大判例

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大阪地方裁判所 昭和45年(ワ)3980号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕請求の原因第一項、第二項の事実は当事者間に争いがないので、これによれば被告会社は自動車損害賠償保障法(以下自賠法という)第三条、被告伊藤は民法第七〇九条により、それぞれ連帯して事故により生じた損害を賠償すべき義務を負う。

そこで損害について考えるのに、<証拠>を綜合すれば、

亡新造はもともと「著明重篤な心筋変性」を有したところ、本件事故により頸部挫傷等の傷害を負い、その際の衝撃により心筋内出血を来したが、亡新造は当時勤務が多忙を極めたこともあつて「シンドイ、シンドイ」といゝながらも事故の翌日朝食抜きで出勤して通常どおり勤務し、その翌日原告ら主張の状態で症状急変、死亡するに至つたこと、そして解剖の結果上記の心臓所見が見出されたこと、解剖担当の法医学者の見解(鑑定)としては前記心臓の変性を有したところへ、本件交通事故による外力が加わつたため心筋内出血を生じた結果、心機能障害を助長増悪せしめ、よつて同人を死に致らしめたものとされていること、(こゝで、以上の認定を前提し、本件の主要な争点である因果関係の存否について判断することとする。民事におけるよりも或意味においては厳密性を要求せられる刑事上の責任を追及するにつき、一般に因果関係の存否については、例えば「致死の原因たる暴行は必ずしもそれが唯一の死亡の原因または直接の原因であることを要するものでなく、たまたま被害者の身体に高度の病変があつたため、これと相まつて死亡の結果を生じた場合であつても、右暴行による致死の罪の成立を妨げない」と解されており、最高裁判所昭和四五年(あ)第一〇七〇号、昭和四六年六月一七日第一小法廷判決、判例時報六三六号九一頁、法曹時報二三巻九号三五八頁各参照、なお同判決引用の同裁判所昭和二二年一一月一四日第三小法廷判決、刑集一巻六頁、昭和二五年三月三一日第二小法廷判決、刑集四巻三号四六九頁、昭和三二年三月一四日第一小法廷判決、刑集一一巻三号一〇七五頁、昭和三六年一一月二一日第三小法廷決定、刑集一五巻一〇号一七三一頁各参照、なおその後における下級審判決例として名古屋高昭和四六年八月一〇日判決、判例時報六四四号一〇四頁参照。)、民事上においてもこの点は少くとも同様に解して差支えないものというべきところ、本件では前記認定のとおり心臓疾患の存したところへ、本件交通事故による外力が加わつたため心筋内出血を来し、その上最も安静を要求されるべき時期に労働をするという亡新造の行動の要因が加わつたため、事故の翌々日ショック状態となり九月九日午前〇時三〇分図死亡するに至つたものであつて、交通事故による外力が唯一のもしくは直接の原因とはいゝ得ないとしても、被害者の高度の病変と相まつて死亡の結果を来したものというべく、因果関係の存在を肯定するに妨げない。以下においてはこれを前提として認定、判断する。)

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