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大阪地方裁判所 昭和44年(ワ)928号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕二、損害

(一) 付添看護費 九五、二〇〇円

<証拠>を綜合すると、原告は、本件事故により、頸椎むち打ち損傷兼第六頸椎骨折の傷害を受け、昭和四三年一〇月三日から同年一二月九日まで中本病院に入院し、同月一〇日から昭和四四年六月一日まで通院したが、頭部、頸部が痛み、吐気がするなどの症状が好くならないので、同月二日から同年九月三〇日まで再入院し、同年一〇月一日から昭和四五年一月三一日まで通院し、通算五三日通院して治療を受けたが、頑固な項部、頭部の疼痛および時々嘔吐、悪心が生ずる後遺症が固定したこと、原告は、右入院期間中、昭和四四年七月一四日まで付添看護を必要とし、婚約者の野瀬百合子に付添を依頼し、同女が勤め先を休んで昭和四三年一〇月三日から同年一二月九日まで付添看護したので、原告は、その付添看護費として同女に対し、合計九五、二〇〇円を支払つたことが認められ、右認定に反する証拠はない。

(二) 休業損害 五六〇、〇〇〇円

<証拠>を綜合すると、原告は、事故当時三〇才で、知人の酒井照夫が「酒井製油所」の商号で営んでいた食堂から揚げ物に使用済の食用油を買い集めてこれを精製販売する仕事を手伝い、食用酒の運搬、精製した油を缶に入れるなどの仕事を一ケ月のうち半月位出勤して行つていたこと、酒井照夫は、昭和四二年八月ごろから右の営業を始め、同年九月ごろから原告と二人で共同して事業をなし、一ケ月七〇、〇〇〇円ないし八〇、〇〇〇円の利益を得ていたこと、原告は、本件訴訟前に被告らと示談交渉した際には、自己の職業を明言せず、月収は六五、〇〇〇円である旨主張していたこと、原告は、本件事故による受傷のため昭和四三年一〇月一日以降職に就くことなく、収入もなくなつたため、野瀬百合子から一ケ月四〇、〇〇〇円の生活費の仕送りを受けて生活していることが認められる。

原告は、事故当時、酒井製油所から一ケ月平均七五、五〇〇円の収入を得ていた旨主張しており、証人酒井光夫の証言により真正に成立したものと認める甲第四号証の一によれば、酒井照夫は昭和四二年一〇月から昭和四三年九月までに原告と毎月六八、〇〇〇円ないし八五、〇〇〇円の取引をした旨の「支払証明書」と題する書面を作成したことが認められるけれども、証人酒井光夫の証言によれば、右書面は昭和四三年一二月ごろ、原告の依頼により内容は既にすべて記載されてあるものに押印しただけであつて、帳簿その他正確な書類にもとづいて作成したものではないことが認められるのみならず、前記認定の事実によれば、原告は、本件訴訟前には月収を六五、〇〇〇円と主張していて右記載とくい違いがあるうえ、酒井光夫は酒井製油所の営業によつて一ケ月七〇、〇〇〇円ないし八〇、〇〇〇円の利益を得ているにすぎないのに、一ケ月のうち半分位しか稼働しない原告に対してほぼ同額を支払うことは甚だ不自然であつて首肯しえないところであり、右書面の記載内容が真実のものであると認めることはできない。<証拠判断略>。

そして前記認定の事実によれば、原告の酒井製油所から得ていた収入の明細は不明であるというほかはないが、その稼働日数に徴し、少くとも酒井光夫の利益の半額位の三五、〇〇〇円は得ていたもので、本件事故がなければ、事故後もこの程度の収入を得られたものと推認することができる。原告本人尋問の結果によれば、原告は、右酒井製油所で稼働するかたわら中古車の販売、八百屋、宝石販売のあつせん、ドリンク販売、いわゆる白タク営業などをしていたと供述しているけれども、右各営業の実態、稼働日数、売上および純益などを認めうるべき証拠はなく、右酒井製油所からの収入以外にも収入があつたことを認めることはできない。

従つて原告は、本件事故による受傷のため、昭和四三年一〇月一日から症状が固定して治療を打切つた昭和四五年一月三一日まで一六ケ月間休業を余儀なくされ、一ケ月三五、〇〇〇円の割合による合計五六〇、〇〇〇円の収入を失つたものというべきである。

(三) 将来の逸失利益

一六〇、五八二円

前記二、(一)の原告の傷害の部位程度および後遺障害の内容程度などに照らし、原告は、昭和四五年二月一日以降三年間にわたり、労働能力の一四パーセントを失つたものと認められるから、原告の逸失利益を年毎のホフマン式により年五分の割合による中間利息を控除して算定すれば、別紙計算書(1)記載のとおり一六〇、五八二円(円未満切捨)となる。

(四) 慰藉料  九〇〇、〇〇〇円

前記一、の本件事故の態様、前記二(一)の原告の傷害の部位、程度、治療期間、後遺障害の内容程度などを合わせ考えると、原告が本件事故によつて蒙つた精神的苦痛に対する慰藉料額は九〇〇、〇〇〇円とするのが相当であると認められる。 (山本矩夫)

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