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大阪地方裁判所 昭和43年(ワ)2010号・昭43年(ワ)2549号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕一、原告が昭和三九年六月六日から同年四二年一一月九日まで被告会社大阪支店に勤務していたことは当事者間に争いがない。原告は右支店における勤務は昭和三九年六月六日被告会社との間に成立した雇傭契約に基づくものである旨主張するので判断するに、<証拠>中右原告の主張に沿う供述部分はたやすく措信し難く、かえつて<証拠>によれば、原告は昭和三九年六月六日訴外松江不動産株式会社(以下単に松江不動産という)の従業員として採用されたものであるが、採用と同時に松江不動産から被告会社大阪支店に派遣され、同支店で勤務することとなつたものであること、松江不動産は被告会社のいわゆる系列会社でその所有の不動産を他に賃貸することを業とするほか清掃、夜警等の請負をもその営業の目的としていたものであるところ、昭和三九年八月二七日、右松江不動産の営業の一部である清掃、夜警の請負業務を分離し、新たに松栄株式会社(以下単に松栄という)を設立して右業務を行わせることとなり、同会社の設立による雇傭主の地位の移転に伴い、従来松江不動産の従業員として採用し被告会社に勤務させていた夜警員、掃除人らは、松栄の従業員として雇傭されることとなり、原告も昭和三九年一二月中に松栄との間にあらためて雇傭契約を締結し、以後松栄の従業員として被告会社大阪支店において引続き勤務することとなつたものであることが認められる。原告は右松江不動産より松栄への所属の変更について、原告の承諾の欠缺を主張するけれども、右主張に沿う<証拠>は前記の認定に供した各証拠に照らしにわかに措信し難く、他に以上の認定を左右するに足る証拠はない。

二、そして、原告が被告会社大阪支店に勤務中の昭和四〇年九月二一日右眼失明の身体障害を惹起するに至つたことは当事者間に争いがないところ、原告は右身体障害の結果は昭和三九年六月六日以降被告会社において原告に対し雇傭契約上の義務に違反し、原告を強制して雇傭契約の範囲外にわたる過重な労働に従事せしめ、かつ劣悪な職務居住環境のもとにおける就労を余儀なくさせたことによるものである旨主張するので、以下被告会社の不法行為の成否について検討する。

原告の被告会社大阪支店における勤務が被告会社との間の雇傭契約に基くものではなく、訴外会社である松江不動産および松栄と原告との間に締結された雇傭契約に基づくものであることはさきに認定したとおりである。そうすると被告会社は原告に対し契約当事者として直接雇傭契約上の義務を負担するものではないといわなければならないけれども、成立の真正につき争いのない<証拠>によれば、原告が被告会社大阪支店に勤務するについては同支店支店長の指揮監督を受け、その指示に従つて職務に従事し、また給与待遇の面においても支店長との間に直接折衝が行われていること、原告の健康管理の面も一切被告会社によつて行われていたこと、原告の職務内容も被告会社大阪支店建物内に住み込み相当期間にわたつて継続的に同支店で勤務することが予定されていたことが認められ、以上認定の事実によれば、被告会社は原告の雇傭主である松江不動産ないしは松栄より原告の労務の支配管理につき雇傭主として有する権限を委ねられ右の権限に基づき原告を指揮監督して被告会社の業務に従事させていたものと推認するのを相当とするから、被告会社は原告の労務の支配管理に関し松江不動産および松栄が原告との間に締結した雇傭契約、右当事者間の労働契約関係に適用される就業規則、その他労働基準法等関係法規の規定するところに従い負担すると同一の法律上の義務を負うものと解すべきである。(白井美則 名越照彦 下司正明)

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