大阪地方裁判所 昭和45年(わ)57号 判決 1970年11月28日
一、所在地
大阪市住吉区西住之江町三丁目四三番地
名称
株式会社 西洋美術
代表者
渡辺朗
二、本
大阪市住吉区西住之江町三丁目四三番地
住居
右と同じ
職業
会社役員
氏名
渡邊朗
生年月日
大正九年二月六日生
右両名に対する法人税法違反被告事件について、検察官宇部宮龍一出席の上審理を遂げ、次のとおり判決する。
主文
被告人株式会社西洋美術を罰金三〇〇万円に、被告人渡邊
朗を懲役六月に処する。
被告人渡邊朗に対し、この裁判確定の日から二年間その刑
の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人株式会社西洋美術は、大阪市住吉区西住之江町三丁目四三番地に本店を置き、西洋美術品の小売を業とするもの。被告人渡邊朗は右被告人会社の代表取締役としてその業務を統括しているものではあるが、被告人渡邊朗は被告人株式会社西洋美術の業務に関し、法人税を免れようと企て
第一、被告人株式会社西洋前術の昭和四一年一月一日より同年一二月三一日までの事業年度において、その所得金額が五〇、六〇〇、五五八円、これに対する法人税額が一七、四四〇、六〇〇円であるのに、公表経理上、売上金額、たな卸商品を除外する等の不正行為により右所得金額中三九、四六二、七九〇円を秘匿したうえ、昭和四二年二月二八日、大阪市住吉区住吉税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が一一、一三七、七六八円、これに対する法人税額が三、六二八、八〇〇円である旨過少に虚偽記載した法人税確定申告書を提出し、よつて同年度分の法人税一三、八一一、八〇〇円を免れ
第二、被告人株式会社西洋美術の昭和四二年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度において、その所得金額が二八、一一一、九〇〇円、これに対する法人税額が九、五八〇、三〇〇円であるのにかかわらず、前同様の不正行為により右所得金額中一四、四六四、四九九円を秘匿したうえ、昭和四三年二月二九日、前記住吉税務署において、同税務署長に対し、右事業年度分の所得金額が一三、六四七、四〇一円、これに対する法人税額が四、五一七、九〇〇円である旨過少に虚偽記載した法人税確定申告書を提出し、よつて同年度分の法人税五、〇六二、四〇〇円を免れ
たものである。
(証拠)
判示全事実につき
一、被告人渡邊朗の当公判廷における供述および検察官に対する供述調書(二通)
一、同被告人作成の供述書(三通)、上申書(四通)および昭和四三年一一月二七日付確認書
一、収税官吏作成の同被告人に対する昭和四三年一〇月四日付、同年一一月二八日付、昭和四四年五月三一日付、同年六月一二日付質問てん末書
一、国税査察官近永哲夫作成の調査報告書およびたな卸関係確認書、供述書綴(三冊)
一、渡邊衛作成の昭和四四年三月二六日付、同年五月七日付、同月三一日付確認書および同年三月二六日付(一一枚綴のもの)同年五月三一日付供述書
一、収税官吏作成の渡邊衛に対する昭和四四年五月二六日付質問てん末書
一、国税査察官三木政規、同吉川英太郎作成の各現金預金等現在高検査てん末書
一、国税査察官田川昇作成の調査報告書(三通)および正当仕入高調査書
一、国税査察官岩佐忠男作成の調査報告書(三通)
一、池田洋司、北浦嘉治、山田寿男、池上隆治、黒川茲弘、大島栄次作成の各確認書
一、被告人会社の登記簿謄本
一、領置してある昭和四〇年度、同四一年度、同四二年度各総勘定元帳(昭和四五年度第六三八号の一、二、三)、輸入関係原価計算書綴五級(同号の六)汎欧州美術展カタログ一冊(同号の七)、古物台帳七冊(同号の八)、コクヨノート一綴(同号の九)、ノート一綴(同号の一〇)、雑書綴一綴(同号の一一)、四二年度商品台帳五綴(同号の一二)、四一年度商品台帳二綴(同号の一三)、四〇年買入台帳二綴(同号の一四)、茶道具台帳一綴(同号の一五)、ガレー陶器仏伊和独壺台帳一綴(同号の一六)、大理石砂岩時計人形ロマングラス台帳一綴(同号の一七)、GAKU2NIHONMONO台帳一綴(同号の一八)、GAKU1台帳一綴(同号の一九)、EAJIPUTOGIRISYA台帳一綴(同号の二〇)、SEIBI(1)台帳一綴(同号の二一)、SEIBI(2)台帳一綴(同号の二二)、PERUSYA台帳一綴(同号の二三)、東京店、名古屋店台帳一綴(同号の二四)、G21台帳二冊(同号の一五)、ガレー台帳(12)二冊(同号の二六)、赤ワク、シール台帳一冊(同号の二七)、汎欧州工芸展関係書類四綴(同号の二八)、展示会値段一綴(同号の二九)、同四綴(同号の三〇)、K番売消商品写真帳一綴(同号の三一)、価格表一綴(同号の三二)、売上商品番号一綴(同号の三三)、売上メモ一綴(同号の三四)、四一、四二年中元歳暮関係書類(鴻池運輸株式会社)一綴(同号の三五)、買付分(伊太利)と題する書類一綴(同号の三六)、封筒及び内容物(メモ、写真等)二五通(同号の三七)、雑書三綴(同号の三八)、売上帳二冊(同号の三九、四〇)、たな卸商品帳一綴(同号の四一)、古物台帳二綴(同号の四二)、売上関係メモ一綴(同号の四三、)赤色のノート一綴(同号の四四)、三九年度売上明細書一綴(同号の四五)
判示第一の事実につき
一、住吉税務署長作成の証明書(昭和四一年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度分法人税確定申告書写添付)
一、収税官吏の渡邊力に対する昭和四三年九月二五日付、同年一〇月一四日付、昭和四四年五月二四日付質問てん末書
一、渡邊衛作成の昭和四四年一月一四日付確認書および同年三月二六日付供述書(六枚綴のもの)
一、渡邊典子作成の確認書
一、収税官吏作成の被告人渡邊朗に対する昭和四三年九月二八日付、同年一〇月三日付質問てん末書
一、領置してある四一年度売上帳一綴(前同号の四)
判示第二の事実につき
一、住吉税務署長作成の証明書(昭和四二年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度分法人税確定申告書写添付)
一、収税官吏作成の渡邊力に対する昭和四三年九月三〇日付、同年一〇月七日付質問てん末書
一、収税官吏作成の渡邊衛に対する昭和四四年五月二五日付質問てん末書
一、領置してある四二年度売上帳一綴(前同号の五)
(法令の適用)
被告人株式会社の判示各行為はそれぞれ法人税法一五九条一項、一六四条一項に該当するが、以上は刑法四五条前段の併合罪なので同法四八条二項により各罪所定の罰金額の合算額の範囲内で同被告人を罰金三〇〇万円に処し、被告人渡邊朗の判示各行為はそれぞれ法人税法一五九条一項に該当するところ、各罪につき所定刑中いずれも懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪なので同法四七条本文、一〇条により犯情重い判示第一の罪の刑に法定の加重をした刑期範囲内で同被告人を懲役六月に処し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予することとする。
(裁判官 梶田英雄)