大阪地方裁判所 昭和45年(ワ)3379号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
〔判決理由〕第三、傷害
<証拠>によれば、原告は本件事故のため頭部打撲挫創、頭蓋骨々折、硬膜下血腫、左下顎部挫創、胸部打撲、外傷性頸部症候群の傷害を受け、末原外科に昭和四四年八月一〇日より同年九月二〇日まで四二日間入院し、その間硬膜下血腫除去等の手術を受け、退院後住友病院に昭和四四年九月一九日より昭和四五年六月一五日まで実通院日数一二日間の治療を、また、伊東病院に昭和四四年一〇月七日より昭和四六年三月一二日まで実通院日数八五日間の治療を受けたこと、住友病院における昭和四五年六月一五日当時の診断によれば、頭蓋骨々折、外傷性頸腕症候群についてはおおむね治ゆしたが、頭蓋骨々折により生じた頑固な頭痛が残つてその症状が固定し、また、前額部に巾が一センチメートルないし五ミリメートルで長さが五センチメートルおよび三センチメートルの二条の、下顎部に巾一センチメートルで長さ四センチメートルの一条の、それぞれ瘢痕が残つていること、伊東病院における昭和四六年一月二三日当時の診断によれば、左側前頭前額側額、下頬部にケロイドと筋肉内異物があり、昭和四五年三月一四日にケロイドならびに筋肉内異物(硝子小破片多数)除去の手術を受けたが、なお左前額部筋肉内に異物が残存し更に再手術の必要があること、がそれぞれ認められる。
四、慰藉料
原告の前記第三認定の傷害の部位、程度、入・通院期間、後遺症の内容と程度、顔面に瘢痕を残し再手術の必要すらあること、原告が事故当時満二〇才で未婚の女性であること(原告本人尋問の結果によりこれを認める)その他本件に顕れた一切の事情を考慮して、慰藉料を金二、〇〇〇、〇〇〇円とするを相当と認める。
五、被告は原告が事故車の好意同乗者であるから、慰藉料算定につき斟酌すべきであると主張するが、運転者その他加害者側の好意で加害車に同乗した者が、ただそのことの故をもつて損害賠償請求権ないし慰藉料請求権の行使が制限されるとする実定法上の根拠は全くなく、本件の場合、原告が本件事故による損害賠償請求権なし慰藉料請求権を行使することが信義則、公平の見地に照して著しく不当であると認めるに足る証拠は何もないので、被告の主張は採用しない。
(吉崎直弥)