大阪地方裁判所 昭和45年(ワ)2094号 判決
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〔判決理由〕請求の原因第一項、第二項(三)の事実は当事者間に争いがなく(後掲証拠によれば、はねとばしたことも認められる。)、<証拠>を綜合すれば、
加害車は被告湊が事故の二週間前買入れ、その所有であること、これは専ら同被告の通勤用に使用していたこと、同被告は被告会社の寮に居住し、事故当日も夜勤のため加害車に乗つて出勤し、後部座席に同僚の藤原某を同乗させ(同人は夜勤のときはいつも同乗)進行していたこと、(以上の点についてはほぼ当事者間に争いがない。)被告会社と右の寮との間は約八〇〇米の距離であること、被告湊の業務は被告会社のゴムのロールをする作業であつて、加害車両を社用に使用する余地は全くなく、出勤後は被告会社方の自動車置場に保管していること、ガソリン代その他一切の経費はすべて被告湊の負担であつて、また被告会社は通勤費その他の如何を問わず、右の一部すら全く負担していないこと。
原告はその主張のとおりの職にあつて、その業務と極めて密接な関連を有する入浴のため、勤務庁である寮から被告会社工場方へ赴く途中本件事故に遭つたこと、事故現場は被告会社通用門から約三〇〇乃至四〇〇米離れた未使用(閉鎖中)の門の附近であつたこと、
以上のとおり認められ、右認定を左右するに足る証拠はない。これらの事実によれば、原告の受傷当時の態様は被告会社の業務起因性を有するものとして、所謂労災補償ひいて労災保険の適用をうけることとなるものと認められるが、そのことがひいては直ちに被告湊の所為が被告会社の業務起因性乃至運行支配、利益を意味するものでなく、この点については別個の検討を要するものである。(このことは、原告の雇主と被告湊の雇主が別人である場合を想起すれば自ら明らかである。)この点につき、前記認定事実のうち、強いて問題となる点を挙げれば、被告会社への通勤(同僚同乗)の途次であること、被告会社方附近で起きていることの二点程度に止まるが、後者はそのことのみを以て被告会社の責任を云為することは許されず、前者はこれらにつき若干の附加される事情が加われば、当裁判所は運行供用者(使用者)責任を問題とされる余地が十分にあり得るものと考えるけれども、本件にあつては前記事実を以てしてはこれに十分でなく、他にその責任を認めるに足る事情あり、とすべき証拠はなく、結局この点に関する原告の主張は採用できない。被告湊が右の事情の下で受傷した場合、その事情如何では業務性を認めて労災保険の適用される余地があることは考えられるが、労災法と自賠法等では場面を異にし、そのことの故を以て直ちに原告に対する被告会社の責任の根拠とはなし難い。)
そうすると被告湊は民法第七〇九条により、原告の損害を賠償すべき義務を負うが、被告会社は責を負ういわれはないものといわなければならない。
(寺本嘉弘)