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大阪地方裁判所 昭和45年(ワ)2400号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕請求の原因第一項、第二項(一)(二)の事実は当事者間に争いがなく、<証拠>を綜合すれば、

本件事故現場は、巾員約7.7米の国道四二号線上で海岸線の近くを通つており、山が迫つている関係もあつて起伏も激しく、しかもカーブが数多く、見通しが極めて困難な状況にあること、被害車は本件交差点を右折するつもりで右折の合図を出し、後続車をやり過すためなどもあつて一旦道路左端に停止し、後続車の途切れた頃、(この頃既に前方に加害車が見えていたが)中心線附近まで出るつもりで徐行しつゝ斜前方に進行したこと、加害車は被害車の存在に余り気づかず、被害車が中心線方向へ斜に進行しているのを認めたとき、右折しようとしているものと考えて、急ブレーキ、右ハンドルの措置をとつたが及ばず、被害車が中心線附近で停止してまもなくの頃これに衝突するに至つたこと。

以上の事実が認められ、右認定を左右するに足る証拠はない。これらによれば、被害車側においては自らの意識としては交通法規に則り正しく行動したつもりであつても、本件現場のような見通し困難な場所であることをも併せ考えるときは、加害車側から見て前記被害車の行動は極めて危険であつて且誤解を与え易いもの(中心線附近で予め停止していたものであればともかく、加害車の接近に伴つて狭巾員の路上を左端から中央方向へ進んでいるのであり、且加害車から見れば中心線附近でこれが停止するつもりかどうかも判らない。)であることに鑑み、その過失は免れることはできないものであるが、加害車側においても前記場所状況に照し、前方不注意、減速(状況に応じ徐行一時停止)すべき義務違背との各過失が存することは明らかであつて、従つて被告らのこの点に関する主張は採用の限りでなく、そうすると被告会社は自動車損害賠償保障法(以下自賠法という)第三条(人損につき)、民法第七一五条(物損につき)、被告国見は同法第七〇九条により、それぞれ連帯して原分を以て相当性必要性の範囲内のものと認められるので、

一、〇〇〇円×六〇 六万円

となる。

(三) 通院交通費 一〇、一四〇円

(四) 雑費(被害車修理費、着衣損傷を含む) 五二、四〇〇円

被害車修理費二七、〇一〇円(物損と認められる。)。着衣損傷一〇、九九〇円(当裁判所は人損と認める。なお購入時価格は合計一八、三〇〇円であるが、この中には数年前購入のものも認められるので、時価相当額はこのうち概ね六割に当る一〇、九九〇円を以て相当と認める。)入院雑費一四、四〇〇円を以て相当性、必要性の範囲内のものと認める。

(五) 得べかりし利益の喪失

八三〇、三七九円

原告績はその主張のとおりの職業に就き、長期の休業をなしたことが認められ、これらによつて失つた得べかりし給与その他の額は、前掲証拠によるときは左の範囲内を以て相当性の範囲内のものと認めることが相当である。

即ち給与の支給減 四五、五七九円

(五四、五六九円―八、九九〇円)

八、九九〇円は通勤手当であつて、これは現に通勤しない以上出費を要しないものであるから、支給されなかつたからといつて損害額として計上することは許されない。

休業後の将来の得べかりし分

七八四、八〇〇円

(一二〇万円×〇、一五×四、三六)

原告績はその主張の講習会の研究発表者に指名されるなど、その実力は高く評価され、校長昇格は目前のものと自他共に認められ(当裁判所もその遅くも二年内における実現の可能性は、八割以上の確率があつたものと認める)。期待されていたが、事故による受傷、治療のためこれが遠のきかなり困難となつたものと認めれるが、他面原告績の実力を以てすれば、このまゝ定年退職に至るまで昇格実現不可能の状態で推移するものとも思われず(当裁判所は若干遅れるとはいえ、実現の可能性は六割方の見込があるものと考える)。以上を綜合して考えるときは、損害額としては、昇格遅延によるもの(但しそれが退職金、恩給にもはね返りとなつて影響することは否定できない。)として考えるべき範囲内の点が合理性、蓋然性の最も強い部分と認められ、その余は不安定の要素が多く採用できない。その額をどのように評価すべきか問題であるが将来の見込であるからこれを控え目になすべきであるとの要請、前掲各事情昇格が実現した場合の現実の差額はさして大きくないこと、原告の計算が現在価換算をなしていないこと、その他の各事情を斟酌しこれを平均化して計算するときは、年収(賞与等を含む)の一、五割相当額を五年間分失うものと認めることが相当である。<中略>

ところで本件事故については原告においても行動の外観上かなり危険との誤解を与えるものであつたのであつて、これは過失相殺上の過失ということが相当でありこれら過失内容、双方の車種その他諸般の事情に照して双方の負担割合を定めれば、概ね原告側三対被告側七とすることが相当であり、これらの事情を斟酌して被告らに負担せしむべき賠償額を算定すれば(なお以下の算定に当つては、治療費のうち健康保険点数評価該当分については原告側の過失相応部分は、健康保険に対する原告績の権利として健康保険の負担に帰すべきであることに鑑み、これを過失相殺の計算上これを算入しないことが実質的公平に合致するものと解すべきところ、前掲証拠に照せば前記認定の治療費全額は健康保険の評価(標準報酬)と一致するものと認められるので、これらを除外して算出するものとする。)。 (寺本嘉弘)

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