ったが、さらに氏名照会の結果、原告光男は韓国人で少年時代に犯歴四回(うち窃盗一回を含む)があることが判明し、また同人が「かね元」を退職した同年夏頃以降の所在をつかむことができなかった反面、被告杉本については前科等の犯歴はなく、同人は米花商店の隣で昭和四一年一月頃から父のあとを継いで青果商北久商店を経営し、資産もあり生活に困る境遇でもなく、近々に結婚を控えていて、通常このような場合、商店主が隣の商店に侵入するとは考えにくく、また中村の供述だと、被告杉本は犯人がよくするように賍品を隠し持って来たわけではなく、むしろ裸のまま持って来たものであったことなどの事情をあわせ考慮して、北係長らは原告光男を本件窃盗の犯人として疑うに足りる相当な理由があると判断し、その進言にもとづき石田竹雄刑事課長は原告光男に対する逮捕状を請求し、その発付を得て指名手配した。
3 その後は、北係長の指揮のもとに、堀之内満雄、成瀬光男、山本勲の三警察官がこれを担当することになったが、数次にわたる逮捕状の更新の間、格別捜査らしい捜査をすることもなく、約一年経過した。たまたま昭和四二年一〇月一〇日過ぎ頃、右警察官らが京都市南区役所で原告光男の外国人登録原票を閲覧して、同原告が京都市南区西九条柳ノ内町二〇番地に居住していることをつきとめ、同月一三日同所で同原告を逮捕し、翌一四日大阪区検察庁検察官に送致し、小沢副検事は刑事訴訟法六〇条一項二、三号により同原告の勾留を請求し、勾留状の発付を得て曽根崎署代用監獄に勾留した。
4 原告光男は逮捕以来一貫して被疑事実を否認し、事件発生当時は長野市内の次兄竹本武男方に行っていた旨アリバイを主張したので、曽根崎署では同月一八日長兄の原告相益を取調べたところ、同人の供述では、原告光男が武男方へ行ったのは昭和四一年九月末か一〇月初め頃であったといい、またその頃長野県警察本部に対し依頼した竹本武男についての調査の結果では、原告光男の長野滞在は昭和四一年一〇月一〇日頃から昭和四二年四月初め頃までであったというのであり(のち武男は原告光男の長野滞在期間を昭和四一年九月初め頃から昭和四二年三月初め頃までと訂正しているが、この供述を録取した調書が曽根崎署に送付されてきたのは釈放後の一一月一日のことである)、いずれも原告光男の主張するアリバイを裏付けるものではなかった。
しかし原告光男は犯行をあくまで否認し、被告杉本との対決を求めたので、曽根崎署では一〇月一六日と二〇日に右両名を引き合わせたところ、とくに二回目の対決において、原告光男の怒気を含んだ追及に対し被告杉本は動揺してその供述はしどろもどろになり、この時点で同被告に対する疑惑が増してきた。
また堀之内、山本両刑事が一〇月二〇日(≪証拠判断省略≫)天満卸売市場で聞き込みをした際、「かね元」の番頭平田建治は、平素の素行からみて原告光男よりもむしろ被告杉本が怪しい、という意見を述べている。
5 こうした取調状況のもとで、原告光男の勾留期間の最終日である一〇月二三日を迎えたが、小沢副検事は同日、原告光男のアリバイの捜査、天満卸売市場内の裏付捜査ならびに被告杉本や中村鉄次、和田隆司ら関係人の捜査につきさらに日時を要するとの理由で、一〇日間の勾留期間延長を請求し、その旨の裁判を得て、勾留を継続した。
そして曽根崎署では、一〇月二五日原告光男と被告杉本の承諾を得て、大阪府警察科学研究所に嘱託して、右両名につきポリグラフ検査を実施したところ、原告光男には何ら反応が見られず、むしろ被告杉本に顕著な反応があらわれ、同被告に対する容疑が深まり、同被告は翌二六日の取調べでついに犯行を自供し、ようやく原告光男は釈放されるに至った。
二 以上の事実関係にもとづき、まず逮捕の違法性と過失について判断する。
1 右に認定した事実から明らかなように、曽根崎署では賍品である本件電気計算器を現に入質しようとした和田隆司から、順次さかのぼって被告杉本が入質依頼者であることをつきとめ、同被告の供述から原告光男が本件窃盗事件の犯人として捜査線上に浮かんできたのであって、被告杉本の供述こそ賍品と原告光男とを結びつけるほとんど唯一の証拠として、同原告に嫌疑をかける端緒となり、かつきめてとなっているのである。したがって、本件では、原告光男につき罪を犯したと疑うに足りる相当な理由があるとして同原告を逮捕したことの違法性および過失の有無の判断は、被告杉本のいつわりの供述を信用したことの当否の検討に帰するわけである。
2 こうした観点から被告杉本の昭和四一年一〇月三日の供述をみるに、被告杉本が本件計算器を中村鉄次に預け、その後入質しようとした経過に関する供述内容は、これを中村の供述と対比してみると、計算器を預けた日時や金一〇、〇〇〇円の貸借の時期の点など細部においては多少のくいちがいはあるものの、大筋では合致しており、また被告杉本の述べた竹本光男なる者が実在の人物で、同被告のいうとおり天満卸売市場内の「かね元」の元店員であって、現場にくわしいはずであることも、反面捜査により確認され、若干の犯歴もあり、しかも「かね元」退職後の所在は当時不明であったというのであるから、これだけの事情がそろえば、被告杉本の供述に一応信を措くことができ、原告光男を疑うに十分であるように見えないことはないかもしれない。
3 しかしながら、一般に賍品が発見されたとき、それを現に所持している者あるいはその者にこれを所持させている者が、捜査官憲の取調べに対して苦しまぎれに、他人から預ったとか買ったとか責任を他に転嫁する虚偽の弁解をして、その場逃れを図ろうとすることは、往々にして見受けられるところであって、捜査官としては、この点の追及をゆるがせにすることはできないのであり、被告杉本が実在の人物を指摘したからといって、直ちに同被告の嫌疑が晴れるわけではなく、とくに原告光男の所在が不明で(もっともこれについては当時十分な調査がつくされていたとは認めがたい)その言い分を確かめることができない状況にある以上、一そう被告杉本の弁解を単純に信用することなく、これについて今少し深く追及し、その信憑性を検討するのが常道というべきであろう。
もちろん曽根崎署においても、被告杉本について天満卸売市場内での聞き込みなど若干の反面捜査は行なっているのであって、被告杉本の平素の素行についての聞き込みは必ずしも十分ではなかったようであるが(「かね元」の番頭平田建治から前示のような同被告の素行不良を聞き込んだのは、原告光男の逮捕後のことである)、同被告は被害者米花商店の隣の商店主で、資産もあり生活に困る境遇ではなく、近々結婚を控えていることや、前科前歴はないことが明らかになっている。しかし、米花商店の隣であるからには、同店の店舗内の状況には十分精通しているはずで、原告光男が「かね元」の元店員で土地勘があることを重視する以上、被告杉本も同じ条件であるわけであり、被告杉本が店舗を構えた商店主であるからといって、その嫌疑を否定するのは早計に過ぎる。そしてことに、被告杉本がおよそ盗みを犯すとは考えられないほどの資産家であるというのならば、それほどの者が原告光男に用立ててやるための金一〇、〇〇〇円を中村に金策依頼したとか、一か月もたたない間に金が入用になって早速入質しようとしたということなどが多分に不自然に映らざるをえないのであって、この矛盾が追及されるべきであったといわなければならないし、原告光男とは金銭の貸借をするほどの間柄だといいながら、そのおおよその住所も知らないというのも尋常でない。
さらに警察当局は、被告杉本がコマクラブに計算器を裸のまま持って来たことを同被告の容疑を否定する一徴表として挙げているが、(これが合理的な推論といえるかは疑問があるけれども)、もしそうであるならば、被告杉本の供述では原告光男が被告杉本に右計算器を渡したときも裸のままであったことになっている点に目を塞ぐのは片手落ちである。
なお本件では賍品につきその被害者還付前に指紋検査をしたのかどうかが必ずしも明らかでないが、かりに北係長の証言するようにこれを行なっているのであるならば、それにもかかわらず賍品を裸で持ってきたという原告光男の指紋がこれから採取されていないことも、無視できない要素である。
4 以上の事情を総合してみると、本件では警察当局が被告杉本の供述から原告光男に一応の嫌疑をかけたのは当然だとしても、被告杉本の供述自体その信憑性につき見逃すことのできない疑点もあって、必ずしも十全の信を措きうるものでなく、他に賍品と原告光男とを結びつける証拠はあらわれていないのであるから、この段階で入質依頼者である被告杉本の嫌疑が消え去ったとはとうていいいがたく、むしろ同被告に対してこそより多く疑いの目が向けられてよかったのであり、原告光男が罪を犯したと疑うに足りる相当な理由があったと認めることはできない。したがって原告光男に対する本件逮捕は違法であったといわなければならない。
しかして石田課長、北係長ら警察当局は、被告杉本の供述の信憑性について十分な検討を加え誤りなきを期すべきであったのにこれを怠り、原告光男に犯歴があることと、同原告が韓国人であることに対する偏見とから、被告杉本の供述をうのみにして、同被告に対する追及をなおざりにし、軽々に原告光男を犯人と断定してしまったものと推認され、この点において職務遂行上の過失があったと認めざるをえない。
なお、本件の逮捕は逮捕状によってなされたもので、罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由につき裁判官の判断を経ているのであるけれども、それだからといって右に述べた違法性が治癒されたり、捜査官の過失が消滅するものでないことはいうまでもない。
三 つぎに勾留の違法性と過失について判断する。
1 原告光男は逮捕されたのち、警察官および検察官に対して犯行を強く否認し、他に格別の証拠はあらわれていないのであるから、検察官の勾留請求の段階でも罪を犯したと疑うに足りる相当な理由があったといえないことは、前項で認定したところと同様であり、勾留の違法性は明白である。
そして上記事実関係のもとにおいては、検察官は逮捕に至るまでの捜査の結果を総合し、被告杉本の供述と原告光男の弁解を慎重に検討したならば、違法な勾留を避けることができたはずであるのにこれを怠り、原告光男が被疑事実を否認していることから安易に勾留請求をしたものと認められ、その職務を行なうについて過失があったというほかはない。
2 さらに、前認定の事実によると、本件勾留の進行中、曽根崎署での原告光男と被告杉本との対決の結果や警察官による天満卸売市場内の聞き込み捜査により、一〇月二〇日の時点で被告杉本に対する嫌疑が飛躍的に増大し、相対的に原告光男の嫌疑は薄らいできたのであるから、勾留を維持する理由はより一そう薄弱となり、少なくとも一〇月二三日の勾留期間延長請求は理由なくなされた違法があるといわざるをえず、検察官は警察官に対する適切な指揮によりこれらの捜査結果を報告せしめて、人身拘束を理由なく長引かせないよう配慮すべきであったのに、これを怠り、漫然と勾留を延長継続したことについても、過失の責を免れない。
被疑者の勾留および勾留期間延長も裁判官の判断を経て行なわれるものであるけれども、そのために検察官の行為の違法および過失を問いえなくなるものでないことは、逮捕におけると同様である。
四 被告杉本は、自己の犯行をかくし刑責を免れるため、警察官に対しあたかも原告光男の犯行であることを裏付けるかのようなでたらめの事実を供述し、これが端緒となって原告光男が逮捕されるに至ったのちも、ポリグラフ検査により供述の虚偽を暴露されるまで頑強に言い張って、原告光男の身柄拘束を継続させる原因を作っているのであって、自ら犯した罪を何のゆかりもない他人になすりつけ、窃盗犯人の汚名を着せて留置場に呻吟させながら、いささかも恥じるところのないその品性はまことに卑劣というほかはなく、これが原告光男に対する故意による不法行為となることは明らかである。
五 進んで原告らの損害について判断する。
1 原告光男は本件逮捕当時勤務先から日給として金四、五〇〇円の支給を受けていたと主張するところ、原告光男本人尋問の結果によると、当時原告光男は兄の原告相益とともに土建業者の下請をしていたというのであり、これにより何らかの収入を得ていたことは推認できるとしても、その額を的確に認定できる証拠がない。したがって得べかりし利益の喪失による損害はこれを認めることができず、この点はつぎの慰藉料額の算定において斟酌することとする。
2 原告光男は前示のとおり昭和四二年一〇月一三日無実の罪で逮捕され、同月二六日釈放されるまで一四日間曽根崎署留置場に拘禁され、人権の最も基本たるべき人身の自由を故なく奪われたのであって、これにより余人の想到しがたい多大の精神的苦痛を受けたであろうことは容易に推察することができる。原告光男が曽根崎署での被告杉本との対決において、怒気を含んで鋭く同人を追及したことは、同人のでたらめな供述により犯人に仕立てられ、自由を奪われた無念の心情をあらわして余りあるものといえよう。
そこで以上の事情を総合考慮して、原告光男の精神的苦痛を慰藉する金額としては、金五〇万円をもって相当と認める。
3 原告相益は、弟の原告光男が不当に逮捕勾留されたことにより精神的苦痛を受けたとして、固有の慰藉料を請求している。しかし、無実の罪で逮捕勾留された者の親兄弟など近親者がこれにより精神的な打撃を受けることは当然であるとはいえ、これら近親者の精神的打撃は、特段の事情のないかぎり、被逮捕者自身の慰藉料が認められその精神的苦痛がつぐなわれることにより、おのずから慰藉されると考えるべきものであり、独自の慰藉料請求権を認めるに値いしない。また原告相益が原告光男の逮捕により仕事上ある程度の迷惑を受けたとしても、それは相当因果関係ある財産的損害として主張立証されるべきであり、それをしないで慰藉料としてこれを認めるわけにはいかないと解すべきである。
六 韓国の国家賠償法五条にはわが国の国家賠償法六条と同旨の規定があり、右六条にいう相互の保証がある場合にあたることは、当事者間に争いがない。
そうすると、被告国および大阪府はそれぞれ原告光男に対し国家賠償法一条一項による損害賠償責任を免れず、被告杉本とともに共同不法行為の関係に立つものである。
七 よって、原告光男の本訴請求は、右に認定した慰藉料金五〇万円とこれに対する昭和四二年一〇月二七日から完済まで民事法定利率による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるとしてこれを認容し、原告光男のその余の請求と原告相益の請求は失当として棄却し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法八九条、九二条を適用し、なお仮執行宣言は相当でないからこれを付さないこととして、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 下出義明 裁判官 藤井正雄 石井彦寿)