大判例

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大阪地方裁判所 昭和43年(ワ)3981号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕一、先ず本件異議の適否を判断するに、被告に対する本件手形判決正本の送達は昭和四二年九月一三日公示送達の方法によりなされ、同年九月二八日右送達の効力が生じたところ、本件異議申立書はその法定期間経過後である昭和四三年七月八日当裁判所に提出されていることは記録上明らかである。しかし、本件記録を調査すると、本件訴状及び第一回口頭弁論期日(昭和四二年八月一六日)の呼出状は「茨木市主原町一二番六号の一六」において被告宛に郵便により送達され、右期日に被告の不出頭のまま口頭弁論終結され、同年八月三〇日本件手形判決が言渡されたこと、右判決正本は同所宛に郵便により送達されたが、茨木郵便局より「転居先不明」の理由で差出人である当裁判所に返還されたため、同年九月一三日受送達者不明且つ訴訟の遅滞を避ける必要があることを理由に職権をもつて公示送達に付されたことが認められる。

そして、被告提出の異議申立書、住民票、証明書二通、原告訴訟代理人提出の有体動産差押調書及び「弁護士法第二三条の二第二項に基く照会に対する回答」と題する書面写によれば、被告は当時「茨木市王原町一二番六号の一六」の住所に引続き居住し住民登録もなされていたこと(従つて、被告が原告の訴求を免れるため又は困難にするため住居を変えたようなことはない)、しかし茨木郵便局配達員は昭和四二年九月二日右判決正本の送達をなすべく右住所に赴いたところ面接者に出会わず、再配達のため同月九日赴いた際、婦人に面接したが同女は受送達者はおらぬと申立てて右郵便物の受領を拒否したため「転居先不明」を理由に当裁判所へ差出人戻しとなつたこと、一方被告は右送達及びその後の公示送達のあつたことを知らず、昭和四三年七月一日右住所において執行力ある右判決正本に基く動産差押が原告の申立により当裁判所執行官によつてなされてはじめて右判決の言渡、公示送達の事実を知つたことが認められる。

右事実によれば、本件公示送達はその客観的要件を欠くものであるが、前記資料に基づき右公示送達の要件あるものと判断し裁判長より許可されたものである以上、これをもつて直ちに無効の送達であると言うことはできない。しかしながら、右住所に訴状及び口頭弁論期日の呼出状が現実に送達されている事実よりして被告において自己の住所が同所に存することを裁判所が覚知して、爾余の送達も当然同所になされるものと信じ、住所不明として公示送達による送達がなされることがないものと期待するのが当然であり、むしろそのような公示送達のあることを予想する方が無理であるから、被告が公示送達の事実を知らず、右異議申立期間を徒過したことは、本件訴訟係属の事実を知つていたにも拘らず、これをもつて過失があつたと解することはできず、本件判決正本の送達が公示送達によつてなされたことを知つた昭和四三年七月一日以後一週間以内になされた本件異議申立は民訴法第一五九条の規定により追完されたものと言うべく、右申立は適法と言わねばならない。(石川恭 大隅乙郎 重吉孝一郎)

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