大阪地方裁判所 昭和45年(ワ)4592号 判決
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〔判決理由〕請求の原因第一項の事実中(五)の加害車の動向を除くその余の部分及び第二項の(一)(二)の事実は当事者間に争いがなく、<証拠>を総合すれば、
加害車(運転者の表示を略す、以下同じ。)が時速約五〇粁で北進中、前方に自転車に乗つた人が西方から南方へ進行してくるのを認め、これとの接触、衝突を避けるためもあつてかなり大きく右転把し、中心線を約一米以上超えて進行したこと、そしてこの前後において後続車が追越しようとしているかどうかに全く気づいていないこと、道路の幅員は約6.7米であり、加害車の車幅は約二米であること、そして被害車は右の状況に至る直前頃追越をはかり加速していたため、加害車との接触を避けようとする余り右転把し過ぎて本件事故に至つたこと、
以上の事実が認められ、右認定を左右するに足る証拠はない。
右事実によれば、本件事故についてはその主因は被害車の漫然たる無理な追越にその端を発していることは否めないが、加害車においても後続車の存在及びその動向を注意深く把握し、且前方の動静に留意しておつたならば当然本件事故発生防止のための措置(例えば早い時期における減速又最少限度における右転把乃至それ以外の方法による自転車との接触回避等、但しこの点は自転車の詳細な動静が全証拠によるも必ずしも明白でないので、そのいずれかに断定することはできない。)をとることができ得た筈のものと推認することが相当であり、従つてこれらを怠つた過失の責を免れることはできないものというべく、被告は自動車損害賠償保障法(以下自賠法という)第三条(人損につき)、民法第七一五条(物損につき)により、原告らの損害を賠償すべき義務を負うものといわなければならない。<中略>
ところで前記のとおり本件事故については被害車の過失が大きく寄与しており、その過失内容その他諸般の状況に照し、双方の負担割合を定めれば概ね被害者側七対被告側三とすることが相当であるものというべきところ、以上の各事実によれば原告岩本は被害車運転者、原告森はその所有者で且妻と共に同乗中という地位にあり、いずれも被害者側の範囲内に属するものと認められるが、原告西川は単なる好意同乗としてその範囲外にあるものというべきである(従つて同原告については単に前記において慰藉料斟酌事情とするに止めた。なお同原告に対する責任に関する限り、他の原告らも被告と共同不法行為者の関係に立ち、その間の負担関係も前記割合によるべきこととなる。)から、原告岩本及び同森について上記割合を斟酌して被告に賠償せしむべき額を算定すれば(なお、原告岩本の損害額のうち治療費については前記のとおり健康保険による分も存し、健康保険に関しては全治療費に対する原告の過失相応部分は健康保険に対する原告の権利として健康保険の負担に帰すべきものであり、従つて被告に対する求償の対象となることはあり得ないから、本件においては治療費は過失相殺の計算上算入しないでも公平を害することはない、むしろ実質的公平を保持するものと考えられるので、これは算定外とする。)。
原告岩本八六、四六七円((18万円×0.3)+32,467円)
原告森一四三、三五八円
とすることが相当である。(寺本嘉弘)