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大阪地方裁判所 昭和43年(ワ)4682号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕三、<証拠>によると原告主張のとおり、療養費として片岡が三四万六、二一〇円を要したことが認められて他にこれを左右するに足る証拠はない。又、<証拠>によると、原告主張のとおり、片岡が本件事故のため昭和四二年三月三一日から同年一一月二〇日まで休業し、この間得べかりし給料(夏期、冬期の一時金を含む)を合計すると五四万七、六四六円を下らないことが認められて他にこれを左右するに足る証拠はない。

四、そこで、被告主張の免責ないし過失相殺の適否について審究する。

<証拠>を総合すると、本件事故の状況は左のとおりであつたものと認められ、他にこれを左右するに足る措信すべき証拠はない。

(1) 事故現場道路は、全幅一五メートルでアスファルト舗装され、制限速度四〇キロメートル毎時の規制区域にあり、市街地で車輛の交通量は多く(一分間に一五台位)加害車が南進して出て来た該道路への出入口附近における左右(東西)の見透しは不良であつた。

(2) 被告は、加害車を運転して該出入口まで南進し、同車の先端が道路北側端から約2.8メートルの地点に達する附近までそのまま進出し、同所で一旦停止したうえ左方(東方)を見たところ被害車が東進しているのが見え、西方からは右出入口のすぐ西側に東向きに駐車中の車があつたほか約三〇メートル西方を東進して来るダンプカーが目についた。がその距離関係(被害車との距離は不明)からして先に右道路を横断できるものと判断し、加害車をその先端が道路の中央を幾分越える附近まで徐行しながら右折の体勢で進出させた途端、被害車が右制限速度以下の速さでその前面に迫り同車の右側後部ドア附近と加害車の左前部が衝突し、加害車の前部は約0.5メートル西方へ押し寄せられ、被害車は衝突後約3.2メートル前進して停止した。

なお、被害車は業務中で乗客一名があつたが、同人からは何ら受傷の訴えがない。

右状況からすると、本件事故は双方の過失が寄与しているものと認められる。即ち、加害車側には左方(東方)を西進中の被害車の動行に対する確認が不完全であつた点、被害車側には加害車の動静に対する判断が軽卒であつた点が指摘できる。しかして右被害車側の落度は必ずしも軽微ではなく、過失相殺として、前記片岡の損害金額のうちその三〇パーセントを控除するのが至当であると認められる。よつて、同人の損害たりし金額は、合計六二万五、九〇〇円と認めるのが相当である。

五、次に、原告の被告に対する請求権の適含について考えてみる。原告(タクシー会社)が、同社従業員で組織する労働組合との間に昭和四一年八月二日「業務上災害補償に関する協定書」なるものを取り交わし、業務上の災害によつて就労不能となり一五日以上休業した従業員に対してその者の平均賃金を支給する旨の協定を結び、これと労働基準法七五条一項により、昭和四二年一二月一一日までの間に、逐次前記療養費を両院に、又休業損害相当金を片岡にそれぞれ支払つていることは、<証拠>によつて明らかであり、他にこれを覆すに足る証拠はない。しかして、かかる原告の出捐は、右のとおり労働基準法七五条一項ならびに協約に定められた義務に基づくものではあるけれども、従業員の傷害について第三者が自賠法に基づく損害賠償を負担している本件の如き場合には、補償義務を履行した使用者たる原告は、賠償者の代位に関する民法四二二条の類推により、被害者たる従業員に代位してその限度で第三者に対し賠償請求権を取得するものと解するのが相当である(最高裁第三小法廷昭和三六年一月二四日判決参照)。されば、原告は被告に対し、前記六二万五、九〇〇〇円の範囲においてその支払請求権を有するものである。(中村行雄)

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