大阪地方裁判所 昭和45年(ワ)3004号 判決
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〔判決理由〕二、損害
(一) 礼子の逸失利益およびその相続
1 礼子の逸失利益
五、九〇〇、〇〇〇円
原告隆章本人尋問の結果によれば、礼子は、大学を卒業した後、自宅で身体の弱い母親原告光子の代りに家事を担当する他、家族のために自動車を運転して自宅と最寄りの南海電車の駅との間の送迎などをしていたことが認められる。そうすると、かかる労働に従事していた礼子が死亡によつて逸失した利益は、少くとも一般の主婦が死亡によつて逸失した利益と同程度のものであると推定され、それだけの損害が発生したものと認められる。そして右算定にあたつては礼子の年令に即した二五才女子労働者の平均賃金を基礎にし、生活費を二分の一控除し、六三才まで就労可能であるものと推定して次のとおり計算するのが相当である。
(年収) 五六三、二〇〇円
四五年度賃金センサス(労働省労働統計調査部発表)第一表による二五才女子の平均賃金一ケ月三七、五〇〇円の一二ケ月分に同表による年間特別給与一一三、二〇〇円を加えたもの。
(生活費) 右年収の二分の一。
(就労可能年数) 三八年(六三才まで)。
(ホフマン係数) 20.970。
(逸失利益) 五、九〇〇、〇〇〇円
(一万円未満切捨て)
2 相続
請求原因(三)の2の(1)の事実については当事者間に争いがなく、同事実と<証拠>とによれば、原告隆章、同光子は礼子の相続人であり他に相続人はないと認められる。従つて同原告らは礼子の右逸失利益相当の損害賠償請求権を各二分の一あて相続により承継取得したことが認められる。
(二) 葬儀費用 三〇〇、〇〇〇円
<証拠>によれば、原告隆章は、礼子の葬儀関係の費用として法要費用、墓地費用を含めて、計九一五、四七五円の出費をしていること、同原告が会社役員という社会的地位にありかつ最愛の一人娘を悲惨な事故でなくした悲しみが極めて大きかつたことが認められ、かかる同原告が礼子のために盛大かつねんごろな葬儀、法要等をした気持は想像に難くない。しかし損害の相当因果関係性の面から考えるとき、被告らに葬儀費用として損害賠償を求むべき額としては、右事情を斟酌しても、右のうち三〇〇、〇〇〇円を認めるのが相当である。
(三) 慰藉料
<証拠>によれば請求原因(三)項6記載の事実が認められる。原告らの右精神的苦痛を金銭で慰藉するとすれば原告隆章、同光子に対し各一、五〇〇、〇〇〇円、原告興一、同隆史、同和彦、同雄史、同裕史に対し各二〇〇、〇〇〇円を認めるをもつて相当とする。
<編注>(三)損害 6 慰藉料
礼子は、原告隆章、同光子の一人娘であり、他の原告らの妹または姉の関係にあつたため、家族全員から深い愛情を受け、大学を卒業してから家事の手伝いや父の送迎などよく家族全員の世話をして、家族ともども幸福な家庭生活を営み、近いうちに結婚を予定して嫁入道具一式を買い揃えた直後に本件事故に遭遇し、身体の原型をとどめぬ程無残に轢過され即死したものである。それだけに原告ら家族の受けた精神的打撃は大きく、その悲しみは筆舌に尽し難い。
原告らの右精神的苦痛に対し金銭で慰藉するとすれば少なくとも原告隆章、同光子には各一、五〇〇、〇〇〇円、その他の原告には各三〇〇、〇〇〇円を認めるのが相当である。