大判例

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大阪地方裁判所 昭和45年(ワ)3931号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕三、損害

(一) 治療費  一、〇〇三、二五〇円

<証拠>を綜合すると、原告は、本件事故により、後頭部、頸部挫傷、右肘部、膝部挫傷の傷害を受け、昭和四四年八月一日に行岡病院で治療を受けたあと、同月二日から同年九月一二日までに二七日西成病院に、同月一九日から同年一〇月八日まで橋村医院にそれぞれ通院し、同月九日から同年一二月一日まで同病院に入院し、同月二日から昭和四五年九月八日まで同病院に通算して二三五日通院して治療を受けたこと、原告は、当初頭痛、両膝、腰背部の疼痛を訴えて治療を続けていたが、当時夫が中風で入院中で生活に不安が強く、事故の補償の話合も解決しないので心労が重なり、同年七月ごろから不眠を訴え、同年九月始めころ、大阪市立大学医学部附属病院で精密検査を受け、そのころから抑うつ的となり、同月一三日、鹿児島県の実家に帰つて療養をしていたけれども、不眠、苦悶など抑うつ症状が顕著で厭世感、絶望感が強く、同月一四日にはひもを持ち歩いて自殺のおそれが感じられ、同月一五日朝、大なたで自ら左手首を切断して自殺をはかり、同月二五日、市来保養院に精神衛生法にもとづくいわゆる措置入院させられたこと、原告は、その後躁うつ病の病名で市来保養院で入院治療を続け、昭和四六年三月三一日、症状が軽快して症状が消失したため退院したこと、原告は、右治療費として橋村医院に一、〇〇三、二五〇円を要したことが認められ、右認定を左右しうべき証拠はない。

以上認定の事実によれば、原告が事故後昭和四五年九月八日まで治療を受けたのは本件事故による受傷のためであると認められるけれども、その後の原告の抑うつ症状、躁うつ病の発病による左手首切断の自傷行為は本件事故によつて通常生ずるべき事態であるとはいえず、また本件事故による傷害の内容、程度に照らし、事故当時予測し得べき損害と認めることもできないから、右躁うつ病とその結果の場合は本件事故と相当因果関係の範囲内の損害と認めることはできない。 (山本矩夫)

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