大判例

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大阪地方裁判所 昭和43年(ワ)5784号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕次に、<証拠>によると、被告もまた本件事件において原告の加害行為により約一週間の通院加療を要する右耳前打撲擦過傷の負傷をし、かつ腕時計を損傷したこと、右の治療費として金一二六円を、腕時計の修理費として金三三〇〇円をそれぞれ支払つていることが認められ、右認定を左右するに足る証拠がなく、被告が、原告に対し昭和四五年一二月一八日の第一一回口頭弁論において右原告に対する損害賠償債権を自動債権とし、原告の被告に対する前記損害賠償債権を受動債権として相殺の意思表示をしていることは記録により明らかである。なお成立に争ない乙第二号証の二によると、同年一〇月一八日ころ被告は胃炎兼肝障害により治療を受けていることも認められるけれども、右傷害と本件事件との因果関係について認めるに足る証拠はない。

ところで、本件事件のように原告・被告それぞれに不法行為があり、双方に損害の発生が認められる場合は二個の不法行為が成立し相互に損害賠償債権を有することとなり、このような場合には互に相殺を認めても弊害を生ずる余地がない。従つて前記事実によると、被告は原告の不法行為により金三四二六円の損害賠償債権がありこれを自動債権として相殺したのであるから同額の範囲で右債権発生時に遡り消滅したことになる。

(吉田秀文)

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