大判例

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大阪地方裁判所 昭和45年(ワ)4491号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕ところで本件事故については前記のとおり原告にも道路横断に当り左右の注視をなすべき義務に違背した過失が存することは明らかであり、これら過失割合を基本とする双方の負担割合を定めれば、概ね原告二対被告八とすることが相当であるから、以上の事情を斟酌して前記合計額について被告の賠償すべき額を算定すれば、金一、七三六、五九一円とすることが相当である。

これに対して自賠責保険金三一万円が支払済であることは当事者間に争いがなく、なおこの他被告は金七八二、九一六円を支払つている旨主張し、原告はこれにつき明確に認否しないが弁論の全趣旨(殊に乙号証の認否等)に徴しその支払自体明らかに争わないが、これを控除の対象とすることについては明らかに争うものと認められるので、これについて考えるのに、

被告の支払分の中には健康保険による求償分(同法第六七条)一五六、三二五円を含むが、これについては同法の精神に照しこれを本件控除の対象とすることは許されないものと解することが相当である。蓋し、原告(健康保険被保険者)は自己の過失に基く場合であつても、「故意に基く」等一定事由のあるとき以外は健康保険給付を受けるべき権利あるものとされるのが同法の精神であるものと解される(第四三条第六〇乃至第六二条参照)ところ、これを推し及ぼして考えれば、第三者行為による場合にあつても、原告の過失が競合するときはその過失部分については原告の権利の範囲内のものとして考えるべき筋合であり、この意味よりすれば対被告関係に関する限り健康保険給付のうち原告の過失割合部分に相当する範囲内においては原告の自己負担と同視して取扱うことが妥当であつて、同法第六七条による求償の範囲外たるもの(当然原告が被告に対して有する損害賠償請求の権利の範囲に入らない)と解すべく、そうとすれば本件にあつては保険給付の額は前掲全治療費(健康保険給付によつて計算するとしても)中の二割以下であると認められるのであるから、被告が求償に応じたこと自体問題があるものといわざるを得ず、易々諾々としてこれに応じた上、その負担を原告に転稼しその権利を侵害することを許すことはできないものといわなければならないからである。

そこでこの部分を除外した残額を控除することとすると、その残額は金八〇万円となることが計数上明らかである。

(寺本嘉弘)

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