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大阪地方裁判所 昭和44年(ワ)919号・昭44年(ワ)4524号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕(一) 正美の逸失利益

<証拠>によると、正美は昭和二五年七月一一日生れ、本件事故当時満一八才の男子であることが認められ、第一二回生命表によれば満一八才の男子の平均余命は52.07年であることに徴すると同人は本件事故にあわなければ満六三才まで四五年間就業し得たであろうと推認することができる。

そして、<証拠>を綜合すると、正美は本件事故当時大阪電気通信高等学校第三学年に在学中であり、昭和四四年三月同校卒業と同時に大阪市北区綿屋町所在小野ナシヨナル冷暖機販売株式会社に就職することが決定していたこと、および同会社の同年度の高卒者の初任給は二万五、〇〇〇円であり、その後勤続年数等に応じて順次昇給し、退職時には一定の退職金が支給されることが認められる。しかし、同証拠によると、同会社には同年度に右電気通信高等学校から二名、他の高校から一名の高卒者が就職しているが、右電気通信高等学校卒の二名はいずれも三ケ月後に退職しており、同会社においては新規採用者の二ないし三年後の定着率は五〇パーセント程度であること、および、正美は将来自営の希望もあり、長期にわたつて同会社に勤務する予定でなかつたことが認められるから、同会社の給与額をもつて正美の逸失利益算定の基礎とするのは相当ではなく、むしろ、客観的な統計資料をもとにして正美のあげ得た収入を推認するのが相当である。

ところで、労働者労働統計調査部発表の昭和四四年度賃金センサス第一巻第一表によると、全産業の一〇人以上の労働者を雇用する事業所における一八才から一九才までの男子労働者の平均月間給与額は三万二、三〇〇円であり、平均年間特別に支払われた現金給与額は四万〇七〇〇円であることが認められ、右月間給与額を年間のそれに引き直し、右年間特別給与額を合わせると年間給与総額は四二万八、三〇〇円となるから、正美は前記就労期間を通じて毎年少くとも右程度の収入をあげ得たであろうと推認できる。そして右就労期間中に要する生活費は右収入額の二分の一と認めるのが相当であるから、これを右収入額から控除すると、正美の年間得べかりし純利益額は二一万四、一五〇円であり、同人はその死亡により右利益を失い同額の損害を蒙つたことになるが、これからホフマン式計算法により年毎に年五分の割合による中間利息を控除して本件事故当時の現価を求めると四九七万円(一万円未満切捨)となるところ、正美の前記過失を斟酌すると正美が被告アヤ、同渡辺に対して賠償を求め得べき額は九九万四、〇〇〇円と認めるのが相当である。

(本井巽 笠井昇 伊東武是)

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