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大阪地方裁判所 昭和43年(ワ)7463号 判決 1970年10月24日

原告

辻本東海夫

被告

大阪市

主文

一、被告は原告に対し、金一、八一一、〇〇四円および内金一、六五一、〇〇四円に対する昭和四三年九月六日から、内金一六万円に対する本判決言渡の翌日から右完済まで年五分の割合による金員を支払え。

二、原告のその余の請求を棄却する。

三、訴訟費用はこれを五分して、その三を原告の、その余を被告の負担とする。

四、この判決は一項にかぎり仮に執行することができる。

事実

第一、当事者の求めた裁判

一、原告

被告は原告に対し金四、七九〇、六八九円および内金四、一六五、八一七円に対する昭和四三年九月六日から、内金木二四、八七二円(弁護士費用)に対する判決言渡の翌日から右各完済まで年五分の割合による全員を支払え。

訴訟費用は被告の負担とする。

との判決ならびに仮執行の宣言。

二、被告

原告の請求を棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

との判決。

第二、当事者の主張

一、原告、請求原因

(一)  本件事故発生

とき 昭和四三年九月六午後一〇時三〇分ごろ

ところ 大阪市生野区猪飼野東、大池橋交差点

事故車 パトロールカー(大八た四二六三号)

運転者 訴外上野政雄

受傷者 原告

態様 原告同乗の事故車が北から西へ右折せんとしたとき、北進して来た趙一済(分離前被告)運転の普通乗用自動車(神戸五ゆ三六三五号、以下趙車という)と衝突した。

受傷内容 頭部打撲、むちうち症、第二、三腰椎左横突起骨折、左半身全体と左眼奥部に痛みがあり、膀胱炎、外耳炎、大腸炎を併発、吐き気、尿の回数が著しく多い。

(二)  帰責事由(自賠法三条、国家賠償法一条)

1 事故車は大阪府生野警察署所属のパトロールカーであつて、被告が保有し運行に供しているものである。

2 訴外上野は同署勤務の警察官であつて、事故当時原告を他の交通事故についての参考人として取調のため同署へ連れて行く途中で、公務執行中であつた。

3 訴外上野には左記過失があつた。すなわち交差点において右折しようとする車輌の運転者は、対向車線からの直進車の通過をまつて発進すべきで、特に黄信号となつてからも、これを無視して全速で交差点を通過しようとする車輌のきわめて多いことも考慮しなければならない。事故車が本件交差点の道路中央線から西側へ発進した際、南北の信号は青点滅から黄色に変り、赤に変る間際であつたが訴外上野はなお直進してくる車輌の動向に十分に注意してその安全を確認のうえ発進しなければならないのに、黄信号を無視して交差点に進入してきた趙車を見落して右折進行したため本件事故を発生させた。

(三)  損害

(治療経過、後遺症)

(1) 昭和四三年九月六日から同年一二月三〇日まで一一六日間新大阪病院に入院。

(2) 昭和四四年一月二二日から同年四月一二日まで八一日間大阪労災病院に入院。

(3) 同年一月一三日以降昭和四五年一月二〇日まで(入院期間を除く)同病院へ整形外科二四日、神経科一一日、内科三三日、眼科二日、泌尿科六日、耳鼻咽喉科一〇日の実通院をした。

後遺症として外傷性陰萎があり性的機能の不全がある。

1 療養関係費 金一二二、四二〇円

(新大阪病院分)

付添費 二四、六八〇円

文書料 二、五〇〇円

医師看護婦謝礼 四、〇〇〇円

ボツト、ガスストーブ代 九、四〇〇円

衣類代 一一、六〇〇円

新聞代 一、一六〇円

友人謝礼 五五〇円

雑費 二三、二〇〇円

(大阪労災病院分)

入院治療費 二二、五五〇円

文書料 一、四〇〇円

医師謝礼 三、〇〇〇円

新聞、書籍代 二、一八〇円

雑費 一六、二〇〇円

2 休業損 金六四五、二一三円

原告は阪南金属工業株式会社の溶接工として勤務し、平均日収一、四三七円を得ていたところ、本件事故により受傷後昭和四四年一二月一日まで休業を余儀なくされた。

(一四三七円×四四九=六四五、二一三円)

3 賞与減収損 金九万円

昭和四三年々末分、昭和四四年夏期、年末分の各三万円。

4 慰藉料 金三五〇万円

前記受傷内容、治療経過、後遺症(障害等級一二級)、ことに性的機能の障害は重大であり、将来結婚について大きな不安がある。また昭和四四年七月一五日前記勤務先を解雇され、生活保護や借金で苦難な生活を続けている。同年一二月二日から造花店へ日収八四〇円のバートタイムで勤務するようになつたが、身体の不調や通院のため月のうち半分程度しか勤務できない。原告の家庭は、父が日雇をしていて、母、妹は病気がちであるため、原告の受傷によりこれら家族に大多の迷惑をかけている有様である。

よつて原告の精神的苦痛に対する損害として右金額が相当である。

5 弁護士費用 金六二四、八七二円

(四)  損益相殺

原告は新大阪病院における治療費のほかに自賠責保険金一九一、八一六円を受領したからこれを慰藉料に充当する。

(五)  よつて、原告は被告に対し第一の一記載の金員および遅延損害金の支払を求める。

二、被告

(一)  請求原因に対する認否

本件事故の発生は、受傷を不知のほか認める。なお態様は趙車が事故車に衝突させたものである。

帰責事由1は事故車が大阪府生野警察署所属のパトロールカーであることは認める。

同2は、認める。

同3は、否認する。

損害はすべて争う。

(二)  免責の抗弁

1 訴外上野政雄巡査は事故車を運転し、助手席に西野幸雄巡査長、後部座席の左側に田村尚義巡査同右側に原告を同乗させて大阪市内の猪飼野東四丁目から森小路大和川線に出て南進し、本件交差点にさしかかつた。交差点を右折するため、その手前五〇メートル付近から右折指示器を出して減速し、南北の青信号に従い、交差点中央付近まで進入して一時停止した。右信号が青から黄に変り、訴外上野は南から北へ進行してきた自動車一台が交差点南側で停止したのを確認してから、発進してハンドルを徐々に右へ切り向きを変えていた際、南側から進入してくる趙車の前照灯の光を認め、とつさに危険を感じて停止措置をとり危険を避けようとした。

2 しかるに、趙車は南北の信号が黄から赤になりかけているのに、これを無視して、時速六、七〇キロメートルの速度で交差点内に進入してきた。趙一済は信号の変化に気をとられて前方を注視せず、交差点内に入つて事故車を発見し、あわてて急制動をかけたが間にあわず、事故車の左側ドアー付近へ趙車を衝突させたのである。

3 事故車には構造上の欠陥、機能の障害はなかつた。

従つて訴外上野には何ら過失がなく、趙一済の全面的過失によつて発生したものである。すなわち訴外上野は交差点南側手前において停車している北進車を確認しているので、信号を無視しかつ交差点中央に右折待機している事故車を無視して、交差点内に進入してくる車輌がないことを信頼して然るべきで、この時点において右折をはじめたのであり、趙車が交差点内に突入してきた時点では事故車に回避可能性なく、訴外上野には何らの落度もない。また同人が趙車に注目していたとしても、交差点に進入してくることはないと信頼することに変りなく、かりに趙車を見落していたとしても過失があることにはならない。

(三)  原告と分離前被告趙一済との確定判決の存在による免除の仮定抗弁

原告は右趙に対する本件事故による損害賠償として金二、二七三、三四〇円の確定判決を得ている。かりに原告に右金額を超える損害があつたとしたも、超える部分は免除したものとみるべきである。共同不法行為者の連帯債務については民法四三七条が適用されること判例の示すところである。本件事故については趙の一方的過失に基づくものであり、被告が負つた責任の全部につき求償権を有するから、右免除は被告に対しても効力を生ずる。そうでなければ、被告が右判決額を超えて責を問われた場合、趙に対して求償しても、趙は右判決額を超える部分の求償を拒むことは明らかで、被告に不当な損害を負わせる結果となる。

(四)  損害についての反論

1 原告は本件事故の一時間程前、同僚の若山進運転の単車後部荷台に乗車中、歩行者と接触して単者もろとも転倒した。その際気分が悪くはき気を催し直ちに新大阪病院にて治療をうけ、腹部、右手、右膝、左足部打撲傷により加療約一週間と診断された。原告の受傷内容にある第二、三腰椎左横突起骨折は本件事故によるよりも前記転倒事故により生じたものと考えるのが経験則に合致する。

2 原告が労災病院に入院したのは背すい分離症によるもので、これは原告の資質的なもので事故とは因果関係はない。

3 後遺症として陰萎は存在するかどうか疑問であり、内科的疾患も心因性、神経性のもので事故との因果関係は疑問である。

三、被告の抗弁に対する原告の認否

免責の抗弁は否認する。

免除の仮定抗弁は争う。

第三〔証拠関係略〕

理由

一、本件事故の発生は受傷のほか当事者間に争いがない。

〔証拠略〕による、原告は本件事故により頭部打撲、第二、三腰椎左横突起骨折の傷害をうけたことが認められる。

ところで、〔証拠略〕によると、本件事故の約一時間前に原告は友人若山進の運転する単車の荷台に同乗していて、単車が歩行者と接触し、右側に倒れ原告は約二週間の加療を要する腹部、右手、右膝、右足に打撲傷をうけたことが、認められる。被告はこの事故から腰椎の突起骨折が生じたものと主張するが、傷害程度は軽く衝撃が本件事故に比すれば比較にならないものと考えられ、かつ腰部を強打した事実もないから、先の事故に基因するものとは認められない。

二、被告の責任

事故車が大阪府生野警察署所属のパトロールカーであり、訴外上野は同署勤務の警察官で事故当時公務の執行として参考人運行のため事故車を運転していたことは当事者間に争いがない。そうすると被告は自己保有の事故車を運行に供していたものと明らかに認められるから、後記免責事由がなければ自賠法三条本文により本件事故から生じた原告の損害を賠償する責任がある。

そこで以下免責抗弁について判断する。〔証拠略〕によると、次の事実が認められる。

(1)  本件事故現場は、森小路大和川線といわれる直線の南北路と椎波足代線と称する東西路とが直角に交差する通称大池橋交差点内である。南北路は車道幅約二二ないし二三メートル、片道三車線ずつに区分されており、東西路も車道のみ約一六ないし二〇メートルありこれに両路とも歩道がついているため広い交差点を形成している。路面は平たんでアスファルト舗装されていて、事故当時乾燥していた。この付近は銀行、商店等のある市街地で夜間もネオンや街灯によつてやや明るく、見とおしも良好である。交通量はかなり多いが、事故当時には閑散としていた。車輌の制限速度は時速四〇キロメートルであり、交差点の各角に信号機が設置されていて、当時も作動していた。

(2)  訴外上野は、事故車の助手席に西野巡査長、後部左側座席に田村巡査、同右側座席に原告を同乗させて、本件交差点の北側から、センターライン寄りに時速約二〇キロメートルにて進入し、そのとき正面の信号が青であつたが、すぐ青点滅に変つた。事故車は交差点中心付近で一旦停止して直進車の通過をまつた。やがて黄信号に変つたので、訴外上野は交差点の南から北進して来た自動車一台が、交差点の南側で停止したのをみてから、時速一〇キロメートル程度でゆつくり発進して右折を開始し、三メートル程進行させ車体は殆ど西側へ向けた。それまで趙車の存在には気づかず、西野巡査長が危いと叫んだので急ブレーキをかけて直ちに停止したところへ、趙車が衝突してきた。衝突地点は交差点中心のやや南側で、センターラインの約四メートル西側であつた。

(3)  趙一済は免許をうけずにタクシー業を営む、いわゆる白タク営業をしていて、本件交差点南側の手前から約三〇メートルあたりにきたとき、すでに正面信号が黄となつていたのにかかわらず、先行していた津露英一運転のタクシー車を追い抜き、時速約六〇キロメートル余で第二車線を北進した。右タクシー車は交差点手前で信号まちのため停止したが、趙車はそのまま交差点に進入した。趙は交差点の進入直前に約三〇数メートル前方に右折のため一時停止していた事故車を発見していて、同車が右折するのを見て、急ブレーキをかけたが及ばず、一九・五メートルのスリップ痕を残し、その車体前部で事故車の左側車体に衝突させた。

前記証拠中、右認定に反する点は信用できず、他に右認定を動かしうる証拠はない。右事実によれば、本件事故の主たる原因は趙が黄信号ではもはや交差点に進入してはならないのに、これを無視し、そのうえ制限速度をはるかに超える速度で進行したからで、(時速六〇キロメートル余で進行していた点については、スリップ痕、道路の摩擦係数〇・七五から<省略>で算出して明らかである。)そのため発見と同時に急ブレーキをかけても間に合わなかつたのである。しかし、訴外上野は交差点において黄信号でも進入してくる車輌が実際上少くないのであるから、直進車の動静にはなお十分注意すべきで、交差点南側で一台の車輌がすでに一時停止したから、他の車輌も同様停止するとはかぎらず、北進してきた趙車のライト、速度について今一度注意深く見ておれば事故を回避することは可能であつたと考えられる。

ところで被告は、上野が信号の状況から趙車が交差点南側で停止するであろうことに信頼して然るべきで、右折進行について信頼の原則が適用され、同人に過失がない旨主張する。しかし、右折車の運転者として交差点において直進車の進路が黄信号になり、一台の直進車が交差点手前で停止しているから、他車も同様に停止すると考えるのは、慎重さが足りないというべきである。赤信号になつていればともかく黄信号中には、まだ実際上直進車が進入してくる可能性を考えなければならず、ことに本件では、上野が趙車を衝突するまで気づいておらないのであるから、信頼の原則が適用される事例となりうるものでなく、右主張を探ることはできない。

訴外上野に左方に対する不注視がある以上、その余の点について判断するまでもなく、免責の抗弁を認めることはできない。(ちなみに趙の過失と対比すれば、上野の過失は僅少で一五%となるものと考える。)

三、損害

(原告の治療経過、症状)

原告は事故直後アエバ病院において応急措置をうけてから、翌日から大阪市生野区巽西足代町、新大阪病院に入院し、昭和四三年一二月三〇日退院した。その後大阪労災病院に転医し、昭和四四年一月一三日から現在まで治療をうけ、その間同月二二日から四月一二日まで入院し、二四回通院した。

当初新大阪病院においてギブスベットにて治療をうけ、外傷性の膀胱炎を併発して、この治療もうけ、退院のころには項部、腰部に少し痛みがある程度となつていた。ところが頸部捻挫後遺症等のために大阪労災病院に入院する間に、同病院内科で腹膜ゆ着障碍、胃腸神経症があると診断されたが、これは事故との因果関係の存在は確実でなく、ただ事故と関係づけて考えることは十分可能であると診断されている。また背ずい外傷による軽度の神経因性膀胱炎、陰萎があつて、同年三月ごろには前者は、治したが、後者について原告は性的機能障害ありと訴えているも、他覚的所見は認められていない。さらに上眼窩神経痛、眼精疲労、軽い難聴等種々の症状を訴え、現在なお頭痛を訴え、腰部にはコルセットをつけている。(〔証拠略〕)

頸部捻挫は事故から生じたものである。しかし右内科的疾患については、事故との因果関係を認めうる蓋然性が強いが、一〇〇%確実であるとはいえないから、慰藉料算定について考慮する。また陰萎については、精神面で左右されるものと考えられ単なる愁訴としてうけとらざるをえない。前記原告の後遺症は、もはや普通の労働に差支えがなく、時々影響される程度となつている。(障害等級一二級)

1  療養関係費 金一〇一、一八〇円

新大阪病院分

付添費 一四、八五〇円

(〔証拠略〕)

文書料 二、五〇〇円

(〔証拠略〕)

医師等謝礼 四、〇〇〇円

(〔証拠略〕)

雑費 三四、五〇〇円

その他の項目は雑費として入院期間一一五日間、一日三〇〇円程度の雑費を要すること公知の事実であるので、右金額を認める。

大阪労災病院分

治療費 二二、五五〇円

(〔証拠略〕)

文書料 一、四〇〇円

(〔証拠略〕)

医師謝礼 三、〇〇〇円

(〔証拠略〕)

雑費 一八、三八〇円

前記同様雑費として入院八〇日間の雑費として請求の範囲で認める。

2  休業損 六〇七、七四九円

原告の職業 羽曳野市古市、阪南金属工業株式会社勤務事故前三か月間の税控除後収入額 一二七、〇二四円

(平均月収四二、三四一円)

休業期間 昭和四三年九月七日から昭和四四年一二月一日まで

(〔証拠略〕)

そうすると、休業損は一四か月と二五日であり、月別累計ホフマン式による中間利息を控除して計算すると、

四二、三四一円×5/6×〇・九九五=三五、一〇七円

四二、三四一円×(一四・五二〇-〇・九九五)=五七二、六四二円

計六〇七、七四九円となる。

3  賞与損 金八六、三一八円

昭和四三年末、昭和四四年夏期、年末の三回各三万円の賞与をうけることができなかつた。(〔証拠略〕)これを遅延損害金との関係で、四か月、一一か月、一六か月分の中間利息をホフマン式により控除して算出する。

<省略>

4  慰藉料

原告は前記勤務先を昭和四四年七月一五日解雇され、同年一二月二日から造花工員としてパートタイムで勤務するようになつたこと(〔証拠略〕)前記症状、治療経過、後遺症、事故の状況等諸般の事情を斟酌してその精神的苦痛に対する損害として金一二〇万円が相当である。

四、損益相殺

原告は自賠責保険金として治療費のほかに金一九一、八一六円を受領したと自認し、(〔証拠略〕)によると、健康保険金(傷病手当金)として月収の六割を六か月分支給をうけたことが認められ、これは休業損から控除しなければならない。

健保金は、四二、三四一円×〇・六×六=一五二、四二七円であるから、合計三四四、二四三円を前記損害金から控除すると、

一、九九五、二四七円-三四四、二四三円=一、六五一、〇〇四円となる。

五  弁護士費用 金一六万円

(〔証拠略〕)

六、被告の免除の仮定抗弁については、右認容額に弁護士費用を加算しても一、八一一、〇〇四円であるから、原告と趙一済間の確定判決額に達せず、損益相殺前の金額をもつてしても同様である。元来原告の都合による一部請求が認められている以上、免除したものとは認められないが、かりに被告主張のとおりであるとしても、右のとおり金額を超過していない本件においては、もはやその前提を欠き理由がないことになる。

七、結論

よつて、被告は原告に対し金一、八一一、〇〇四円および内金一、六五一、〇〇四円に対する不法行為日である昭和四三年九月六日から、内金一六万円(弁護士費用)に対する本判決言渡の翌日から右完済まで民法所定の年五分の割合による遅延損害金を支払う義務があり、原告の本訴請求は右限度において正当であるから認容し、その余は理由がないから棄却する。

訴訟費用の負担について民訴法八九条、九二条を、仮執行の宣言について同法一九六条を各適用する。

(裁判官 藤本清)

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