大阪地方裁判所 昭和44年(ワ)7257号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
〔判決理由〕請求の原因第一項の事実は被告小原においては争いがない。
そして<証拠>を綜合すれば、
請求の原因第一項記載の事実、被告安東は古くから運送業(丸安運送の商号で)を営み、自己の名義を以て買入れた自動車を使用して経営していたが、病気等の理由も加わつて息子の訴外安東一成に事実上経営の実際に当らせるようになつたこと(その後被告安東の全額出資により有限会社組織にしたもののようであるが詳細不明)、右の一成が事実上の経営に当つた後においても営業用に使用する自動車数台(本件事故車乙車を含む)はすべて被告安東の名義を以て買入れていたこと、
被告李は甲車を飲酒運転し追越禁止区域において追越をし、且前方不注意の過失により、
被告小原は右の丸安運送に雇用され(この点同被告においては争いがない)その業務のため乙車を運転し、先行車であるバスが停車したため、これを追越そうとして漫然と中心線を越えて進行(但しその頃対向車は数十米前方にあつた)した過失により、甲車、乙車が正面から衝突(接触)するに至つたこと、
以上の事実が認められ、右事実によれば、被告李及び同小原は以上の過失によりいずれも民法第七〇九条(甲車、乙車間の過失割合は前者六対後者四と認めることが妥当である)、被告安東は単なる形式上の名義人というよりは、永年に亘り築いた自己の信用を基礎として、事実上経営の実際を息子に当らせていたにすぎないものというべきであり、従つて運行の支配、利益を失つていたものとは到底いえないので、自賠法第三条により、それぞれ連帯して右の事故により生じた損害を賠償すべき義務を負う。なお、これについて被告小原、安東両名は、自己の過失割合に応じて責任を分担すれば足るものと主張するが、成程両名の過失割合が被告李に比しやや微少であることはその主張のとおりであるけれども、この両者は前記事実に照せば共同不法行為者たる関係にあることは明らかであつて、不法行為者間においては過失割合の如何を問わず被害者に対し連帯して損害を賠償すべき責に任ずべきであるから右の主張は採用しない。<中略>
ところで前掲証拠によれば、亡弥太郎は被告李と約一時間に亘り共に飲酒しその酒酔状況を知りながら、しぶる同被告にすすめて運転させこれに同乗したものであつて、亡弥太郎にも自ら進んで危険の中に身を投じた嫌いもみられ、このような事情を考慮すれば亡弥太郎側にも若干の負担に帰すべき地位を認めるべく、その負担割合は加害者側九対被害者側一とすることが相当であつて、これらを斟酌して前記損害額について被告らに負担せしむべき額を算定すれば、
下記を除く分 四、一一三、七二六円
原告キミコ分 九〇万円
その余の原告ら分 各六三万円
とすることが相当である。(寺本嘉弘)