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大阪地方裁判所 昭和45年(ワ)10141号 判決 1970年7月20日

原告 松浪司

右訴訟代理人弁護士 古川清箕

被告 花岡真

被告 植田賢三

主文

原告の第一次的請求を棄却する。

予備的請求につき、

被告らは各自、原告に対し、金一一八万円及びこれに対する昭和四四年七月二〇日から完済まで年五分の金員を支払え。

原告のその余の請求を棄却する。

訴訟費用は被告らの負担とする。

この判決は、仮に執行することができる。

事実及び理由

原告訴訟代理人は、「被告らは各自、原告に対し、金一一八万円及びこれに対する昭和四四年七月一九日から完済まで年六分の金員を支払え。訴訟費用は被告らの負担とする。」との判決、ならびに仮執行の宣言を求め、

第一次的請求の原因として、「原告は、別紙目録記載の約束手形一通を、拒絶証書作成義務免除のうえ裏書し、最終所持人たる株式会社三和銀行において、満期日にこれを支払のため支払場所に呈示したところ支払を拒絶されたため、昭和四四年七月一九日、被裏書人に対し手形金を支払って右手形を受戻した。ところで、本件手形は、被告らが共謀してこれを偽造したものであるから、被告らは、手形法八条の類推適用により、連帯して振出人と同一の責任を負うべきものである。よって、ここに、被告らに対し、右手形受戻金及びこれに対する受戻日から完済まで、手形法所定年六分の利息金の連帯支払を求める。」と述べ、

予備的請求の原因として、「仮に被告らに前述の手形上の債務が認められないとしても、原告は、被告らの本件手形振出偽造なる共同不法行為により、前記受戻金額相当の損害を蒙ったから、ここに被告らに対し、右同額の損害金及びこれに対する受戻日から完済まで民法所定の遅延損害金の支払(連帯支払)を求める」と述べた。

被告らは、いずれも本件口頭弁論期日に出頭せず、答弁書その他の準備書面を提出しないから、原告主張の事実をすべて自白したものと認めるほかはない。

原告は、右争いのない事実から、被告らに手形振出人としての責任があると主張するところ、手形法八条は、手形上に代理人として表示された者に代理権がなかった場合の規定であって、手形上に代理人の表示を欠く場合(いわゆる署名代理の場合)においては、同条の適用ないし類推適用がないと解すべきであり、いわんや手形偽造の場合において、偽造者につき同条の類推適用がないことはいうまでもないから、本件手形偽造者たる被告らの署名又は記名押印が手形上になんら表示されていないことが、原告の主張自体からみて明らかな本件について、右法条の類推適用があることを前提とする原告の第一次的請求は、すべて失当であるといわねばならない。<以下省略>。

(裁判官 下出義明)

<以下省略>

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