大阪地方裁判所 昭和45年(わ)3417号 判決 1972年5月18日
本店所在地
大阪市北区兎我野町三二番地
帝国興産株式会社
右代表者代表取締役
岡本健一
本籍
大阪市東区北久太郎一丁目一一番地
住所
同市南区南綿屋町三四番地の一マンション大塚四〇三号
帝国興産株式会社代表取締役
岡本健一
大正二年二月七日生
右両名に対する法人税法違反被告事件について、検察官田辺信好出席のうえ審理を遂げ、次のとおり判決する。
主文
被告人帝国興産株式会社を罰金一五〇〇万円に、被告人岡本健一を懲役一年に処する。
被告人岡本健一に対し、この裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予する。
理由
(罰となるべき事実)
被告人帝国興産株式会社は、大阪市北区兎我野町三二番地に本店を置き、キヤバレー、ダンスホール、喫茶店、駐車場などを営業するもの、被告人岡本健一は、右帝国興産株式会社の代表取締役としてその業務全般を統軸しているのであるが、被告人岡本健一は、被告人帝国興産株式会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、
第一、被告人帝国興産株式会社の昭和四一年九月から昭和四二年八月三一日までの事業年度において、その所得金額が一七〇、一五九、五三六円、これに対する法人税額が五八、九九六、五〇〇円であるのにかかわらず、公表経理上売上の一部を除外し、かつ右除外金により手形割引を行なつて取得した割引料を除外する等の不正な方法により、右所得金額中六五、〇二二、一八〇円を秘匿したうえ、昭和四二年一〇月三一日大阪市北区北税務署において、同署長に対し、右事業年度の所得金額が一〇五、一三七、三五六円、これに対する法人税額が三六、二三九、一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、よつて同年度分の法人税二二、七五七、四〇〇円を免れ、
第二、被告人帝国興産株式会社の昭和四二年九月一日から昭和四三年八月三一日までの事業年度分において、その所得金額が一〇六、六八八、一二二円、これに対する法人税額が三五、〇〇三、八〇〇円であるのにかかわらず、前同様の不正な方法により、右所得金額中六五、一七〇、六八〇円を秘匿したうえ、昭和四三年一〇月二九日前記北税務署において、同署長に対し、右事業年度 の所得金額が四一、五一七、四四二円、これに対する法人税額が一二、六四一、一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、よつて同年度分の法人税二二、三六二、七〇〇円を免れ、
第三、被告人帝国興産株式会社の昭和四三年九月一日から昭和四四年八月三一日までの事業年度において、その所得金額が一三〇、七三三、七二九円、これに対する法人税額が四四、四一四、六〇〇円であるのにかかわらず、前同様の不正な方法により、右所得金額中八二、八八一、三六八円を秘匿したうえ、昭和四四年一〇月三一日前記北税務署において、同署長に対し、右事業年度の所得金額が四七、八五二、三六一円、これに対する法人税額が一五、四〇九、九〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、よつて同年度分の法人税二九、〇〇四、七〇〇円を免れたものである。
(証拠)
判示全事実につき
一、収税官吏の被告人岡本健一に対する質問てん末書四通
一、同被告人の検察官に対する供述調書三通
一、収税官吏の中村正喜に対する質問てん末書三通
一、中村正喜の検察官に対する供述調書二通
一、収税官吏の吉野綾子に対する昭和四五年三月六日付、同月一一日付、同月一三日付各質問てん末書
一、吉野綾子の検察官に対する供述調書二通
一、収税官吏の谷岡昌宣に対する供述調書二通
一、松岡昌良作成の確認書
一、松岡昌良ほか一名作成の確認書二通
一、森下孝之作成の確認書
一、山口政夫作成の確認書
一、根本弘作成の確認書
一、岩野正幸作成の確認書
一、一松寿夫作成の確認書二通
一、佐伯浅一作成の確認書
一、高槻薫作成の確認書
一、杉岡進ほか一名作成の確認書
一、収税官吏松里実、勝田利一作成の査察官調査書三通
一、同勝田利一作成の査察官調査書一〇通
一、同赤松英彦作成の査察官調査書八通
一、同松里実作成の査察官調査書
一、同松里実、阿部二作成の査察官調査書
一、同阿部二、鈴木昭一作成の査察官調査書
一、被告人帝国興産株式会社の法人登記簿謄本
一、同会社の定款
一、領置してある定期預金計算書一二枚(昭和四六年押第七四四号の五)、昭和三九年から同四五までのワールルド関係売上計算記録一綴(同号の六)、サマーサービス券市外電話明細表ノート一冊(同号の七)、昭和四二年一一月から同四四年一二月までのワールド関係金銭出納帳一冊(同号の八)、昭和四二年九月八日から同四三年四月一六日までの手形売買ノート一冊(同号の九)、普通預金元帳三枚(同号の一三)
判示第一の事実につき
一、収税官吏の宇津宮順、巽三千夫に対する各質問てん末書
一、巽三千夫作成の確認書
一、北税務署長作成の自昭和四一年九月一日至昭和四二年八月三一日法人税確定申告書謄本
一、領置してある昭和四一年九月から同四二年八月までの総勘定元帳(第九期)一綴(前同押号の一)、売却計算書一三冊一綴(同号の一〇)
判示第二の事実につき
一、北税務署長作成の自昭和四二年九月一日至昭和四三年八月三一日法人税確定申告書謄本
一、領置してある昭和四二年九月から同四三年八月までの総勘定元帳(第一〇期)一綴(前同押号の二)
判示第三の事実につき
一、収税官吏平沢勲に対する質問てん末書二通
一、平沢勲作成の確認書四通
一、北税務署長作成の自昭和四三年九月一日至昭和四四年八月三一日法人税確定申告書謄本
一、領置してある昭和四三年九月から昭和四四年八月までの総勘定元帳(第一一期)一綴(前回押号の三)
判示第二、第三の事実につき
一、収税官吏の吉野綾子に対する昭和四五年四月六日付質問てん末書
一、収税官吏の岡本ミヨ、寺田誠一に対する各質問てん末書
一、藤吉スマ子作成の供述書
一、嘉佐道子作成の確認書
一、収税官吏福島清、稲田登作成の査察官調査書
一、領置してある昭和四二年一二月から同四五年二月までの手形売買計算書二〇冊三綴(前回押号の一一)、昭和四三年分収支日計式簡易帳簿一冊(同号の一二)
(法令の適用)
被告人帝国興産株式会社の判示各行為は、それぞれ法人税法一五九条一項、一六四条一項に該当するところ、情状によりそれぞれ同法一五九条二項を適用することとし、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから同法四八条により各所定罰逋額(判示各逋脱額相当)を合算した金額の範囲内で同被告人を罰金一、五〇〇万円に処する。
被告人岡本健一の判示各行為は、それぞれ法人税法一五九条一項に該当するところ、所定刑中いずれも懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の伴合罰であるから同法四七条本文、一〇条により最も重い判示第三の罪の刑に法定の加重をした刑期範囲内で同被告人を懲役一年に処し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予することとする。
(裁判官 梶田英雄)
右は謄本である
昭和四七年六月七日
大阪地方裁判所第三六刑事部
裁判所書記官 杉山美知彦