大阪地方裁判所 昭和45年(ワ)2609号 判決
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〔判決理由〕第三、責任
被告中村が本件加害車の所有者であることは当事者間に争いがないところ、被告らは同車が被告中村に無断で運行に供されたもので、同被告に運行供用者責任がない旨の主張をするので考えてみるに、<証拠>によれば、被告高田は被告中村の義弟(被告高田の妻が被告中村の妹)で、阪南部合同青果市場で購入した青果類の行商をしたり、産地で購入した青果類を青果業者に転売するなどの仕事を営んでおり、また、被告中村は八尾公設市場内で青果類の小売業を営んでいたが、被告高田は本件事故前にも被告中村所有の本件加害車を借りて、自己の営業に使用したり、また同車を使用して被告中村の営業の手伝いをしたりし、同車をしばしば運転していたもので、本件事故当日、午前六時頃、前記大阪南部合同青果市場に赴き、他から借りてきた車で同市場から被告中村方に品物を運んだ後、正午頃まで本件加害車を使用して被告中村方の仕事を手伝い品物の運搬等をなし、その後被告中村に無断で本件加害車を借用し、知り合いの訴外赤野と共に住之江ボートレース場に遊びに行き、同日午後五時頃、同所から帰り、訴外赤野方に立寄つて清酒ちようし約一本分を飲み、同日午後五時三〇分頃、同訴外人方を出たが、被告中村方に品物(ニンジン)を届けるのを失念していたのに気づき、本件加害車を運転して大阪南部合同青果市場に立寄り、右の荷物を積んで被告中村方に運ぶ途中、本件事故を発生させるに至つたものであること、被告中村方には当時本件加害車を含めて三台の車があり、同被告と従業員二名がこれを使用していたが、使用していない時は市場裏のモータープールに置いておき、通常、鍵(キイ)をつけたままにしておくので、市場の親しい同業者などが時々被告中村方の自動車を使用することがあり、被告高田も無断で被告中村方の自動車を使用したことがあつたこと、がそれぞれ認められ、右認定に反する被告中村哲彦本人尋問の結果はたやすく措信しがたい。右事実によれば、被告高田は被告中村方の従業員ではないが、被告中村の義弟で、いわば同業者でもあつたことから、被告中村方の営業の手伝いをし、また、同被告方の自動車を日頃容易に運転使用することができ、本件事故当時も同被告方の商品を運搬するため同被告所有の本件加害車を運転していたもので、右の運転が、同被告に無断でなされたものではあるが、同被告のためになされたものであつて、外形的、客観的にみて、本件加害車の運行には被告中村の運行支配が及び、同被告に運行利益が帰属していたものと認められる。従つて、被告中村は運行供用者責任を免れることができない。
以上によれば、被告中村は自賠法第三条により、また、被告高田は民法第七〇九条により、本件事故により生じた損害を賠償する責任がある。
第四、損害
一二、<略>
三、葬儀費、石碑建立費
金三四八、七〇一円
原告島本布任本人尋問の結果およびこれにより真正に成立したものと認められる甲第一五号証、第五号証によれば、亡真澄の葬祭費用、初七日費用、満中陰費用に合計金二四八、七〇一円を要し、原告布任においてこれを支払つたこと、また、亡真澄の石碑を建立する費用に少くとも金三七一、〇〇〇円を要することがそれぞれ認められる。しかして、石碑建立費については右のうち金一〇〇、〇〇〇円をもつて本件事故と相当因果関係のある損害と認めるを相当と考える。従つて合計金三四八、七〇一円となる。
四、慰藉料
各金二、〇〇〇、〇〇〇円
亡真澄を失つた原告両名の精神的苦痛の甚大であつたことは容易に推認されるところであり、その慰藉料は、本件に顕れた一切の事情を考慮して、各金二、〇〇〇、〇〇〇円とするを相当と認める。
(吉崎直弥)