大阪地方裁判所 昭和45年(ワ)4548号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
〔判決理由〕一、被告の本案前の主張について判断する。<証拠>によると、左記事実を認めることができる。即ち、本件契約について作成された契約書の表題はセールズノート(売買覚書)となつている。又被告主張の仲裁契約についての条項も売買諸条件の内容をなしており、印刷されたもので、タイプで打字されたものではない。その外原告は従前請負契約を締結したことがないようで、本件契約締結の経過も、当初原告において訴外株式会社展緑を被告に紹介したが、同会社が被告との直接契約を嫌い、結局被告と代表者が同国人である原告が万国博覧会開催日との関係で急拠契約の当事者となり商品輸出のために従来より使用していた契約書を用いて本件契約書を作成したこと、以上の事実を認めることができる。しかしながら一方<証拠>を総合すると次の事実を認めることができる。即ち、内装整備工事請負契約と原告が主張している契約の内容そのものが、セールズノート(売買覚書)の明細として右契約書に添付されている。又本件契約の内容には請負契約の外に売買契約も含まれていると思われること。時間的余裕がなかつたとはいえ、別個に契約書を作ることなく本件契約にセールズノート(売買覚書)の書式を使用し、その内容に被告主張の如き仲裁契約の条項が明記されており、特にこれを排除する旨の意思表示がなされたと認められるものがない。原告の登記簿の目的欄には1各種糸類(綿糸絹糸毛糸)繊維品、2日用品雑貨、3機械器具金属類、4前各号商品の売買製造並に輸出入、5前各号に附帯する一切の事業とあり、請負も附帯事業の中に含まれること。右の事業を認めることができる。以上の事実を総合すると、結局本件契約書は原告が従前使用していたセールズノート(売買覚書)を利用して作成されたものであるが、他に特にこのうちのどの条項を排除するという合意がなされたとか、或は当事者間の他の意思を推認させるべき証拠のない以上、その内容をなす仲裁契約も本件契約の内容をなすものと解するのが相当である。本件契約について被告主張の如き仲裁契約が存在するものと解するのが相当である。
二、そうだとすると原告の訴は訴訟要件を欠くことになるからこれを却下することとし、訴訟費用につき民訴法八九条を適用し主文のとおり判決する。
(西池季彦)